タバコ並みに有害!? ソーセージと大腸がんリスクの関係は?

ソーセージ

もう肉類は控えようといった過剰反応をする前に、正しい知識を学んでおきましょう

2015年10月、世界保健機関(WHO)の専門組織である国際がん研究機関(IARC)が、ハムやソーセージなどは、製品の加工段階でがんにつながる物質が生成されると指摘し、「加工肉を1日50g摂取すると大腸がんのリスクが18%も増加する」と発表しました。そのうえで、加工肉の発がん性評価について、タバコやアスベストと同じく、5段階中もっとも高いレベルであるグループ1に分類。また赤身肉は、人に対しておそらく発がん性があるとするグループ2Aに判定しています。

一方で、IARCの評価の基となったデータによると、全世界地域での赤肉摂取量はおおむね1日50~100gで、1日200g以上という地域もありました。一方、日本はどうでしょうか? 2013年の国民健康・栄養調査によると、日本人の1日の加工肉摂取量は平均13g、同じく赤肉は50gでした。これにより、日本は加工肉や赤肉の摂取量が世界でもっとも低い国のひとつだと分かります。

ところで、50gの加工肉といえば、ハムなら3~4枚、ソーセージなら2~3本に当たります。ソーセージ2~3本で大腸がんのリスクが18%も増加するとすれば、それは毎日の食生活にたいへんな影響を与えます。この報告は日本はもとより、世界中で大きな衝撃を持って受け止められたのです。

今回のIARCの報告は、日常の食事に非常に大きく関連するショッキングな指摘だったことから、その後、各国から多くの反論が出ました。このためWHOは後日、「この報告は、加工肉を食べないように要請するものではない」と改めて発表しています。

平均的な食生活をする日本人には影響なし

日本国内のがん研究では、加工肉や赤肉とがんとの関係について、どのような結果が出ているのでしょうか。

2011年に国立がん研究センターが発表したデータがあります。国内の45~74歳の男女8万人を対象に、赤肉・加工肉摂取量と大腸がん罹患リスクについて1995年から2006年までの10年以上にわたって追跡調査したものです。

その結果、豚や牛の肉を1日80g以上食べるグループでは、25g未満しか食べないグループと比べると、女性で結腸がんのリスクが高いことが示されました。男性では、肉全体の摂取量がもっとも多いグループでリスク上昇はみられましたが、赤肉ではとくに関連は示されませんでした。さらに、加工肉については男女ともに、摂取量と発がん性の関連は見られなかったとの結論を出しています。

国立がん研究センターは、IARC /WHOの発表を受けて、「大腸がんの発生に関しては、日本人の平均的な摂取の範囲であれば赤肉や加工肉がリスクに与える影響は無いか、あっても小さい」と声明を出しています。

少なくとも日本人に関しては、一般的な食生活を送っているかぎりは、いままで通りハムやソーセージ、赤肉を食べていても問題ないということです。

過剰反応にご注意を! 適量の肉は健康のためにも必要

ただし、加工肉や赤肉を過剰にとりすぎれば、大腸がんのリスクを上げる可能性があることに変わりはありません。世界がん研究基金(WCRF)と米国がん研究協会(AICR)が2007年に示した報告書では、赤肉の摂取量を週に500g未満にするよう推奨しています。

一方で、肉には良質なたんぱく質やビタミンB、鉄、亜鉛など、健康に欠かせない成分が多く含まれています。これらが不足すると、体調不良や鉄欠乏性貧血などの病気を引き起こす可能性があります。肉類は食べ過ぎてはいけませんが、適量を食べることは人間の体にとって大切なのです。

いずれにしても、日本人の平均的な肉類摂取量は欧米人よりかなり少ないのですが、戦後から現在までつづく「食習慣の欧米化」によって、肉の摂取量は増加しています。それに合わせて大腸がんも増加傾向にあるので、注意は必要だといえるでしょう。

毎日の食事では、塩蔵品を控え、野菜・果物を積極的にとり、熱い飲食物を避けるようにすることです。さらに適度な運動を生活習慣に加えることで、上手にがんを予防していきましょう。(監修:今村 甲彦
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