亀山早苗の恋愛コラム/亀山早苗の恋愛情報

恋愛したことがない……恋愛未経験で結婚した女性の今

恋愛したことないけれど、結婚した女性がいる。セックスへの拒絶感が大きく、自分が思い描いていた「子どものいる家庭」が実現できない。ただ、結婚生活自体には満足しているのだという。比較対象がないからということらしいが、実際にはどうなのだろう。

亀山 早苗

執筆者:亀山 早苗

恋愛ガイド

  • Comment Page Icon

恋愛したことがない……結婚生活の幸せ度の関係性とは

恋愛したことがない……恋愛未経験で結婚した女性

経験が少ないほど結婚生活に満足するというが、まったくない場合はどうなのかあ

2014年にアメリカのバージニア大学が「結婚前の経験が結婚後の質にどのように影響しているか」についての研究を発表しているのだが、それによれば、結婚前に恋愛経験が少ない人ほど結婚生活に満足しやすいという結果がある。比較対象がないからということらしいが、実際にはどうなのだろう。
 

恋愛したことがないままに結婚

恋愛感情がよくわからないまま、結婚相手として最適な彼と結婚した

恋愛感情がよくわからないまま、結婚相手として最適な彼と結婚した

一度も恋愛したことがないままに結婚する女性は確かにいる。結婚して2年たつエイコさん(32歳)がその人。

「小学生のころに片思いしたことはありますけど、大人になってからは恋愛経験はありません。きちんとつきあったこともない。勤務先の同僚男性とふたりで映画を観に行ったことはありますが、帰りに食事しただけ。ただの友だちづきあいですね」

エイコさんは、目鼻立ちがはっきりした色白の女性。同性から見てもモテないわけはないと思うのだが、意外なほど誘われたり口説かれたりしたことがないという。

「女友だちには色気がないって言われます。自分で考えても、性格的に堅苦しいタイプなんですよね。結婚するまでは恋愛してはいけないんじゃないか、セックスなんてもってのほかだと思っていました」

20代も残り少なくなったころ、友だちに紹介された2歳年上の男性と会ってすぐに結婚を決めた。ふたりきりで会ったのは2回だけだったという。

「身元がちゃんとしていて、仕事は公務員。結婚は生活だから安定しているのがいちばんだと思っていました。性格もまじめでいい人だし」
 

セックスへの拒絶感

すんなり結婚。新婚旅行先で初夜も体験した。

「痛かった。それだけです(笑)。彼は私が初めてだったので、少し驚いていたみたい。痛くて旅行中は二度目はできなかった。帰ってきてからまたしましたけど、ちっともいいとは思えない。彼のほうも誘いにくくなったのか、それから半年くらいなかったんです。でもあるとき、彼が『ぼくはしたいと思っている。きみはどう思ってるんだ』と言われたので、『私はいいとは思えないからしたくないけど、あなたがしたいのなら努力する』と答えました。
その日、またしたんですが、やっぱりいいとは思えなくて……。ただ、彼に抱きしめられるのはイヤじゃないので、それを素直に伝えました」


以来、彼はときどき彼女を抱きしめてくれるが、セックスは誘ってこなくなった。外でしている可能性もあるのではないだろうか。

「それは、あるかもしれません。でも、不仲ではないんですよ。ときどき一緒に旅行もするし、外でデートすることもある。彼のことは好きです。恋愛感情とはいえないけど、一緒に生活していて楽しいし」

ふたりとも仕事をしているので、家事は「適当に」分担している。

「私が洗濯、彼が掃除という感じでしょうか。洗濯は乾燥までしてくれる機械だから、私がやっているとは言えませんよね。アイロンは彼がかけてくれる。週末になると細かいところまで掃除してくれます。掃除が好きらしいです」

ただ、このままでいいのかと思うことも……。双方の親からは、子どもはまだかとときどき聞かれるらしい。

「私は自分の親には、そのうちねと笑ってごまかしていますが、彼はどうしてるんでしょうね。私は、自分が子どもをほしいと思っているのかどうかわからないんです。友だちの子を見ればかわいいと思うけど、自分が育てられるかどうか不安で」

そもそも、子どもを授かるような行為をしていないのだが――そう言うと、エイコさんは、そうですよねと笑い出した。

「夫婦とはこうあるべき、という思いは私にもあるんです。両親が仲良くて、子どもがふたりくらいいて。でも現実に結婚してみると、子どもを授かるためにはセックスが必要で、あの行為がどうしても好きになれない自分がいる。3回はしたけど妊娠はしなかった。このままでいいのかと考えることはあります。
彼が浮気したり、風俗に行ったりするのはしかたがないとしても、離婚してほしいと言われる可能性もありますよね。結婚2周年を迎えた先日、彼に『ぼくはエイコが好きだからセックスもしたい。もう一度、ちゃんと話そう』と言われました。その日はふたりともお酒が入っていたので、なんだかうやむやになっちゃったんですが」

 

セックスがなければ「夫婦」ではないのか

彼のことは好きでも、セックスへの深い拒否感が優ってしまう

彼のことは好きでも、セックスへの深い拒否感が優ってしまう

彼としては、やはりセックスも含めて夫婦として生活していきたいのだろう。ただ、エイコさんにとっては、最初から彼を「家族」として位置づけしてしまったこと、そもそも恋愛感情がどういうものかよくわかっていないこと、セックスへの深い拒絶感があることなどで、どうしても「裸になって性器をつなげあう行為」に積極的になれないのだという。

「セックスしなければ夫婦じゃない、というわけではないですよね。彼と何をどうやって話し合えばいいのかわからないけど、とにかく一度、自分が恋愛をしたことがないとか、恋愛感情ってどういうものかとか、そのあたりから話してみるしかないんだろうと思います。彼との生活は続けたいので」

彼女自身が心の底から悩んでいるようには見えない。結婚している今の生活が気に入っている理由はと問うと、しばらく考え込んだ。

「今の社会では、結婚しているほうがラクですよね。どうして結婚しないのと言われることはあっても、どうして結婚したのとは聞かれないし。結婚しているほうが『ちゃんと社会生活を営んでいる人』と思われるし。実際、彼との生活は楽しいんです。私が当初抱いていた、『家庭』という形にはなっていないけど、そこはこれから考えてみたいと思っています」

恋愛と家族愛は違うのかもしれない。だから恋愛をしたことがないからといって、必ずしも結婚生活がうまくいかないわけでもないだろう。比較対象がない分、結婚相手とうまくいくという説も真実かもしれない。

ただ、夫を「男として意識しない」ところから結婚生活が始まると、夫婦間でこういった齟齬(そご)も生まれるのではないだろうか。

【関連記事】
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

あわせて読みたい

あなたにオススメ

    表示について

    カテゴリー一覧

    All Aboutサービス・メディア

    All About公式SNS
    日々の生活や仕事を楽しむための情報を毎日お届けします。
    公式SNS一覧
    © All About, Inc. All rights reserved. 掲載の記事・写真・イラストなど、すべてのコンテンツの無断複写・転載・公衆送信等を禁じます