いつでも必要な時に、痛みも手間もなく血糖値を知りたい

糖尿病に対してきちんとした治療を受けている人達は、普通の人と同じような人生を全うできる時代になりました。治療の目的も合併症予防だけでなく、ごく普通の人生を送るレベルまで高まり、新しい治療薬や医療器具の素晴らしい進歩が患者を支えてくれています。しかし、治療が容易になったのは事実ですが、よりベストな治療を可能にしていくためには、患者にも、それを達成するためにより積極的に治療に関与しアクションしていくことが求められます。

糖尿病ビギナーには少し奇異に聞こえるかも知れませんが、今も昔も「糖尿病」というものは、患者自身が治療する病気なのです。毎日の食事の量と質を選び、運動療法、服薬、血糖自己測定をして、自分でインスリン注射量を決められた範囲内で調節するなど、家族と医療スタッフのサポートを受けながらも、すべては本人の意志と行動に委ねられているのです。

長い人生を糖尿病と向き合っていくには完璧を求めてはいけません。少しずつ上手になりながら、常によくなるように努力することです。

この日課となっている手順の中で、気が重くなるような「痛み」を伴うものが、血糖自己測定です。特に指先が冷たい冬は穿刺針を深く刺さなくては採血ができませんし、その痛みを少なくするために指を温水で温めるのも時間と手間がかかります。低血糖の自覚がある時は、とてもそんなことをしている余裕もありません。更に負担になるのは、わが国の医療制度ではインスリン治療に不可欠な血糖測定のセンサーや穿刺針が健康保険では十分にカバーされていないため、不足分を自費で購入しなくてはならないことです。このコストが血糖測定一回につき140円かかりますから、指にも財布にも痛い!ものなのです。

しかしここへきて、採血が必要な従来型の血糖測定器(BGM)や、皮下のグルコース濃度を数日間測定する持続グルコースモニター(CGM)に対し、患者にとってより優しい、便利で低コストの「FGM(フラッシュグルコースモニタリングシステム)」が新たに登場しました。「血糖値スパイク」について特集したTV番組をご覧になった方も多いでしょう。食後の血糖値が急上昇する怖さは、できれば味わいたくありません。いつでも必要な時に、痛みも手間もなく血糖値を知ることが出来れば……と、糖尿病患者なら誰でも夢見ていたはずです。特にインスリン治療を行っている人には不可欠かつ切実な願いでした。

毎日の痛みから解放される「FGM」のメリット

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この新しいFGM(フラッシュグルコースモニタリングシステム)とは、上腕の後部につけたセンサーに、リーダー(読取機)を服の上からかざすだけで、瞬時に血糖値を測定できるものです。センサーは最長14日の間、自動的に毎分測定し、記録し続けます。ですので、リーダーをかざした瞬間だけでなく、過去の血糖値推移も簡単に知ることが出来るのです。正確には血液中のグルコース(ブドウ糖)の値ではなく、間質液(血管外の組織細胞間にある体液で、血しょうからタンパクを除いた濾過液のようなもの)のグルコース濃度を測っています。従来のCGMでは、食事や強い運動などで血糖値が急速に変化している場合、数値に若干のタイムラグが生じることがあり、その場合は直ちに採血による血糖測定で確認する必要がありました。データ補正のためにも、常に別の血糖測定器を用意してなければならなかったのです。嬉しいことにこのFGMは、SMBGのセンサーを用いて血糖測定できる機能がリーダーについているので、まったく問題ありません。従来のCGMのように、補正のための一日数回の血糖測定も必要ないので、極めてシンプルに血糖管理が出来るのです。

毎回の指先穿刺による痛みから解放されるだけでなく、いつでも、どこでも、一日に何度でも手軽に測れ、計測した血糖推移をわかりやすくグラフで確認できるため、患者負担が大きく軽減します。患者自身による血糖管理が非常に容易になり、その内容もレベルの高いものになります。

FGMのメリット
  • 痛くない
  • いつでもどこでも、何回でも測定できる(まったく煩わしくない)
  • 日々自動的に測定・記録された血糖推移データから、一日の血糖変動を平均化した「線のデータ」として推移グラフを作成できる
  • 課題があれば医療プロバイダーと共に具体的に対処法を検討できるようになる

手軽だから、意志と意欲をもって血糖コントロールを続けることが可能に

FGMは、血糖コントロールに向き合う人々の生活をとても楽にしてくれます。忙しいビジネスマンが、現実的に一日に何度も血糖自己測定が可能か? でも、FGMなら、PCに向き合いながらでも1秒で、移動しながらでも1秒で、会食中にも食後でも1秒で、スマートに測定できます。人目をはばかることもなく、目立つこともありません。血糖の状態を不安に思いながら、人前での血糖測定を先延ばしにして、危険な低血糖のリスクを負うこともなくなります。また、自分の血糖変動の動向がすぐにわかるので、意欲を持って血糖コントロールを続けることが出来るようになります。

また、例えば1型糖尿病の小さな子どもでも、6歳以上であれば使用することが出来るので、子どもに毎回痛い思いをさせずに済むことは、子どもの気持ちだけでなく家族全員の気持ちも救ってくれます。特に子どもの場合は寝ている間の低血糖が心配になりますが、子どもがつけているセンサーにリーダーをそっとかざすだけで測定できますから、眠りを妨げることもありません。1型糖尿病の子どもたちとその家族にも、自由をプレゼントしてくれるでしょう。

私は2型糖尿病と40年以上もつき合っていますが、2型はどんなにコントロールがよくてもゆっくりと進行する病気なので、15年前からインスリンのみで血糖コントロールをしています。日中の活動量が大きいと就寝中にマイルドな低血糖をおこすことがあります。異様な覚醒感がある時は血糖自己測定をしますが、眠い目をこすりながら行うのは、なんとも辛いものです。こんな時、ベッドに横になったままで1秒でピッ!と測定できればなんともありがたいことですね。
また、ウィンタースポーツも好きなのですが、通常の血糖測定器は10℃以下の気温では正常に作動しません。これには本当に困っていましたが、FGMなら服の上からワンタッチでOK!ですから寒い場所でも助かります。ほかにも、たとえば緊張を伴うような仕事に従事している糖尿病者には不可欠な血糖測定器になることは間違いないでしょう。

また、先述した「血糖値スパイク」に対しても、FGMを使えば食事や運動後の数値を把握し、対処を繰り返すことで学習能力が上がり、よりよいコントロールができるようになります。

このFGMが広く使われるようになれば、患者自身の血糖管理が容易になりますし、日本の糖尿病治療のレベルがとても高くなるような期待が持てます。皆さんも、今後の血糖自己測定がどのように進化していくか、FGMに関連したニュースなどをチェックしてその動向をウォッチすることをおすすめしたいと思います。

関連リンク:
アボット ジャパン
糖尿病ネットワーク

 

取材協力:アボット ジャパン