<今回のポイント>

「タワーマンションによる節税効果が薄れる」は本当か?

タワーマンションの上層階が増税となることによる、相続対策や節税効果への影響は?

タワーマンションの上層階が増税となることによる、相続対策や節税効果への影響は?


タワーマンション節税」がにわかに注目を浴び、昨年は「タワーマンションへの課税強化」がニュースなどで盛んに報じられました。相続税の課税強化があり、今度は「相続対策が封じられるのではないか」と心配する声も高まっていました。しかし、いざふたを開けてみると、その懸念は払しょくされました。

平成29年度税制改正大綱には、確かにタワーマンションの上層階がやや増税となる内容が盛り込まれましたが、相続対策には影響しないことがわかったからです。タワーマンション(20階建て以上の居住用超高層建築物)に関するポイントは、次のA~Cの通りです。

A.建物に対する固定資産税・都市計画税と不動産取得税の税額(評価額)が対象

B.改正前との比較では中間階は同じ、上層階になるほど増税、下層階になるほど減税となる。40階建てで税額を比べると、最上階住戸が改正前よりプラス5%、最下階住戸がマイナス5%くらい(図1参照)

C.適用対象は、2017年4月以降に契約し、2018年度から課税開始となる新築マンション

図1.タワマン課税強化の影響試算図版

図1.タワマン課税強化の影響試算図版


※マンションの固定資産税は、1棟全体の税額を各住戸の専有面積割合で按分して割り出すのが原則です。そのため改正前は、専有面積が同じなら税額も同じでした。実際のマーケットでは階数が違うと価格も変わるため、今回の改正では、その状況を税額に反映させる補正を行うことになったのです。補正方法は、按分する元になる専有面積を算定する際に、最下階を100として1階上がるごとに10/39(約0.256=階層別専有床面積補正率)を加えるというものです。40階建ての場合は「1階=100→40階=110」、1棟全体の固定資産税の総額は変わりません。

この改正による影響を整理すると、

a.相続税については触れておらず、相続対策には影響なし
次回(2018年度)以降の税制改正で検討するなどの憶測もありますが、固定資産税などとのバランスから見て、相続税だけを大幅に課税強化するとは考えにくいのではないでしょうか。

b.わずかな増税にとどまる
固定資産税や都市計画税の増税は、通常のファミリータイプの住戸なら年間で1~2万円に満たない金額です。もともと固定資産税は、新築で取得後5年間は税額が半分になる特例があり、不動産取得税は評価額から1,200万円控除を受けられる特例により税額がゼロになることが多いため、実質的な影響はほとんどないかもしれません。

c.新築マンションが対象のため、中古マンションの売買にはまったく影響なし
中古のタワーマンションなら、増税を気にすることなく従来と同じ感覚で購入できます。


マイホームに関わる税額軽減の特例はほぼ延長、2017年内に期限切れ予定の特例にも注意

中古マンションの購入判断を左右するような大きな改正は、他にはありません。今年度(2017年3月)で適用期限が切れる予定だったものは、そのほとんどが延長されています。代表的なのは登録免許税の特例税率です(図2参照)。

図2.登録免許税の特例税率の表

 

なお、今回の税制改正には直接関係しませんが、2017年末に期限を迎える特例が二つありますので、念のため覚えておいてください。

ひとつは「特定のマイホームの買い換え特例」です。居住期間が10年以上の自宅を売って、売却価格より高い住まいに買い換えた場合は、売却益に対する譲渡税が繰り延べられるというものです。無税になるわけではなく、次に売却するまで課税が繰り延べられるという点に注意してください。また、売却価格は1億円以内という制限があります。

ふたつ目は「マイホーム買い換えの譲渡損失の損益通算と繰り越し控除の特例」です。購入価格より売却価格が低い、つまり譲渡損失が出た場合に、給与所得など他の所得から控除(損益通算)できます。譲渡損失が大きくて控除しきれなかった場合は、翌年以降3年間に渡って繰り越し控除できるというものです。売却する資産の所有期間が5年超、買い換え先の購入に返済期間10年以上の住宅ローンがあること、合計所得金額が3,000万円以下などの条件があります。

どちらも年内(2017年末まで)に売却することが必要です。譲渡益・損失が大きくなる可能性があるなら、特例の使える時期に買い換えを検討したほうがいいかもしれません。


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