将来、健康に問題が出てもこの資金で足りるか不安です

派遣社員で老後のお金は足りる?

派遣社員で老後のお金は足りる?

皆さんから寄せられた家計の悩みにお答えする、その名も「マネープランクリニック」。今回の相談者は、派遣で働き続けたい40代の独身女性。ファイナンシャル・プランナーの八ツ井慶子さんがアドバイスします。
※マネープランクリニックに相談したい方はコチラのリンクからご応募ください。(相談は無料になります)

■相談者
なつみさん(仮名)
女性/派遣社員/44歳
埼玉県/持ち家・マンション

■家族構成
独身、一人暮らし

■相談内容
国家資格を持っていて、派遣社員として働いています。選り好みさえしなければいくらでもある仕事です。ある程度の余裕はあるので、ボーナスをもらえる正社員より、休みなどの融通が効く、派遣社員が理想です。ガツガツ働いて貯めても、残す相手もいないので、充分だと思っています。年に2回行く海外旅行ぐらいしか、お金を使いません。両親ももうおりませんし、これから独りで生活していく覚悟はできていますが、今後の健康状態にやや不安を感じています。今は、何事もなく健康に生活できていますが、いずれ健康問題が出て来たとき、この資金で充分なのか?と心配になりました。医療保険のみに入っていて、終身で契約しています。このままの生活で大丈夫でしょうか?

■家計収支データ
「なつみ」さんの家計収支データ

「なつみ」さんの家計収支データ



■家計収支データ補足
(1)仕事について
希望としては、仕事は60歳までにしたいが、生活が成り立たないような状況があれば、65歳まで頑張ろうかと思っている。ただし賃金は下がるかもしれない。

(2)住宅ローンについて
ローンはすでに完済。

(3)固定資産税について
7万8000円

(4)加入している保険の内訳
・本人/医療保険(終身保障終身払い、入院1万円、手術20万円)=毎月の保険料4000円

(5)厚生年金について
現在、派遣会社の厚生年金に加入している。これまで通算16年加入。

(6)収支について
不定期の大きな支出は年1、2回の海外旅行。多いときは100万円ほどかかった旅行もある。それでも、平均すれば、年間100万円は貯蓄できている。

■FP八ツ井慶子からの3つのアドバイス
アドバイス1 60歳リタイアの老後資金を計算
アドバイス2 医療費は手持ち資金でカバーするのも手
アドバイス3 医療保険加入の必要性は高くはない
 

アドバイス1 60歳リタイアの老後資金を計算

まずは、今後の収支予測からキャッシュフローを検討してみましょう。前提として、ご希望どおり60歳でリタイアとなり、それまでは今と同じ給与水準が継続されるとします。

毎月の家計支出が9万5000円。これだけであれば毎月、17万円が貯蓄に回せます。ただし、ボーナスがありませんから、固定資産税や趣味の旅行費用、さらに冠婚葬祭費など不定期な支出は結果的に、毎月の貯蓄から捻出することになります。

それらを差し引いても、結果的に年間100万円は貯蓄できているこのことですから、60歳までの16年間で1600万円。今ある貯蓄に加算すれば、定年時の貯蓄は約5600万円となります。

60歳から65歳までは無収入となり、貯蓄を取り崩す生活となります。今と同じ生活水準(実質の生活費が月16万5000円程度)が続くとすると、5年間で990万円。65歳の時点で貯蓄は4600万円に目減りし、それ以降の老後資金となります。

問題はこれで足りるかどうかですが、もちろん、人生は何が起こるかわからないので、言い切れるものではありませんが、なつみさんの生活費から考えると余裕のもてる金額といえるのではないでしょうか。
 

アドバイス2 医療費は手持ち資金でカバーできる

なつみさんが受給する老齢年金の金額はわかりませんが、今後も厚生年金に加入していきますね。仮に老後の生活費も今と同程度の月9万5000円とすれば、税金、社会保険料の支払いをそれに加えても、公的年金の範囲内で生活できる可能性があります。

仮に、毎月の生活費以外のいわゆる不定期支出として年間100万円を計上しても、90歳まで生きるとすると25年間で2500万円。それでも2100万円が余る計算になります。ご心配の医療費ですが、まとまった資金をすでにおもちなので、貯蓄で備えるのも手です。

今後、大きな支出として考えられるものの一つは、お住まいのマンションの大規模修繕でしょうか。追加で住民がまとまった修繕費を負担しなければならないケースは考えられます。実際に60歳近くになったときに、金融資産額とそのときの状況を考えて、リタイヤの年齢を決めるといいでしょう。
 

アドバイス3 医療保険加入の必要性は高くはない

加入されている医療保険についても触れます。

その加入時期は不明ですが、仮に今年だとしても90歳まで生きたとして支払い期間は46年間。保険料は月4000円ですから、トータルで220万円ほど支払うことになります。つまりは、入院給付金が日額1万円なので、手術を2回したとしても通算180日入院しないと元が取れないということになるわけです。

これをどう考えるかです。資金から拠出する(=かかる医療費は貯蓄でカバーできる)と考えると、あえて加入しなくてもいいでしょう。ただし、保険加入によって安心感を得られるという場合もあります。であれば、継続しても構いませんし、あるいは入院日額を半分の5000円に減額し、保険料コストを抑えてもいいでしょう。

また、働き方についても、先の試算は60歳で完全リタイアとしましたが、国家資格を持つお仕事ですし、60歳以降も継続して働くという選択肢も当然あります。そうなればさらに資金的余裕が生まれるでしょう。また、働くことで社会と接するというメリットもあります。今と同様、フルタイムで働く必要はないので、自分に合った距離感で社会に属することは、なつみさんにとってプラスかもしれません。まだ時間は十分にありますので、ゆっくり考えていけばいいでしょう。

ともあれ、無理無駄のない、賢い家計管理をされています。同時に旅行など、生活も十分に楽しまれていると感じます。これまでの生き方、考え方を信じて、今後も生活されていけば問題はないと思われます。
 

相談者「なつみ」さんより寄せられた感想

頼れるものが自分だけですので、将来のことが不安ではありましたが、先生のアドバイスを頂き、とても安心しました。普段の生活は非常に質素ですので、特に頑張って節約しているという意識はあまりなかったのですが、安くできるのであれば、いざという時の為に加入している医療保険の条件を、見直してみることも考えてみます。唯一の贅沢が年1~2回の旅行だけですので、生活に支障がない程度に、これからも楽しみたいと思います。この度は、本当にありがとうございました。


教えてくれたのは……
八ツ井慶子さん
 
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ファイナンシャル・プランナー。大学卒業後大手信用金庫に入庫。本当にお客様にとっていいものを勧められる立場になりたいとの思いから、個人相談が中心のファイナンシャル・プランナーとして独立。近著に『ムダづかい女子が幸せになる38のルール』(かんき出版)と『サラリーマン家庭は"増税破産"する! 』(角川oneテーマ21)がある。テレビ、新聞、雑誌などでも活躍中。All Aboutマネーのガイドを務める


取材・文/清水京武 イラスト/モリナガ・ヨウ

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