別荘ライフをはじめるには、いくらかかる?

吹抜けリビング

リゾート地で自然の風景を堪能する、開放的な吹抜け空間(写真は貸別荘「The Canvas Hayama Park」)


別荘はなくても困るものではないので、やはり贅沢品です。でも最近は手の届く価格帯で探すことができるようになりました。中古別荘なら2000万円以下、中古リゾートマンションなら1000万円以下の物件もあります。

購入すれば、いつでも行きたいときに行け、滞在したいだけ滞在し、何人で宿泊しても誰からも文句を言われません。木立の葉を揺らすそよ風や小鳥のさえずりに耳を澄ませたり、海辺なら潮騒を聞きながら浜辺を散歩したり、時間を忘れてリラックスできるのが別荘ライフの醍醐味です。

とはいえ所有するからには別荘購入後もコストがかかります。まずは家具や家電類。お気に入りのソファやテーブルを配置し、冷蔵庫などの家電や寝具を揃える必要があります。さらには光熱費、水道料金、管理費や固定資産税のような毎月の経費もかかります。また設備などのトラブルは自分で解決しないといけませんし、経年によるメンテナンスも必要になることもあります。

非日常の空間に身を置くには、別荘の購入代金以外にもお金も手間もかかります。あれこれ考えて、リゾート地にあるホテルやペンションを予約することになるケースが多いかもしれません。そこでホテルやペンション以外の選択肢として加えてみたいのが貸別荘です。

ホテルやペンション以上に満足できる「貸別荘」とは?

貸別荘外観

ナチュラルな木の外壁が街の風景に溶け込む貸別荘「The Canvas Hayama Park」外観(写真提供/The Canvas Hayama Park)


維持費も固定費もかからずホテルのように宿泊料金のみで利用できる手軽な貸別荘。料金もピンからキリまでありますが、ここでは「別荘のようにラグジュアリーに過ごせる」をキーワードに貸別荘を検証してみました。

その一例として訪問したのは、湘南・葉山に2016年11月にオープンしたヴィラタイプの貸別荘「The Canvas Hayama Park」(運営:Ever Blue Sky)。都心から車で1時間ほど。まわりの景色がガラリと変わってくるのは横浜横須賀道路の釜利谷あたりでしょう。ビルや家並みより空や緑の木々のボリュームがぐんと大きくなってきます。逗子ICから逗葉道路を抜けて長柄の交差点を左に進めば葉山御用邸。The Canvas Hayama Parkは御用邸を越え、葉山公園の交差点を右に入ったエリアにあります。

葉山公園

湘南・葉山御用邸の隣接する葉山公園から見る海の風景。天気が良ければ富士山や江の島も見え、夏には海水浴場が目の前(写真提供/エンジョイワークス)


貸別荘に行く前に、海に面した県立葉山公園にちょっと寄り道してみます。天気が良ければ富士山と江の島が見える開放的なロケーション。夏には海水浴場やマリンスポーツで賑わうところです。整備された公園には立派なクロマツが枝を広げており、どこからかトンビの声が聞こえます。

この公園は御用邸付属の馬場であったところだそうです。海の香りを思い切り吸い込んで、ゆるゆる散歩したくなります。都内からあっという間にもかかわらず、伊豆半島に負けないリゾート感。まず「ラグジュアリーに過ごす」ために、このリゾート感は欠かせない条件のひとつです。

日常を忘れさせる開放感や調度品のクオリティも大切

「The Canvas Hayama park」

アイアンの螺旋階段や照明、家具にもこだわりが感じられる99平米タイプのリビングダイニング(写真提供/The Canvas Hayama Park)


さて、葉山公園から貸別荘までは歩いて1分ほどの近さです。

静かな住宅街の中に建物は全部で3棟。木の外壁に覆われたシンプルなデザインが特徴的です。3棟は横一列でなく、真ん中の小屋とツリーを囲むように建てられており、敷地全体でひとつの宿泊施設になっています。

まず3棟の真ん中に建つ1棟を見学しました。玄関を入ると1階はワンフロア使いのLDKです。床は大判のブラックスレート、そこにアンティークなダイニングテーブル、リビングにはイデーのソファや革張りチェアが置かれ、家具付きの高級リゾートホテルのような空間。リビングは吹抜けており、ハイサイドライトから緑の山が望めます。2階につながる螺旋階段や照明にはアイアンが用いられており、モダンな雰囲気。

キッチンデザイン

99平米台のキッチン。キッチントップにコンクリートのようなモールテックスを使用。非日常的な素材が新鮮だ


「この建物は地元のクリエイターが携わっており、階段は葉山在住、照明は佐島在住のアイアンアーティストによるものです」と説明してくれたのは、プロジェクトコーディネートのエンジョイワークスで設計デザインを担当した濱口さんです。室内全体のコーディネートは逗子在住のスタイリスト石井佳苗さんとのこと。さらに「暮らすように過ごしてもらいたい。別荘ライフに非日常を求めるように、この貸別荘ではいつもの日常でなく、ほどよい非日常を体感してほしいのです」と言葉を続けます。

確かに、こんな素敵な家に滞在すれば、洗練されたセンスや広々とした空間に刺激を受け、生活感がありすぎる普段の暮らしを見直すきっかけになりそうです。そういった、日常を忘れさせてくれるうっとりするようなしつらえも「ラグジュアリーに過ごす」ためには欠かせません

ボルダリング

ボルダリングなど室内でも楽しめる89平米台タイプ。初心者でも思わず挑戦したくなる仕掛けだ(写真提供/The Canvas Hayama Park)


この棟は2階にライブラリースペースと2つの寝室があり、広さは99.36平米。さらに2階がリビングになった棟は、ボルダリングの壁がある子育てファミリー向けの89.42平米プラン。もう1棟はペットと一緒に過ごせる79.48平米プランです。

どの棟にも外シャワーが付いているので、海から直接帰って来てもシャワーできれいに塩水を流して室内に入ることができます。

ベッドルーム

ペット可タイプのベッドルーム。これだけの広さは日常ではなかなか得難いのでは


貸別荘の宿泊料金は定員4名(最大5名まで)で1泊3万5000円から(季節や曜日によって異なる)。シティホテルと同じくらいでしょうか。食事の付くペンションに比べたら少し高いかもしれません。ただ食器や調理用品は常備されていますから、地元の新鮮な野菜や魚を手に入れて料理することができるのがホテルやペンションと異なるところ。

キッチンはリビングダイニングと一体化したオープンタイプなので、料理の腕をふるいたくなってくるはず。自分の気に入った食材やちょっと高めのドリンクを購入してきて、好きなように調理。「ラグジュアリーなディナーを楽しむ」ことができるのは貸別荘ならではのメリットと言えます。

大人が楽しめる空間であることもポイント

オープンしてまだ5カ月ほどですが、どんな人が利用しているのか聞いてみました。「東京から来られる30代後半から50代のファミリー層が中心。1泊が多いですが、ゴールデンウィークには2泊、3泊の予約も入っています」とのこと。地元の方が友人たちを呼んだとき、自分の別荘で部屋数が足りない場合にゲストハウスとして利用したり、地元を含めた女子会に使われることもあるそう。

観光目的やサービス目的になりがちなホテルやペンションでは手に入れられないものを、この貸別荘に求めているようです。

約80平米~90平米を自由に使える空間の広さ。ベッドルームだけになりがちなホテルやペンションに比べ、1棟まるごと使える開放感や自由度は代えがたいものがあります。また3棟全部借りることもできますから、複数家族のパーティーや親戚が集まる結婚式の宿泊場所、企業の研修やオフサイトミーティングなどにも使えそうです。

また貸別荘は長期滞在が醍醐味。夏休みなど子どもと一緒に1週間程度滞在するとなると、「暮らすように過ごせる」別荘にかなうものはないでしょう。

濱口さんは、「海だけでなく山も近い葉山は、楽しみ方を知る大人が集まる場所だと思います。夕焼けを見ながらのんびりするだけもいい。アクティブに過ごしたい人には海辺でヨガをしたり、釣りをしたり。山歩きのトレイルコースやランニングコースもありますから、宿泊のお客様にはいろいろな過ごし方を楽しんでいただきたいと思います」と話してくれました。

見学した貸別荘は葉山ですが、エリアを変えても貸別荘を探すことはできます。今回は「ラグジュアリー」をキーワードにしましたが、「温泉付き」「古民家」「大人数で泊まれる」など目的を持って探すことをオススメします。お気に入りの貸別荘を見つけたら、何度か通ってみましょう。まるで自分の別荘のように利用できるようになれば、そのときは本当に別荘オーナーになっても十分に使いこなせるはずです。

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