【この記事のポイント】
最新、投資物件の利回りの動き
市況のピークはいま?
金融機関の融資姿勢に価格が左右される
海外情勢の影響は小さい?

物件種別によって異なる投資物件マーケットの今

年末の記事で、不動産投資にまつわる昨年(2016年)のニュースを振り返りました。今回は、利回りや物件価格の推移を中心に解説していきます。

2013年から2015年まで、投資物件の表面利回りは3年に渡って右肩下がりを続けてきました。2016年後半、その傾向に変化がありました。物件種別とエリアによって動きに違いがありますので、それぞれ詳しくみてみましょう。

<区分マンション>
図1.区分マンションの利回り推移グラフ

※東京都心5区:千代田、中央、港、渋谷、新宿/東京23区南:目黒、品川、大田、世田谷


図1は、区分マンションの売り出し価格をベースにした表面利回り(以降「利回り」)の推移です。東京都心5区は、2016年の半ば頃から右肩下がりに歯止めがかかり、横ばいの状態に移っています。東京23区南や横浜・川崎、大阪など、その他のエリアは、同じ頃から上昇に転じました。

都心5区については、賃料が若干上昇している地域があるため、「価格の上昇(利回りの低下)」と「賃料の上昇(利回りの上昇)」が相殺し、利回りが横ばいになっていると考えられます。その他のエリアは、賃料水準に大きな変化はありませんので、利回りが上がったということは価格の下落を意味している、と見てよさそうです。


<一棟マンション>
図2.一棟マンションの利回り推移グラフ

 一棟マンションの表面利回りの推移


次に、一棟マンションについて見てみましょう。区分と一棟とは、同じマンションでも動きが異なります(図2参照)。東京都心5区の利回りは、まだ右肩下がりが続いています。平均では4%半ばですが、個別の物件の中には4%を切り、3%台後半で取引されているケースもあります。

都心部では、「世界的に見ればまだ東京は割安」と見る海外からのインバウンド投資や、「希少性の高い立地に資産を持っておきたい」という国内富裕層といった、キャッシュで購入できる層からのニーズがあります。そのため、多少利回りが低くても、取引が成立するのです。

その他のエリアでは、富裕層やインバウンドの影響は小さくなります。ローンを組んで購入するケースが中心で、サラリーマン投資家の需要もあります。全額借入(フルローン)でキャッシュフローをプラスに保つには、最低でも表面利回り5%以上というのが、一つの目安といえるでしょう。

東京23区南エリアでは、2016年なかばごろに5%台前半まで下がり、その後上向きに戻しています。この動きは、そうしたニーズを反映しているともいえます。

横浜・川崎エリアでは、右肩下がりが続いている状態です。東京の近接エリアとして相対的に利回りが高い水準のため、まだ低下する余地があるのかもしれません。大阪は、2016年後半から既に横ばいに近い状態で揺れ動いています。


<売りアパート>
図3.売りアパートの利回り推移グラフ

 

売りアパートは、インバウンド投資の投資対象になりにくく、また耐用年数が短いことから融資期間を長く取ることができないため、中古物件に限っては、これ以上の価格上昇は恐らく難しいと考えられます。実際に、2015年の早い段階から横ばいに転じています。

横浜・川崎のように平均の利回りが低下しているエリアは、新築の売りアパートが増えている可能性が考えられます。新築アパートであれば、35年という長期の融資期間での借り入れが可能なためです。


現在は、市況の拡大期のピーク?

次に、プロの投資家が現在の不動産投資市場をどう見ているかを押さえておきましょう。図4は、日本不動産研究所が、アセット・マネジャーや機関投資家などを対象に行った市況感の調査です(「第35回不動産投資家調査(2016年10月現在)」)。

図4.市況の波の状態を示す概念図

 

東京、大阪ともに、2016年4月時点では右肩上がりの「拡大期」でしたが、2016年10月調査時点はピークに近い(5)という判断で、半年後も同じ状況と予想しています。

また、同じ調査で「現在の状況がいつまで続くか」について質問した項目もあります。もっとも多い回答は、「オフィス」や「レジデンシャル(ワンルーム・ファミリー)」が「2018年頃まで」、「ホテル」は「2020年東京五輪頃まで」でした。しばらくは、現在の状況が変わらないと予測されています。


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