【今回のポイント】

「スタートは早めがベスト」といわれる3つのポイント

スタートは早めがベストと言われる理由

スタートは早めがベストと言われる理由


「不動産投資に興味があるが、始めるのにベストなタイミングはいつか」「いつ投資物件を購入すればいいか」。こたえは、何のために不動産投資(収益物件の購入)をするかによって違います。投資物件を持つ目的は、大きくわけて「資産形成」と「相続対策」の二つがあります。今回は、「資産形成」を前提にお話ししましょう。

資産形成のなかでも、これから不動産投資をはじめる「資産拡大期」と、既に投資物件を所有している「資産保全期」に分かれます。

資産拡大期については「できるだけ早くスタートし、なるべく運用期間を長くする」のがベストです。それは、「収入」「返済」「信用」の3つの点から説明できます。

[収入]
・スタートが早いほど収入を早く得られる
一般的な事業の場合、収入を得るまでにある程度の期間を要します。モノやサービスは、売れなければお金になりませんし、どれだけ売れるかは、実際に売ってみないと分かりません。株などへの投資も、いくら儲かるのかはわからないでしょう。

しかし不動産投資は、購入した翌月から、ある程度の決まった額の賃料収入が得られます。1ヵ月でも早く購入すれば、それだけ早くから収入が得られるわけです。それを金融商品に投資するなど、次の投資活動に充てることによって、資産形成のスピードアップも図れます。誰しも寿命はありますから、早くスタートするほど資産形成の期間を長くできる面もあります。

[返済]
・年齢が若いほうが、ローンの返済期間を長く設定できる
ローンを借りる際には「完済時80歳未満(または以下)」といった年齢制限があり、そこから逆算して最長返済期間が決まるため、年齢が若いほど返済期間を長くできます。44歳以下であれば35年返済ができますが、60歳では20年返済が最長です。ただし、金融機関によります。

図1.返済期間による返済額の違い試算表

 

・返済期間が長いほうが、キャッシュフローがプラスになりやすい

同じ金額を借りても、返済期間が長いほうが毎月の返済額は少なくなります。たとえば、1億円を年利2%で借りる場合、35年と20年では35年の毎月返済額のほうが17万円以上少なくなります。年間では200万円以上の差です(図1参照)。

・返済期間が長いほうが、単月の返済額への金利変動の影響が小さい
変動金利でローンを借りている場合、金利が上昇すると返済額も増えます。毎月の返済額が低いほうが、金利上昇による返済額アップの影響は小さくなります。

[信用・リスク]
・ローン返済を早く始めるほど、金融機関への返済実績を早くつくれる
不動産投資での融資の返済実績が3~4年ともなれば、金融機関からの信用が増し、次に投資をする際に融資を受けやすくなります。

・年を取ってから始めるより、若いほうがリスクを取れる
若い時期に始めれば、たとえ期待通りの収益が得られなかったとしても、本業でカバーしたり、再度チャレンジしたりする余地があります。年齢が高くなるほど、一度の失敗が命取りになりかねず、投資に消極的になる面もあるでしょう。

「資産拡大期の不動産投資は早く始めるほど良い」といっても、就職して1年目の社員が行うのは、簡単ではありません。勤続年数を増やし、年収を上げ、キャリアを重ね、返済能力社会的信用力を高めることによって、金融機関から融資を受けられる状況に早く持って行くことが重要です。

ただし、親の資産が豊富にある場合など、資産背景によっては、それを信用力として融資を受けて資産を増やすことはできます。


不動産市況にとらわれるとチャンスを逃す?

最適な始め時と、出口のタイミングとは?

最適な始め時と、出口のタイミングとは?

なるべく早く投資したほうが良いといっても、不動産市況の面から「ベストな購入時期」「買い時」に物件を選んだほうが良いという見方もあるでしょう。キャピタルゲイン(値上がり益)を主目的にする投機であれば、価格が低い時期に購入して高い時期に売るのがベストです。インカムゲイン(賃料収入)を中心に考えている場合でも、なるべく価格が低いほうが、借入元金を少なくすることができます。

では、価格相場が一番低い時期を狙うべきかというと、それはリスクがあります。少なくともこれから不動産投資を始める場合には、資産形成に大きなブレーキを掛けるおそれがあるからです。

不動産の価格相場には、値上がりと値下がりを繰り返す大きな波があります。一般に7~8年サイクルとも言われていますが、過去には10年以上も下がり続けるケースもありました。

不動産市況のサイクルが8~10年なら、価格のピークから最安値までは4~5年かかります。40歳の人は44~45歳になるわけです。その間、給料から貯蓄する以外、資産は増えません。仮に45歳で最安値の時期を迎えて購入し、また次の最安値まで待つと53~55歳です。不動産市況に合わせていると、定年までに2棟しか購入できないことになります。

「まだ値下がりするのではないか」と市況の読みに迷っているうちに、いつまでも買いそびれてしまうかもしれません。しかも、年齢が高くなるほど、ローンの返済期間が短くなります。毎月の返済額が大きくなり、購入できる物件の範囲も狭まるでしょう。

それよりは、多少は市況がよくない時期だとしても、投資活動に参入していれば、着実に資産を増やすことができます。早めに第一歩を踏み出してローンの返済実績を積めば金融機関からの信用度も高まり、2棟、3棟と増やしていくことによって、資産形成にドライブをかけることも可能になるでしょう。

実は、10年ほど前、リーマンショック後で市況の良くない時期に、年収・年齢ともに同じくらいのAさんとBさんから相談を受けました。

Aさんは「50歳までに不動産収入だけで食べられるようになって会社をリタイアする。絶対に購入する」と宣言。Bさんは「市況が回復して良い物件が出たら、購入したい」と言っていました。現在、Aさんは50歳前にメガ大家さんになって会社は引退し、賃貸経営専業で数千万円のキャッシュフローを得ています。Bさんは、今も1棟も買わずにサラリーマンを続けています。

実際に投資行動に移るか否かによって、大きな違いが出る可能性があるわけです。

もちろん、不動産市況をチェックすることは重要です。なるべく市況が良い時期に購入できるのに越したことはありません。しかし、その時に融資環境がどうなっているかわかりません。

現在は超低金利で地方銀行や信用金庫でも2~3%、メガバンクなら1%前後の金利でローンを組むことができます。金融緩和政策の下でフルローンやオーバーローンも可能になるなど、金融機関も融資に積極的です。これが何年かたって、金利が上がり、融資額が抑えられたり、金融機関の融資姿勢が厳しくなっていると、いくら価格が安くなっていたとしても購入できないかもしれません。

したがって、年齢や借り入れ能力など「自分のポジション」を優先して考えることが大切です。それを前提に、価格相場や「買い時かどうか」を考えるという順番で臨みましょう。

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