キッチン/ビルトイン機器・選び方

今やあたりまえ!ビルトイン食器洗浄機を選ぶポイント

今やビルトイン食器洗浄機はあたりまえ。数ある選択肢の中から一体どのメーカーのどの機種を選べばいいのか?選ぶときの基準は? 今回は輸入食器洗浄機にフォーカスして、解説します。

和田 浩一

執筆者:和田 浩一

キッチンガイド

日本グリーンパックス

ビルトイン食器洗浄機にすると、キッチンがスッキリきれいに納まります


最近ではシステム/オーダーに限らず、多くのキッチンでビルトインタイプの食器洗浄機が採用されています。そんな中、2016年11月にはドイツの老舗メーカーBOSCHが25年ぶりに日本市場に再上陸し、ドイツ勢のMiele、GAGGENAU、AEG、BOSCHにスウェーデンのASKOの5社が競い合っています。そこにPanasonicがK7シリーズという操作パネルが出ないオールドアタイプを投入し、食器洗浄機市場がいっそう賑やかになってきました。

システムキッチンを基本に考えるのであれば、キッチンを提供するメーカーの設定から選ぶことがほとんど(ほとんどが国産メーカー品)ですが、オーダーキッチンとなると、すべての可能性から選べますから、どの食洗機メーカーにするか、ユーザーにとっては非常に悩ましいところですね。

食器洗浄機は国産・輸入でどう違う?

選択の第一段階として、国産にするか輸入にするかの分岐点があります。

国産の食器洗浄機は食器乾燥機からの発展であり、そもそもMYお茶碗、MY箸を使う日本の食文化では、三度の食事時に完全に洗浄・乾燥していることが前提ですから、さすがに乾燥機能はしっかりしています。そして、毎食後に食器を洗うことが前提なので、内部容量もそれほど大きくなくてもいい、それよりもコンパクトにまとめて、キッチン全体の収納量を確保したいというのが開発コンセプトにあると思われます。

それに対して、ヨーロッパ勢はというと、一日一回洗うことを前提に考えているし、ホームパーティーなどにも対応できることも考慮するので、大きな庫内スペースを持つ幅60センチタイプが主流です。

ミーレ・ジャパン

オールドアタイプの食器洗浄機はどんなイメージのキッチンにも合いますね


使用する食器が少ない少人数のご家庭では国産品でもいいかもしれません。しかし、共働きでフライパンや鍋、まな板なども一度に洗いたいなど、洗い物が多いご家庭や、ホームパーティーが多いご家庭では輸入の幅60センチタイプをおススメします。この大きさですとレンジフードのグリスフィルターもいっしょに洗えますからね。

自分に合った輸入食器洗浄機を選ぶ4つのポイント

では、食洗機を選ぶポイントを1.乾燥機能2.バスケットの特徴3.デザイン4.その他の点で見てみましょう。上の説明で国産か輸入かに分かれたので、ここから先は輸入タイプに絞ってお話しします。

1. 乾燥機能
ヨーロッパ製の食器洗浄機は基本的に余熱乾燥方式を採用していますから、食器にやさしく省エネではあるものの、乾燥そのものが少し甘いことが弱点だと言われてきました。一日一回、主に寝る前に洗浄をスタートさせ、朝起きる頃にはかなり時間も経っているので、ある程度は乾燥されていてそれほど問題になることもありません。しかし樹脂製の洗い物が多かったり、洗う食器の量が極端に少ない場合は庫内の熱容量が少なくなるため乾燥がよくなかったのは事実でした。

しかし各社の最新機種では、それぞれが乾燥を促進するくふうを施しており、その方法が特徴的で興味深いことになっています。

2. バスケットの特徴
各社様々なアレンジができるようにくふうされています。ワインをよく飲むお国柄ということもあり、ワイングラスの扱いに関しては実に丁寧です。それに加えて薄い皿と深い皿(どんぶりなど)大きい皿と小さい皿などを効率よく入れられるように考えられてます。

ツナシマ商事

バスケットの違いも各社の特徴のひとつ。いろいろ見比べたい


3. デザイン
最近のヨーロッパキッチンの流行は「オールドアタイプ」と呼ばれる前面に操作パネルが出ないタイプです。操作は扉を開けた上面の操作パネルで行います。扉を閉めた状態ではどこが食器洗浄機か分からないほどにスッキリ納まります。操作パネル(もしくは表示パネル)が見えるタイプも各社揃えていますがこれは好みが分かれるところ。Mieleのような親しみやすい表情、BOSCHやAEGのような男性的な表情と好みが分かれるところです。

日本グリーンパックス

オールドアタイプの食器洗浄機は扉の上面に操作ボタンが並んでいます

日本グリーンパックス

操作パネルは各社個性的な顔を持っている


4. その他のくふう
上記以外にも各社様々なくふうを凝らしていますので、迷った時のポイントにしてもいいでしょう。

ツナシマ商事

ASKOに搭載されているオートクリーン機能


輸入食器洗浄機メーカーの特徴

それでは、以下では4つのポイントを中心に各社の食器洗浄機を比べてみましょう。

■Miele
Mieleの乾燥方式は従来の余熱乾燥ながら、乾燥プログラム終了時に自動的に扉が開く「オートオープン機能」が備わり、扉を開けることで乾燥が促進され、省エネにつながります。

バスケットの特徴ではなんといっても最上段にある庫内幅一杯のカトラリートレーでしょう。最新機種では中心部分が2段階の深さに調整できるので、お玉など少し厚みがある調理器具もここで洗うことができるようになりました。また、各トレイ、バスケットにプラズマ加工が施されており、水滴が残りにくくなっています。他にも上段バスケットは簡単な操作で高さを変えられたり、皿を固定するためのピンを可倒式にするなど、フレキシブルかつ効率的に食器を並べることができるため、大容量の収納能力を実現しています。バスケットの色はホワイトで非常に清潔感があります。

その他の特徴としては、3本のフルレングススプレーアームで隅々まで強力に洗浄できる一方でワイングラスの老舗ブランド「リーデル」が推奨するほどに繊細なグラスを洗うこともできます。実際、筆者の家で使っている15年前のMieleでは松徳硝子の「うすはり」を洗浄しています。

ミーレ・ジャパン

G6910SCi/Miele。プログラム終了時に自動でドアが少し開く


■BOSCH
BOSCHの乾燥システムの特徴は何といっても「ゼオライト」です。ゼオライトは吸湿すると熱が約90℃近くにまで達する鉱物で、これを庫内の底部に格納し、洗浄後の乾燥工程において、庫内の湿気を吸収して発熱。その熱が庫内に戻されて、庫内の温度を上げて乾燥を促進させます。この効果は評判がよく、全行程が終了して扉を開けたときに扉の内側に水滴が全くついていないほどです。このゼオライトはメンテナンスフリーで交換の必要はないとのことなので経済的にも優れています。

日本グリーンパックス

BOSCHの食洗機に採用されている鉱物『ゼオライト』


BOSCHは現在、操作パネルがあるタイプとオールドアタイプの2機種がラインナップされています。操作パネルがあるタイプは上中下の3段バスケット構成で、上段トレイが簡単なレバー操作でバスケット底部が上下するので、浅めのカップやお玉などに対応可能。中段トレイはトレイそのものを上下させ、中段部と下段部の高さのバランスを最適化することができ、高さがあるワイングラスにも対応しています。

その他、ワイングラス小物、カトラリー、シャワースプレイヘッドなど、アクセサリーが充実しています。オールドアタイプでは、プログラムの残り時間を床面にデジタルで投影するなど面白い機能も備わっています。また、本体価格も他社よりも低く設定してあることも魅力の一つです。

日本グリーンパックス

BOSCHのオールドアタイプでは残り時間を床面に投影する面白い機能が搭載されている


■GAGGANAU
GAGGENAUの乾燥方式の特徴に「ヒートエクスチェンジャーシステム」があります。これは本体の左側のほぼ全面に水を溜めるタンクがあり、プログラム終了時に庫内の温度と水タンクの温度差を利用して、庫内に充満した水蒸気を強制的に結露させて排水します。また2017年春頃発売予定の新機種では(GAGGENAUとBOSCHはBSHグループの一員)BOSCHにも採用されているゼオライト乾燥方式の機種を日本市場に投入予定だそうです。

GAGGENAUの3段のバスケットはすべてスライドレール式でスムーズな動きが特徴です。もちろん取り外すこともできます。上段バスケットは高さ調節が可能。バスケットのピンも可倒式になっており、様々な大きさや形状の食器に対応できるようになっています。バスケットの色がグレーで高級感があります。

GAGGENAUは運転音の静かさには定評があります。また『ヒートエクスチェンジャーシステム』のメリットの一つで、高温で洗わなければならない油汚れがひどい食器と、グラスなどのデリケートな食器を同時に洗うことができるなど、細部にわたって気が配られています。

N.TEC

DI250-460/GAGGENAU


■AEG
AEGは一般的な余熱乾燥方式を採用しています。バスケットも他社と同様に様々にアレンジできる3段バスケットを備えているますが、他社と違う点はガラス製品によりやさしく配慮された「ソフトスパイク」が付いている点が特徴です。

エレクトロラックス・ジャパン

AEGのオールドアタイプの食器洗浄機


■ASKO
ASKOは輸入食洗機の中で唯一、全機種で排気用のファンを装備しています。また上位機種では乾燥用のヒーターが内蔵されたモデルもあり、乾燥機能は一歩進んでいると言えるでしょう。

バスケットは、可倒式の皿固定ピンや高さが違う多様のラックアレンジ、軽い樹脂製品が飛ばないようにするSUSクリップ、ワイヤーの数が他社よりも多いなど、様々な大きさ、形状の食器やグラスに対応できる要に配慮されている。これは洋食器よりも和食器をターゲットにしているのではないかとさえ思えるほどに充実しています。最上位機種は庫内の高さも他社よりも大きく(本体寸法も40mm高くなるが)、抜群の使い勝手と言えます。

他にも、常時フィルター部を洗浄する「スーパークリーニングシステム」、耐久性に富む「ステンレス製スプレーアーム」、オールドアタイプではプログラムの進行を表示する「ステータスライト」など便利、且つクリーンな機能が備わっています。

ツナシマ商事

D5556XXL/ASKO。扉裏に見える丸い部分が排気ファン


このように、各社とも独特の特徴を持った、非常に魅力溢れる機械です。それぞれのご家庭のライフスタイルと照らし合わせて、ブランド、メンテナンス、オーブンやIHヒーターなどの他のアプライアンスとの関係、デザイン、価格などを比較して、最適な食洗機を探し出してください。

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※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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