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自然体験が子供に与える効果とは?自然を楽しむ10の工夫

子供にとって自然体験は大切だと、 そう思われている方も多いのではないでしょうか。では自然体験とは 具体的に子どもたちにどんな影響を与えるのか?複数の研究結果とともに、子供が自然を楽しめるような工夫についてご紹介します。

長岡 真意子

執筆者:長岡 真意子

子育てガイド

自然体験が子供に与える効果とは?

自然に触れることは、子供にとってどんな影響をもたらすのでしょう?

自然に触れることは、子供にとってどんな影響をもたらすのでしょう?

「子供にとって自然体験は大切」 何となく、そう思われている方も多いのではないでしょうか。では自然体験とは 具体的に子供にどんな影響を与えるのでしょう?いくつかの研究を基に、みてみましょう。

■心の健やかさを促進します
自然の中で過ごすことが、大人のストレスを緩和するという研究は多くあります。では子供にとってはどうなのでしょう?コロラド大学の研究によると、学校の敷地内に樹木や草花など自然に触れられる環境があることで、子供のストレスや集中力の欠如が緩和されるといいます。また自然体験は、昨今増加傾向にあるとされるうつや不安感を改善すると示す研究も多くあります。

■創造性が培われます
ユタ大学の研究によると、被験者に、電子機器から離れ4日間自然の中で過ごしてもらったところ、創造力をはかるテストのスコアが50パーセント上昇したといいます。

■認知力が高まります
カリフォルニア大学のナンシー・ウィール博士の研究によると、自然に触れることは、認知機能を高める効果があるとのこと。またスペインのバルセロナの36校に通う2,593人の子供を対象にした研究では、自然に触れる機会がよりある子供ほど、メンタル面が健やかなだけでなく、認知力も高かったと報告されています。

■「注意欠陥・多動症(ADD/ADHD)」の改善
10年以上かけ「注意欠陥・多動症(ADD/ADHD)」と診断された子供たちと自然環境との関係について研究を続けるイリノイ大学教授のフランセス・クオ氏とアンドレ・アフェイバー氏によると、自然に触れる機会をより多く持つことで、著しい症状の改善がみられたといいます。

 

■身体の健やかさを促進します
澄んだ空気は子供の喘息を緩和し、遠くの山々や水平線を眺めることは、視力低下を防ぐとされています。またテネシー大学の研究によると、丸太などの自然素材が用いられ、木々や草花などの自然に触れられる遊び場は、そうでない遊び場より、子供たちはより活発に遊ぶとされています。こちらの記事で紹介したように、昨今、子供の運動不足は深刻な問題となっています。自然に触れることは、運動不足解消にも繋がり得るんですね。

また英国コベントリー大学によるこんな研究もあります。9-10歳児を対象にした実験です。ひとつのグループには、森の風景の映像を見せながら、もうひとつのグループには、視覚的刺激を与えず、屋内で15分間サイクリング運動をしてもらいます。すると、自然の風景を見ながら運動した子の方が、血圧の低さなど、より健やかな運動効果を見せたといいます。自然をバーチャルに体験するだけでも効果があるというわけです。

■自然や地球を大切にしようという気持ちが養われます
コーネル大学の研究によると、子供時代、キャンプやハイキングなど定期的に自然の中で遊んだ体験を持つ子供は、そうでない子供よりも、大人になってからより自然や環境を尊重する傾向があるとのことです。

以上のように、自然に触れることは、子供の心・脳・身体の全てにとって、健やかな影響をもたらします。
 

0歳からでも自然体験を行うべき理由

小さい時期から自然に親しませたいもの

小さい時期から自然に親しませたいもの

また0歳からの乳幼児にとっても、自然は5感に無理のない「刺激」に溢れています。車のエンジン音などの人工的な騒音ではなく、鳥のさえずりや葉の揺れる音、樹木の枝や葉を通すことで和らぐ陽光、緑や花の香り。赤ちゃんも心地よく疲れ、その後もぐっすりと寝てくれるでしょう。早い時期から自然に親しむことで、物心ついてからも、すんなりと自然に馴染むことができます。上にあげたコーネル大学の研究にあるように、今目の前の子供たちに自然体験を促進することは、その次の世代へと健やかさを繋げることにもなります。

現代では、一昔前のように、近所の野山や林を駆け回って遊ぶといった環境にはない子供たちも多くいます。またテレビゲームやインターネットの影響で、自然体験よりもスクリーンに向かっていた方が楽しいと思う子もいるかもしれません。子供が自然に触れる機会をより多く持つために、周りの大人に何ができるでしょうか?
 

子供が自然体験を楽しむための10の工夫

自然を楽しむ体験を重ねてやりましょう。

自然を楽しむ体験を重ねてやりましょう。

1. 虫かごなどの「グッズ」を準備する
虫取りアミや虫メガネ、砂遊び用のバケツやシャベルなど、子供が「自然の中で過ごしたい!」と思うようなグッズを用意してみましょう。

2. 自然についての本やDVDをみる
自然の中での暮らしを描いたものや、登山や川下りなどの冒険もの、また世界の自然を巡る旅の様子など、自然に親しめる本やDVDをみてみましょう。

3. 図鑑を片手に自然の中へ
虫や植物の写真がたくさん載せられた図鑑を片手に、身の回りの自然を観察してみましょう。写真と実物を照らし合せ、名前や生態を知ることで、自然をより近く感じられるようになります。

4. 集めることを楽しむ
「集めること」が大好きな子供も多いものです。ビーチを歩いて貝殻のコレクションを増やしたり、山道や川辺を歩き色とりどりの葉や様々な形をした石を集めてみましょう。

5. 地図をみて道順やゴールを話し合う
登山やハイキングに出かける前は、地図をみて、どんな道順でどこにたどり着くのか、子供と一緒に計画してみましょう。山道や自然歩道を漠然と歩くよりも、目標がはっきり見えると、俄然モーティベーションが高まる子も多いものです。

6. 果物の収穫や山菜採りへ
農場でりんごやみかんを収穫させてもらったり、山へベリー類やきのこや山菜を採取しに出かけてみましょう。普段お店で購入する食材を、「自分で見つけて採る」という体験は、子供にとって忘れられない思い出となります。

7. 草花を育てる
子供と一緒に種をまき、植物を育ててみましょう。芽が出、茎が伸びと日々の変化を観察することで、自然をより身近に感じられます。口にすることのできる野菜や果物を育てるのもいいですね。

8. 自然体験をアート&工作プロジェクトに
スケッチブックに風景を描くのもいいですし、集めた石にカラフルな色を塗ってみたり、小枝を組み合わせてミニチュアの建物を作ったり、草花をつないでネックレスにしてみるのもいいでしょう。自然に触れつつアートに取り組むことで、インスピレーションも溢れます。

9. 写真を撮らせる
デジタルカメラやスマートフォンのカメラ機能を使わせてやりましょう。樹木の表面のデコボコ、葉にとまるテントウ虫、地面にもり上がる木の根っこなど、普段気がつかないことにも注意が向き、自然への興味も募るかもしれません。

10. 空を見上げましょう
どこにいたとしても眺めることのできる自然といえば、「空」です。変化する色や雲のかたち、月や星空を見上げ、子供と一緒に、自然の不思議を感じてみましょう。

自然に触れる機会を持つよう心がけ、頭も心も身体も、親子でリフレッシュしていきたいですね!

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※乳幼児の発育には個人差があります。記事内容は全ての乳幼児への有効性を保証するものではありません。気になる徴候が見られる場合は、自己判断せず、必ず医療機関に相談してください。

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