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総まくり2016・日本編

2016年もLGBTに関連して本当に様々、よかったことがありました。企業のアライ化の急速な進展も素晴らしいし、那覇市や札幌市が同性パートナーシップ証明制度を始めることになったのも素晴らしい、東京レインボープライドの盛大さも素晴らしかったです。なのですが、これまでに比べて最も際立って素晴らしかった、2016年が記念すべき年として記憶されるようなジャンルは何かと問われたら、ゴトウは映画やミュージカルだったと答えます。今回はエンタメ界のお話からスタートいたします。


エンタメ界は過去最高の輝きを見せました


『キャロル』

ゴトウが「ベスト同性愛映画」を選ぶなら、No.1は『キャロル』になるかも……それくらい、素晴らしい作品でした。

まずは、映画から。2月に『キャロル』が上映されました。パトリシア・ハイスミスの原作を、ゲイの監督トッド・ヘインズが至上の映像美で映画化し、ケイト・ブランシェット&ルーニー・マーラという当代最高の女優が演じきった不朽の名作です。『キャロル』の登場によって、名作ゲイ映画ランキングが久しぶりに塗り替えられることになりました。3月には『人生は小説よりも奇なり』や『リリーのすべて』が相次いで公開され、名作ラッシュの様相を呈しました。7月には第25回レインボー・リール東京(東京国際レズビアン&ゲイ映画祭)が開催。10月末~11月初めには第29回東京国際映画祭で数本のクィア・ムービーが上映されただけでなく、フィリピンのトランスジェンダーを描いた作品『ダイ・ビューティフル』が観客賞と主演男優賞に輝きました。続いて、涙なしには観ることができない名作『ハンズ・オブ・ラヴ 手のひらの勇気』や、知られざる東ドイツ映画の傑作『COMING OUT』なども上映されました。そしてクリスマスには『ストーンウォール』が公開。スゴいです。圧倒的です。かつてこれほど観るべき映画が次から次に怒涛のように押し寄せた年はありませんでした。

演劇も充実していました。フライングステージの『Family,Familiar 家族、かぞく』(昨年の『Friend, Friends』の続編)もよかったですが、個人的には『カムアウト 2016←→1989』という作品に衝撃を受け(今までさんざん芝居を観てきましたが、これは文字通り衝撃でした)、トニー賞作品の日本初演である『Take me out』には、深い感銘を受けました。スター選手のカミングアウトによってメジャーリーグのチーム内に波風が…という物語ですが、アメリカ社会の、トランプ当選後のヘイトが蔓延している今の状況をも示唆するようなリアリティに肉薄するような傑作でした。

『プリシラ』

ドラァグクィーンが日生劇場の舞台に! 『プリシラ』はいろんな意味で夢のステージだったと思います。ブラボー!のひとこと。

そして、ミュージカルです。6月に『ラディアント・ベイビー~キース・ヘリングの生涯~』が上演されました。アートと人生、そしてGAY、SEX、AIDSのこともありのままに描き、共感と感動を呼ぶような、素晴らしい作品でした。10月には『キンキーブーツ』が上演され、ゴトウはブロードウェイ版の方を観たのですが、予想以上に素晴らしくて、号泣してしまいました…。そして、12月の『プリシラ』です。エスムラルダさんが脚本の翻訳に携わり、オナンさんも出演するドラァグクィーン・ミュージカルは大フィーバーを巻き起こしました。


企業のアライ化が急速に進展しました


さて、次に2016年のトピックとして挙げたいのは、企業のアライ化です(「アライ」については、私の記事「『アライ』になるためにはどうすればいいの?」を読んでください)。昨年、渋谷区の同性パートナーシップ条例をきっかけとして、生命保険会社が受取人に同性パートナーを指定できるようにするというエポックメイキングな出来事がありましたが、2016年はその後を受けて、本当に多くの企業が目覚ましい変化を遂げました。

同性パートナーも配偶者(家族)と認め、結婚している男女と同等の福利厚生(慶弔休暇や慶弔金など)を適用するようになった企業としては、2月にパナソニックが、4月にNTTが(以前から申し出があれば対応してきたそうですが、初めて明文化し、グループ全体に周知したそうです)、6月には朝日新聞社が、7月には楽天や損害保険ジャパン日本興亜株式会社が、9月にはソフトバンクが名乗りを上げました。SOMPOホールディングスは、トランスジェンダー従業員のために「だれでも更衣室」や「だれでもトイレ」を設置しました。年末にはローソンがLGBT施策に向けて社内に検討チームを発足させたと発表しました。

商品・サービス面での取り組みとしては、2月に日本航空が、5月に日本トランスオーシャン航空が同性パートナーも家族としてマイル共有できるようにしました。8月には東京海上日動火災保険が同性パートナーを「配偶者」として扱う火災保険や自動車保険を開発、11月には邦銀で初めて、東京スター銀行が同性パートナーにも家族優遇を適用する商品を発表しました。

特にニュースにはなっていなくとも、社内研修や社内規程の見直しなど何らかの取組みを実施した企業は急速に増えています。そのことが明らかになったのが、10月のwork with Pride 2016で行われた「PRIDE指標授賞式」でした。1.Policy(行動宣言)、2.Representation(当事者コミュニティ)、3.Inspiration(啓発活動)、4.Development(人事制度・プログラム)、5.Engagement(社会貢献・渉外活動)という5つの指標のすべてで取組みを行い、「ゴールド」に認定された企業は50社以上に上りました。

それから、電通ダイバーシティ・ラボに続き、博報堂もLGBT総合研究所を立ち上げ、その調査の結果、性的マイノリティが人口の8%にのぼるということが発表されました。

GWに代々木公園で行われた東京レインボープライドには、過去最高の100近い企業が協賛し、企業ブースが広場を埋め尽くしている光景に、会場を訪れたLGBTからも感嘆の声が上がっていました。当事者を代表するわけではないのですが、2016年、LGBTへの理解と共感を示し、アライ企業として支援してくださるようになった企業の方たちに、お礼を申し上げたい気持ちです。


行政の支援も拡がっています


企業だけでなく、地方自治体を中心とした行政機関もLGBT支援に動き出しています。

ピンクドット沖縄

那覇市共催の「ピンクドット沖縄」で結婚式を挙げ、市長さんから同性パートナーシップ証明書を授与されたゲイカップルのお二人。おめでとうございます!

昨年、渋谷区・世田谷区の同性パートナーシップ証明制度をスタートさせたのに続き、4月に三重県伊賀市でパートナーシップ宣誓制度がスタートし、市役所前で記念イベントが行われました。6月には兵庫県宝塚市が同性パートナーシップ証明制度をスタートさせました。そして、7月には沖縄県那覇市が同性パートナーシップ証明を施行、ピンクドット沖縄では那覇市の同性パートナーシップ証明制度第1号のゲイカップルが結婚式を挙げ、MAXのLINAさんや中島美嘉さんらが祝福しました。そしてつい最近、北海道札幌市が、同様に同性パートナーシップ証明制度の導入する方針を固め、2017年から実施されることになりました。政令指定都市としては初です。

また、8月に岐阜県関市がLGBT支援宣言を行ったほか、9月に沖縄県浦添市がLGBT支援宣言を行うことになりました(2017年1月予定)。また、11月に千葉市が同性パートナーがいる市職員も結婚・介護休暇制度を利用できるようにすると発表しました。

渋谷区では、渋谷男女平等・ダイバーシティセンター〈アイリス〉をLGBTに月に1度開放する形のコミュニティスペースが設置されることになりました(東京レインボープライドが運営を担当します)

ほかにも、京都市が若者を対象にLGBTについての意識調査を実施、性的マイノリティが暮らしやすい社会をつくるための取組みが必要と回答した人が8割超に上ったというニュースもありました。 

国としてはどうでしょう。教科書に初めてLGBTという言葉が登場というトピックがありました。が、これは高校の一部の教科書の話ですので、義務教育でもぜひ取り上げてほしい、性の多様性を無視した学習指導要領を変えようという動きもありました。


コミュニティも頑張っています


東京レインボープライド

今年の東京レインボープライドは、約7万人が参加。様々な方たちや企業が応援してくれて、本当に素晴らしかったです。

GWの東京レインボープライドは、本当にスゴかったですね。多くの企業が協賛してくれただけでなく、パレードには渋谷区長の長谷部健氏や、細野豪志氏をはじめとする政治家の方たちも参加し、渋谷の街を行進しました。また、ケネディ米国大使をはじめ数名の大使の方たちが登壇してスピーチを行い、フィナーレとしてCharaさんのライブも行われました。企業、行政、政治家、外国の大使、セレブの方などがセクシュアルマイノリティのお祭りを祝し、かつてないほどの盛り上がりを見せた2016年の東京レインボープライドは、今のLGBTを取り巻く情勢を象徴するものでした。2017年はさらに盛大になることを期待します。

東京だけではありません。関西レインボーパレードは10周年を迎え、名古屋の虹色どまんなかパレードは5回目でリニューアルし、「NAGOYA RAINBOW WEEK」も同時開催、福岡と青森は3回目を数えました。そして横浜小倉(北九州)熊本でパレードが初開催されました。2017年は札幌でレインボーマーチが復活するそうです。楽しみですね。

コミュニティイベントは、パレードだけではありません。二丁目で年2回レインボー祭りが開催されていて、名古屋ではNLGR+という野外フェスが開催されています。「プレリュード2016」のような音楽会イベント、「TOKYO AIDS WEEKS」のようなHIV予防啓発イベント、全国のコミュニティセンターで行なわれているイベントなどもそうです。福島のグランデコで行われた「東北LGBT Weekend 2016 in GRANDECO」なども、立派なコミュニティイベントだと思います。

それから、東京国際レズビアン&ゲイ映画祭が第25回を記念してリニューアル、レインボー・リール東京として生まれ変わりました。オープニングにはレスリー・キーさんのおかげでタレントさんがたくさんいらしたり(早見優さんのビデオメッセージも!)、クロージングではフランス発のセンセーショナルなHIVムービーが上映され、aktaの若者がコンドームを配布したり、もちろん、上映された映画もどれもよかったですし、本当に素晴らしい映画祭になりました。商業的な映画祭とは異なる、まぎれもないコミュニティイベントです。

ゲイシーンも相変わらず盛り上がっています。夏のShangri-Laは過去最高となる4500人を動員しました(海外からも約1000人が集まり、「東京五輪に向けてLGBTインバウンドに本腰を!」にも書いたように、LGBTインバウンドとしても目覚ましい成果を挙げ)。二丁目でも、手を替え品を替え、趣向を凝らしたイベントが次々に誕生し、みんなを楽しませています。2016年は熊本のナイトに初参加したり、大阪のゲイクラブの20周年パーティにお伺いしたり、沖縄のビーチパーティに参加したりして、改めて実感したのですが、東京だけなく全国で、本当に楽しいパーティが繰り広げられています。2017年も楽しみです。


一方、悲しい出来事も…


前田健さんのあまりにも突然の死、戸川昌子さんの訃報だけではなく、我が事のように胸を痛めた方が多かった、悲しい出来事がありました。

8月初め、一橋大法科大学院(ロースクール)のゲイの方が同級生に告白したものの、同級生が仲間内のLINEグループで彼がゲイであることをバラしてしまったため(本人が望まないのに周囲の人がバラしてしまうことを「アウティング」と言います)、その後、同級生に会うと吐き気や動悸を覚えるようになり、心療内科に通うようになり、大学のハラスメント相談室にも相談しましたが、昨年8月、校舎のベランダから転落という形で自死したという、あまりにも悲しいニュースが届きました。まだまだ世間のホモフォビアが根強く、カミングアウトして生きづらい現状で、好きになった人に裏切られる形でアウティングされ、どれだけつらかったことか…。大学側も適切な対応を取ってくれないなか(性同一性障害専門のクリニックを勧められたそうです。なんたる無知…)、精神的に追い込まれ、絶望してしまったのでしょう。この事件を受けて、コミュニティ内から差別禁止法案の制定を求める署名運動が起こりました。

それから、今月に入って、俳優として活躍する成宮寛貴さんが『FRIDAY』報道をきっかけに引退を表明、その文面には「信頼していた友人に裏切られ」「この仕事をする上で人には絶対知られたくないセクシャリティな部分もクローズアップされてしまい」「人の悪意によってプライバシーが世間に暴露され続けることに耐えられなかった」と書かれていました。その直後の『スポニチ』の「成宮寛貴ゲイ告白引退」の記事もひどかったですが、こういうふうにマスコミが人のセクシュアリティを「アウティング」し、「ゲイ疑惑」などとネタにすることがまかり通ってしまう限り、今後、俳優やミュージシャンは誰もカミングアウトしないでしょうし、ひいては、世間ってそういうものだと思い、学校や職場でも、言ったらどんな目にあうか…とみんなカミングアウトを恐れるようになります。いい大人が寄ってたかってゲイをいじめ、世間のホモフォビアを助長しているのです。一橋大学の事件と本質は同じです。


<まとめ>陽の当たる大通りの陰で、アウティングなども横行


GWに代々木公園で開催された東京レインボープライドは、(ゴトウもそうですが)初期の頃にパレードに関わっていた方などはこぞって「隔世の感がある」と感嘆していました。あの会場にいた方は、企業からコミュニティに注がれる支援の熱さやパワーに圧倒されたことと思います。多くの企業が協賛してくれただけでなく、パレードには渋谷区長の長谷部健氏や、細野豪志氏をはじめとする政治家の方たちも参加し、渋谷の街を行進しました。また、ケネディ米国大使をはじめ数名の大使の方たちが登壇してスピーチを行い、フィナーレとしてCharaさんのライブも行われました。企業、行政、政治家、外国の大使、セレブの方などがセクシュアルマイノリティのお祭りを祝し、かつてないほどの盛り上がりを見せた2016年の東京レインボープライドは、今のLGBTを取り巻く情勢を象徴するものだったように思います。2017年はさらに盛大になることを期待します。

また、那覇市の共催で開催されたピンクドット沖縄で、施行されたばかりの同性パートナーシップ証明の取得第1号となったゲイカップルの結婚式が行われ、市長さんから証明書を手渡され、MAXのRINAさん・中島美嘉さんを含めて大勢の方に祝福を受けたことも、2016年の日本のLGBTシーンのハイライトの1つだったのではないでしょうか。LGBTを取り巻く状況は、こうした華やかな部分に目を向けてみると、確実によくなっているように思えます。 

一方で、アウティングによる悲劇が、まだまだ社会の無理解や、ゲイを嘲笑するような風潮の根深さを浮き彫りにしました。学校や職場などで適切な対応が行われるようになり、メディアのひどい記事がなくなるためには、やはり差別禁止法の制定が望まれるのではないでしょうか。

2017年がLGBTにとってさらに希望が持てるような年になることを祈っています。