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「逆さまのレインボーフラッグ」を掲げたトランプ

レインボーフラッグ

トランプが選挙中、逆さまの(赤が上です)レインボーフラッグを掲げて登場するも、LGBTへの言及は一切なかった、という出来事があり、LGBTへの理解や共感のかけらもないのね……と呆れられました。

先日の米大統領選、世界が固唾を飲んで見守るなか、大方の予想を覆し、ドナルド・トランプ(さん付けだと外国人の方の場合、どうしても違和感が拭えませんので、今回は全て敬称略とさせていただきます)が当選することが確定、というニュースが「驚くべき番狂わせ」という見出しとともに世界を駆け巡りました。総得票数ではヒラリー・クリントンが200万票も上回っていたにもかかわらず……。

 

まさかのトランプ大統領誕生に、アメリカだけでなく世界中のLGBTの間で「終わった……」「ショックが大きすぎる」「ひどい時代になる」といった声が次々に上がりました。多くの人たちが驚き、落胆し、涙を流し、これからどうなってしまうのか…と頭を抱える様子が目に見えるようでした。アメリカから出て行こうと真剣に考える人によりカナダの移民の公式サイトはパンクし、LGBT向けのホットラインが鳴り止まず、自殺を思いとどまるよう呼びかける人もいました。

今回は、「トランプ大統領誕生がLGBTに与える影響」と題し、トランプに勝利をもたらした時代的・社会的背景や経済の問題はさておき、LGBTや他のマイノリティにとってトランプ当選がどういう意味を持つのか、これからどういう時代が訪れようとしているのか、といったことについて書いてみたいと思います。

日本のメディアではあまり報じられない、現地のLGBTのリアリティに寄り添えるよう、アメリカのLGBTサイトの記事もたくさん盛り込みました。

▼INDEX
ヘイトが蔓延 ――命にも関わること
トランプが任命した政府高官の多くが反LGBT
オバマが獲得したLGBT擁護政策がことごとく覆される?
最も心配なのはトランスジェンダーの方たち
力強い味方もいる ――希望を失わず、生き続けよう!
【今月のトピック】『ハンズ・オブ・ラヴ』は本当に泣ける映画です


ヘイトが蔓延 ――命にも関わること

まず、トランプが当選した直後から、アメリカでは有色人種や移民やムスリムやLGBTに対するヘイトスピーチやヘイトクライム(以下、「ヘイト」)が噴出しました。

この記事では、LGBTに対するどんなヘイトがあったかをお伝えします。

11月9日(現地時間)、ノースカロライナ州で「お前の“結婚”とやらが真の大統領によって違法になるのが楽しみだ。ゲイファミリーは地獄に落ちろ」というメモが車に置かれました(※とてもショッキングです、ご注意ください)。同日、ゲイだからという理由で暴行を受け、「大統領は新しくなるんだ、おかま」と言われたという若者が頭から血を流している画像がTwitterにアップされました。

11月11日、ミシガン州で結婚しているレズビアンカップルが住んでいるアパートのドアに「おかま」とマーカーで書かれているのが発見されました。二人は結婚して何年も経っていますが、こういうことは初めてだそうです。「これが自分に起こったことが信じられなくて、打ちひしがれています」「本当にいやな気持ちになりました」

ホモ死ねという落書き

 

同日、ユタ州に住むゲイカップルの車に「ホモ死ね」「オカマ」とスプレーで落書きされているのがわかりました。「ショックが大きすぎて、ベッドに横たわったまま何時間も動けなかった」。二人は、これは大統領選の結果だと確信しています。

12日深夜、テキサス州立大学のゲイのヒスパニック系の学生が、ハイヒールを履いてクラブから帰る途中で白人男性から「おかま」と呼ばれ、顔面を殴られました。警察が到着した時には、彼は腫れ上がった鼻を押さえていました。彼は「以前も状況はよくなかったけど、最悪になった」「これはヘイトクライムだ。みんな気をつけるべきだ」と語っています。

13日、Twitter上に「おかまが元の場所に帰る時が来た。トランプが今や大統領だ。結婚も許さない。権利も認めない。おかまは許さない」というメモが車に置かれていたという投稿が上がりました。

鉤十字が書かれた車

 

16日、コロラド州デンバーに住むトランス女性の車にスプレーで落書きがされていました。書かれていた文字は、おかま、死ね、おとこおんな、鉤十字、そして「トランプ」でした。

 
17日、フロリダ州の75歳のゲイの方が、男に車から引きずり出され、舗道に打ち付けられたとABCニュースが報じました。「男は車のドアをぐいと開け、私を引きずり出し、シャツを破り、舗道に倒し、『新しい大統領はお前らおかまを皆殺しにすると言ってるからな』と罵りました」。彼の腕はひどく打撲を負っており、手は切り傷となり、膨れ上がっていました。膝は引っ掻き傷がひどく、爪先も同様です。犯人は明らかに車のバンパーに貼ってあった同性婚とレインボーのステッカーに気づいていたそうです。

アレックス・モース市長

ゲイとして史上最年少で市長に当選したアレックス・モース。これまでにも怒りの手紙を受け取っていましたが、今回のメモは違った種類のものだったといいます。

マサチューセッツ州ホルヨーク市のアレックス・モース市長(※オープンリーゲイ)は、「お前はゲイ。最もわがままな人種の一つだ。そのうち倒されるだろう」というメモを受け取りました。市長は18日、Facebookにこれをアップし、「いつもより怖かった」「トランプが選ばれたことでエスカレートしていると思う」「同性婚を支持しないといった言説とは異なる、ゲイの人権を根本的に損なうような言葉だ」「今の状況に落胆している人も多いと思うが、もっと声をあげ、連帯していくことが大事だ」とコメントしました。


こうした報道が毎日のように出てきています。TV番組『ル・ポールのドラァグ・レース』の司会を務める世界的に有名なドラァグクィーンのル・ポール(先日、エミー賞も受賞)は「アメリカはその額に大きな鉤十字のタトゥーを刻まれた」と語りました。

23日には、モンタナ州のトランプの選挙人(大統領選は州ごとに選挙人を獲得する仕組み)が、2010年に7組のゲイカップルが同州で起こした同性婚訴訟へのレスポンスとして、

「フルーツ(ゲイを意味するスラング)は装飾的な方がいい。人目にさらされるところに吊るされたら感謝されるだろう。飾り付けの指示はワイオミングにお願いするといい」と発言していたことが明らかになりました。

つまり、「おかまは吊るし首にしろ!」という意味です。ワイオミングというのは明らかに、1998年、ワイオミング州でゲイの大学生マシュー・シェパードがヘイトクライムによって惨殺された事件のことを指しています。


公民権を守るための団体「南部貧困法律センター」は、11月9日から14日までの間に437ものヘイトを記録したと報告しています。移民、有色人種に対する攻撃に次いで、LGBTへの攻撃が多くなっています。


『OUT』誌の記事によると、当選後24時間以内にたくさんのトランスジェンダーの子どもたちが自殺を図ったそうです。トランスジェンダーのためのホットラインへの電話は、当選が伝えられて数時間後には平常時の4倍になったといいます。

「トランス・ライフライン」の創設者グレタ・マーテラは、みんな日々の安全が脅かされると怯えていたと語っています。
「2日目になっても減っていません。これは始まったばかりなのです」「トランプ当選は人々に希望を失わせています。オバマ政権は、トランスジェンダーにとって素晴らしいものでしたが、トランプとマイク・ペンスはアンチLGBTだとみんな知っています」と。

マイノリティへの差別発言を繰り返し、人々の憎悪を煽ってきたトランプの選挙戦の影響を受け、当確の報とともに一気にこうしたヘイト行動が噴出しました。そして、トランプの勝利は、以前から暴力にさらされてきたLGBT(特にトランスジェンダー)の人々を、次の4年間、どうやって生き延びるか、果たして安全に生活できるのか、という不安や絶望に駆り立てるものだったのです。これは、冗談ではなく、命に関わることなのです。