<この記事のポイント>

 

定年後に気づく「家が広すぎる」「子どもの近くに住みたい」というホンネ

終の棲家(すみか)」と思っていた一戸建てを売って、マンションに買い換える50~60代が増えています。その理由の一端が、定年前後の50代・60代夫婦を対象にした調査から伺えます。図1は、定年後の夫婦が「住み替えを検討した理由」について聞いたものです。定年後の夫婦と定年前の夫婦の回答の違いに注目してください。

図1.アンケート結果。住み替え理由ランキング表

 


まず1位は、「家が老朽化しているから」という住まいへの不満が挙がっています。建物の劣化や不具合が目立ち始め、修繕費がかさむ上に、年を取ってからメンテナンスするのは大変になってきたという気持ちが読み取れます。

2位は「バリアフリーなど老後に住みやすい住宅に移りたいから」、つまり老後への備えです。ここ10数年以内に新築された住宅ではバリアフリー化はかなり進んでいますが、古い住宅はまだまだ段差が多いからでしょう。物理的な凹凸だけでなく、室内の温度差もバリア(障害物)のひとつです。特に古い木造一戸建ては断熱性に劣るため、「隙間風が入って足元が寒い」という声もよく聞きます。

3位は「家が広すぎる」という理由で、定年前の夫婦ではこの理由は10位です。定年前のほうが子どもが同居していることが多く、また、仕事がある間は家を空ける時間も長くなるため、それほど気にならないのでしょう。定年後に子どもが独立して夫婦2人になってみると、途端に家の広さが目立つようになるのかもしれません。

6位の「子どもの近くに住みたい」という理由も、定年前の夫婦では14位と、両者に大きな差が見られます。「孫の成長を近くで見守りたい」という気持ちのほか、年を取ってから夫婦2人きりで住んでいると「どちらかが病気や事故で入院したときに心細い、不安」ということも多いようです。

この調査は、検討した住み替え先をマンションに限ったものではありません。しかし、こうした不満や悩みを解決する住み替え先として、マンションを選ぶ人が少なくありません。実際、野村不動産アーバンネットの仲介で成約した60代以上の方のうち、7割がマンションを購入しています。


マンションへの住み替えで問題解決

60代以上の方が住み替え先としてマンションを選ぶ背景として、次の3つのポイントが挙げられます。

■1. ○○へ近づく
・利便性重視派 …… 郊外から都心寄りのエリアへ、バス便から駅近へ、より便利なところに移動したいという希望。交通アクセスが良くなり、買い物などの生活利便施設も充実します。図1の調査でも、定年後の夫婦の住み替え理由として「もっと生活に便利なところ」「もっと駅に近いところ」が同率4位に入っています。郊外では車がないと不便だけれど、年を取ってから運転するのは不安があるという声も。


・ライフスタイル重視派 ……ショッピングや観劇、グルメと、銀座などの都心に通っていた人も多く、時間の余裕ができてより都心ライフを楽しみたいという希望です。

・生活不安の解消派 …… 総合病院や主治医のいるクリニックに近いなど、持病や病気になったときのことを考えての住み替えです。子どものそばへの近居も、不安解消のひとつでしょう。

→いずれも、都心に近づくと地価が高くなるため、一戸建てからマンションへの買い換えが中心になります。

■2. 現在の住まいへの不満・不安を解消
・郊外の一戸建てに多い悩み …… 庭の手入れが大変、戸締り・火の元の心配、夫婦2人のうちどちらかに万が一のことがあると不安など。

マンションであれば、鍵1本で戸締り、外出ができます。開口部も少なく、家に一人でいても不安は少ないでしょう。管理人常駐なら、何かあってもすぐに声をかけられるので安心です。建物(共用部)のメンテナンスは、管理費・修繕積立金を払うことで概ね解消され、自分たちで外壁塗装などを依頼する必要はありません。

■3. 近い将来(老後)も安心できるバリアフリーの住まいへ
・バリアフリーにしたくても、住みながらリフォームするのはストレスがかかり大変です。2階はほとんど利用しなくなり、不要なスペースになります。

→バリアフリーの仕様になっている比較的新しいマンションへ住み替えれば、ストレスなく新生活をスタートできます。

以上のように、住まいに関わる不満や不安の多くは、マンションへ住み替えることで解決につながります。一戸建てからマンションへの「縮小買い換え」になるのが一般的なので、売却益から老後の余裕資金を残せるのも、メリットの一つです。


次ページでは、60代以上に増えている近居のスタイルを紹介します>>