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自覚しにくい?精神的デートDVを克服した女性たち

殴る蹴るだけが暴力ではない。行動を制限されたり、執拗なまでに嫉妬されて嫌みを言われたりするのもまた、DVに入る。「好きだから」で納得してしまおうとせず、もう一度、関係を見直してみる必要がありそうだ。

亀山 早苗

執筆者:亀山 早苗

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行動を制限されたり、心を傷つけられたりしていない?

見られたくないのに、携帯チェックを強要されている人も

見られたくないのに、携帯チェックを強要されている人も

DV(デートDVを含む)というと、どうしても実際に殴る蹴る、あるいはそれに類するものと考えがちだが、たとえば行動を制限されることや精神的に傷つけられることも「暴力」の範疇である。

ただ、そのあたりはどうしても、「好きだから当然」「つきあっているのだからこのくらいしかたがない」と被害を受けているほうも思いやすい。


「携帯のパスコードを知られていた」――これもDV?

昨今、問題になっているのはLINEやメールのチェック。それもDVなのかと驚くかもしれないが、ひとりの人間の自由を認めていないという点で、「見られたくないのに見られてしまう」のなら大問題なのだ。

「私も携帯チェックされていました。パスコードを知られていたし、見られても別に問題はないんですが、スケジュールもスマホに入れているので、『この日は早く帰るって言ってたのに、実は飲み会やってたんだ』なんて言われてげんなり。それが続いて大げんかになって別れました。そういう男とは別れてよかったと思っています」(29歳・女性)

きっぱり別れられればそれに越したことはないが、別れる勇気がもてない人、このくらいで怒るのはおかしいのかもと我慢してしまう人、さまざまである。「自分がイヤなことは我慢しないではっきり言う」ことが大切なのかもしれない。


「あれっと思った」――離れてみてわかった、彼の「暴力」

別れてから、自由を感じるような付き合いはデートDVだったのかもしれない

しつこく理想の見た目を押し付けられることに、違和感も。

今になってみると、あれはDVに近いものだったと振り返ってくれた女性たちの話を紹介したい。

「ロングヘアに飽きてばっさり髪を切ったとき、つきあい始めたばかりの彼が『長いほうがよかったのに』と悲しそうな顔をしたんです。その後も何度も何度も『また伸ばして』と言うので、あれっと思ったんですよね。彼がロングヘアが好きなのは理解できる。でもそこまで執拗に私に伸ばせというのはちょっとおかしい、と」

アヤカさん(28歳)は、そう振り返る。だが、彼との関係を壊したくなかったし、そんなにロングヘアを気に入ってくれていたんだと思うとうれしい気持ちもあったので、そのままつきあい続けていた。

「つきあって半年くらいたったころから、私が友だちと出かけると言うと、『誰と行くの? 何時に帰るの?』と一緒に住んでいるわけでもないのに束縛するようになったんですよね。

私のことが心配だからと言うから、最初のうちはうれしかったけど、そのうち学生時代の友だちに会うと言うと、『そのグループの中に男はいるのか』『男たちとどういう話をしたんだ』などと詰問してくるようになって。ああ、やっぱりこの人は私を尊重するのではなく、縛りたいタイプなんだなとわかってすぐに別れました。

たまたま別れられたからよかったけど、あのまま言うことを聞きづけていたら、どうなったかわかりませんよね。当時は、それほど深刻に考えていなかったけど、今思うと怖いです」


こういうタイプの男性は、つきあいはじめの時期に「あれ?」と思うことが必ずあるはずだと、アヤカさんは言う。本当なら、もっと早く気づけたはずだった、とも。

ただ、好きな彼の言うことだから素直に聞き入れたいと思う女性も多いだろう。


「私は自由だったんだ」――彼の「呪縛」にハマっていた……

突然の別れに絶望するも……? 別れてから、自由を感じるような付き合いはデートDVだったのかもしれない

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もうひとり、マキコさん(27歳)も似たような経験をしたひとり。

「大学3年のとき、バイト先の社員だった7歳年上の男性とつきあっていたんです。私からみると大人の男性で、絶対的な存在でした。本気で好きだったから、彼が『マキコには、パンツよりスカートのほうが似合う』『赤系の口紅は似合わない』『パーマは似合わない』などと言うたび、その通りにしていたんです。信じ切っていたんですよね、彼の言うことを。私は清楚でおとなしくてかわいい女、それが彼の望む私であり、私らしさだと思いこんでいたんです」

20代前半の女性には、まだ「自分らしさ」などわからないし、自分に自信ももてない。そのときに大好きな男性が、「きみはこうだ」と決めつけるようなことを言ってきたら、素直に聞き入れてしまうだろう。

「だけど2年つきあったところで、彼に突然、別の女性ができて破局。もう生きていけないと思うくらい落ち込みました。あんなに好きだと言ってくれていたのに、裏切るなんて……。この先どうしたらいいかわからなかった。ただそのとき、友だちが『よかった。あなたはやっと彼の呪縛から解き放たれたんだよ』と言ったんです。最初はそんなことを言う友だちを恨んだりしたんですが、日がたつにつれて、つきものが落ちたような気持ちになりました」

今思えば……だが、マキコさんはつきあっていた2年の間に、心のどこかで彼を盲目的に信じる気持ちが薄れていった面はあるという。

その間に彼女が社会人になったこともあり、視野が広がって、彼だけが絶対ではなくなっていった。彼はその彼女の気持ちを不服に感じ、他の女性へと走ったのかもしれない。

「彼と別れてから、ああ、私は自由だったんだと思うことが増えて。パンツをはいても、『似合わない』と言われない。女友だちとショッピングに行ったとき、彼がどう思うだろうと考えず、自分の好きなものが買える。赤い口紅つけてパーマかけておしゃれを楽しんで……。その後、私が好きなように生きるのがいちばんだと言ってくれる男性にも巡り会えた。相手をいろいろな言葉で縛ろうとするのは愛情ではない。今ははっきりそう言えます」

人は誰でも「自由」をもっている。それを他人に阻害する権利はないのだ。もちろん、程度問題はある。

だが、不自由を感じたり不満を覚えたりしているのに、「好きだから」で自分を納得させようとしている恋愛、あなたにも覚えがあるのでは?

よく知られている身体的暴力や性的暴力などのDVについても、本人は自覚していないケースも。記事「44.5%が経験アリ、恋人からのデートDVの事例と実態」(https://allabout.co.jp/gm/gc/468375/)では、さまざまなデートDVの実例を紹介する。
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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