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オススメはディーゼル。コンパクトSUVのBMW X1

初代X3に迫るボディサイズをもつ、立派なコンパクトSUVに進化した2世代目。追加設定された2Lディーゼルターボ搭載モデルがオススメです。穏やかで、気持ちよくまわり、力強い最新ディーゼルの走りを中心にレポートします。

西川 淳

執筆者:西川 淳

車ガイド

分かりやすく立派なコンパクトSUVに

BMW X1

BMWで最もコンパクトなSUVの2世代目。初代のFRからFFへと変更、ボディサイズは全長30mm低く、35mm高められ、全長4455mm×全幅1820mm×全高1600mm(25i Mスポーツ 写真)


第2世代となるX1が日本デビューをはたしたのは2015年10月のこと。先代のX1は、E91の3シリーズツーリングをベースに、ラギッドなSUVルックスに仕立てあげたグランドワゴンスタイルだった。

ところが、2代目になってすっかり宗旨替えをしてみせる。このクラスでは“常識”のFF(前輪駆動)ベースで、姿形からして誰もが分かりやすい立派なコンパクトSUVとなったのだ。

実際、そのボディサイズはほとんど初代X3に迫っている。現行型のX3が初代X5にサイズですでに近づいていたわけだから、進化に伴う一定の大型化は避けられないということだろう。

日本デビュー時には、ガソリンエンジン搭載グレードのみの用意だったが、その後、X1には初となるディーゼルエンジン搭載グレードも登場。ラインナップの充実を図っている。

BMW X1

1.5L直3ターボの18i(385万~431万円)、2L直4ターボの20i(473万~511万円)と25i(569万~591万円)に加え、2L直4ディーゼルターボの18d(440万~486万円)をラインナップ


ディーゼル搭載モデルは、xドライブ18dと呼ばれ、ノーマル仕様のほか、装備充実のxラインとアグレッシブなMスポーツを用意するのは他グレードと同様だ。18とは名乗っているものの、ガソリンエンジンのsドライブ18iが3気筒の1.5Lターボを積んでいるのとは違って、2Lの4気筒ターボエンジンを搭載する。また、ガソリンエンジンの18iがFF+6ATであるのに対して、18dには4WD+8ATのみの設定、というあたりも大きな違い。

もちろん、エンジン性能もまるで違っている。18dの最大トルクは330Nmと、350Nmのガソリンエンジン最上級グレード25i並み。それでいて、燃費性能は断然、優れている。sドライブ18iより約40万円高、xドライブ20iより約40万円安、という価格設定をみるにつけ、なるほどこのxドライブ18dこそ、X1の真打ちだろう。

BMW X1

タッチパッドの付いたコントローラーを備える、iDriveナビゲーションシステムを標準装備。アンビエント・ライトを備え、ラグジュアリーな雰囲気も演出した

BMW X1

旧型より着座位置が前席36mm、後席64mm高くなり、より良好な視界と乗降性を確保した

BMW X1

前後130mmのスライディング機能をもつ後席は、旧型よりニールームを最大66mm拡大。ラゲージルームに設置されたボタンでシートバックを簡単に倒せる

BMW X1

ラゲージルームは旧型より85L広くなり505Lに。2列目シートを倒せば最大1550Lに拡大する


走り出してしまえばディーゼルであるとは思うまい

BMW X1

各グレードにはベースモデルに加え、内外装をよりSUVらしく仕立てるxライン、走りを強調したMスポーツをラインナップ(25iはベースモデルの設定なし)。MスポーツにはMスポーツサスペンションなど、M社が開発した専用装備を装着している


この4気筒ディーゼルターボエンジンと8速オートマチックそのものは、すでに同じFF系シャシーをベースとした2シリーズのアクティブツアラーとグランツアラーに搭載済みだ。重量の増す4WDのSUVとの組み合わせで、走りはどんなフィールになっているのだろうか。

取材車両は、BMWなかで最も小さいSUVにはとても見えないほどに押し出しの効いた、Mスポーツだった。

フロントバンパーには大きなグリルが3つ開いていて、リアのバンパーにもユニークなデザイン処理が施されている。フェンダーアーチはエクストラスパッツで拡げられていて、18インチ、もしくは19インチのMライトアロイ・ダブルスポークホイールを収めており、ちょっと無骨なデザインのサイドスカートで前後ホイール間を繋いでみせれば、車高もぐっと下がってみえるという寸法だ。もちろん、サスペンションはM仕立てのスポーツタイプをおごっている。

BMWの高級グレードというと、昔から、窓枠の処理をハイグロスシャドーに仕立てることが定番になっている。このMスポーツでは、ルーフラインやキドニーグリル内のフィンまで、ハイグロスシャドー仕上げで、全体的な雰囲気もきりっと引き締まってみえる。

そもそもX1自体、X3が真横に並んでもこない限り、“1” (=BMWにおいては最も小さいモデル)とは思えない存在感を放っていた。それをさらに前述したような迫力のエアロパーツやスペシャルな仕立てで“武装”してみせたのだから、もはや“1”に見えないとしてもまったく不思議じゃない。

逆にいうと、それだけ堂々とした雰囲気をみせていたがゆえに、例えばFFだったとはいえ18iの走りはかったるくてしようがないと思ったし、20iでも少々モノ足りなさがつきまとったものだ。

BMW X1

150ps/330Nmを発生する 2L直4ディーゼルターボ(18d)、136ps/220Nmの1.5L直3ターボ(18i)、192ps/280Nm(20i)と231ps/350Nm(25i)の2L直4ターボを用意。18dのJC08モード燃費は19.6km/l


ところが、最大トルク330Nmの実力はダテではなかった。想像より少しだけ強い力が、アクセルペダルひと踏みで発揮される。力強いにも関わらず、8ATとのコンビネーションで、加減速はラク。太めのMスポーツの革巻ステアリングホイールを握る手にも、自然と力が入ってくる。

ダコタレザーのシートのしっかりとしたサポートに脇を固められて、もう少し思い切ってアクセルペダルを踏んでみた。決して強烈ではないけれど、前車がみるみるうちに迫ってくる、という感覚の加速は、やっぱり十二分にして速いというべきだ。重量増だって何のその、とても使い勝手のいいパフォーマンスである。

この最新式ディーゼルエンジンは、静粛性においても評価できる。昔ながらのディーゼルや初期のBMWディーゼルを知る人が乗ってももちろん、他ブランドで最新式を知っている人でも、走り出してしまえばディーゼルであるとは思うまい。それほど穏やかで、そのうえBMWらしく気持ちよくまわり、しかも力強い。

BMW X1

エンジンとブレーキを制御することで、コーナリング時の安定とハンドリング性能を向上させるパフォーマンス・コントロールを装備


スポーツサスとはいえ、妙につっぱった硬さを感じさせず、バタツキも少なかった。むしろ、自在に操れる印象のほうが、すがすがしく残っている。走りの総合的なクオリティという点ではFRベースのX3以上には確かに及ばないけれども、コストパフォーマンスを考えると、X1という選択もアリだろう。

BMW X1

オンデマンド式インテリジェント4輪駆動システムのxドライブを採用。通常は効率的走行のためトルクをフロントに伝達、車両データからオーバー/アンダーステアなどの兆候を察知すると、前後アクスルへトルクを可変配分してくれる

※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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