【この記事のポイント】

2016年の不動産投資5大ニュース

■1.マイナス金利政策で、アパートローンの史上最低金利を更新
「マイナス金利付き量的・質的金融緩和政策」が年初に導入されて、ローン金利が一段と低下しました。メガバンクが最優良顧客向けに融資する投資用ローンの中には、0.1~0.2%という破格の金利も登場しています。

金融機関は、もはやローン金利で収益を得るのは難しくなり、相続対策や資産防衛を望む富裕層のプライベートバンクとして、投資信託や保険などの関連商品の販売を通じて収益化を図っているようです。こうした思惑も絡んで、ローン金利の最低水準の更新が続きました。

図1.市場金利推移グラフ

ローン金利は、競合する他の金融機関の適用金利と市場を考慮して決められる。市場金利のうち長期金利(10年国債利回りやスワップ金利)は固定型の指標、短期金利(無担保コールレート)は変動型の指標となる


■2.地銀・信金の融資多様化がサラリーマン投資家を後押し
海外売上比率の高いメガバンクが国内では富裕層に焦点を当てた戦略を取るのに対し、地方銀行や信託銀行は、国内のサラリーマン投資家向けに多様な条件で融資する方向にシフトしています。

2015年後半ごろから、築40年の一棟マンションに30年返済の融資が付くなど築古物件への融資が拡大してきました。さらに2016年は、新築や築浅の木造アパートに30~35年返済のフルローンが付くようになりました。

■3.売却が大幅に増加し、収益物件の選択肢が拡大
価格の上昇を受けて「高く売れるなら売りたい」と動き出す投資家が増加し、売り物件が豊富になりました。売却益をゼロまたは大幅に圧縮できる「グリーン投資減税」(※)があったことも、積極的な売却を後押ししたといえるでしょう。買い手にとっては、選択肢が大幅に広がりました。

※グリーン投資減税……太陽光発電装置や風力発電装置などを購入した場合、一定の条件で投資額を100%即時償却できる特例(2016年3月まで。同4月以降は30%特別償却などに変更)。法人の場合は、太陽光発電の売電事業の赤字と不動産の売却益を相殺できるため節税になった。

また2015年までは、出口戦略として手持ち物件を売却し、「まだ買い時ではない」と、次の物件の取得を控える投資家も少なくありませんでした。2016年は、金融緩和の追い風や、しばらく価格は下がりそうもないといった市場の読みから「売って買う」、つまり「組み換え」「買い換え」が増えました。その結果、取引が活発化したわけです。

■4.サラリーマン投資家のブーム再来
2014年から2015年にかけては、収益物件の価格が急激に上昇し、利回りが低下したため、キャッシュフロー(手取り収入)を重視するサラリーマン投資家は手を出しにくい面もありました。

2016年に入ってからは、サラリーマン投資家が戻ってきました。あらたに不動産投資を始める人も増えました。それまでの急激な価格上昇(利回り低下)の動きが鈍ったこと、より一層の金利低下や融資条件の緩和によって、取得意欲が高まったのでしょう。また、将来不安から資産形成への関心を高めるサラリーマンが増加していることも、個人投資家の増加に拍車をかけているようです。

■5.外国人向け賃貸需要が拡大。“民泊元年”の行方は?
2016年は、日本における“民泊元年”といわれました。外国人観光客が2000万人を超え、年初に大田区や大阪府などの国家戦略特区で合法民泊が認められたのです。不動産投資においても、活用できるのではないかと注目されました。

ただ、旅館業界への配慮などから特区以外での民泊の規制緩和は進んでいません。また、違法または違法すれすれの民泊営業も急増しているようで、早くも不動産投資の対象としての魅力は薄れてきたかもしれません。

代わって、外国人労働者の賃貸需要に注目度が集まっています。観光業やIT技術者などへの就労ビザの緩和は進んで、大幅に増加しているからです。なかでも東京都の外国人労働者数は、ここ数年、前年比2桁台の高い伸び率を示しています(図2参照)。

図2.外国人労働者数の推移フラフ

ここ数年、東京都の外国人労働者数が急速に増加。伸び率も高まっている


さらに、外国人労働者の誘致政策として、外国人経営者や専門知識を持つ高度人材に対して最短1年間の滞在で永住権を取得できる「日本版高度外国人材グリーンカード」の具体的検討もされています。こうした外国人労働者を対象に、中長期滞在のマンスリーマンションを供給するなど、新たな賃貸マーケットが生まれつつあります。

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