『NOBUNAGA<信長> -下天の夢-』

(C)宝塚歌劇団 (C)宝塚クリエイティブアーツ

2016年9月4日(日) ——月組トップスター・龍真咲さんが、ロック・ミュージカル『NOBUNAGA<信長> -下天の夢-』、シャイニング・ショー『Forever LOVE!!』の千秋楽(東京宝塚劇場)に宝塚歌劇団を退団しました。

また同時に、萌花ゆりあさん(2001年入団)、有瀬そうさん(2005年入団)、真愛涼歌さん(2006年入団)、翔我つばきさん(2007年入団)、夢羽美友さん(2008年入団)も退団しました。

龍真咲 略歴

龍真咲さんは、2001年宙組公演『ベルサイユのばら2001』で初舞台を踏みました。同期生には雪組トップスター・早霧せいなさん、専科の沙央くらまさんらがいる87期生。初舞台後、月組に配属。
霧矢大夢さん退団に伴い、2012年『ロミオとジュリエット』より、月組トップスターに就任。
愛称は「まさお」。

龍真咲 舞台歴

新人~二番手時代
2005年『エリザベート』新人公演・ルドルフ(本役・大空祐飛)
2006年『Young Bloods!!』RYU *バウ初主演
2006年『暁のローマ』新公・ブルータス(本役・瀬奈じゅん)
2007年『パリの空よりも高く』新公・アルマンド(本役・瀬奈じゅん)*新公初主演
2007年『マジシャンの憂鬱』新公・シャンドール(本役・瀬奈じゅん)*新公主演
2008年『ME AND MY GIRL』ジェラルド/ジャッキー(役替わり)
2009年『二人の貴公子』*バウ ダブル主演
2009年『エリザベート―愛と死の輪舞―』ルキーニ 
2010年『HAMLET!!』ハムレット *バウ主演
2010年『THE SCARLET PIMPERNEL』ショーヴラン/アルマン(役替わり)
2011年『我が愛は山の彼方に』チャムガ

トップスター時代
『ロミオとジュリエット』

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2012年『ロミオとジュリエット』ロミオ/ティボルト(役替わり)
2012年『愛するには短すぎる』フレッド・ウォーバスク
2013年『ベルサイユのばら-オスカルとアンドレ編-』オスカル/アンドレ(役替わり)
2013年『ME AND MY GIRL』ビル・スナイブスン
2013年『ベルサイユのばら-フェルゼン編-』アンドレ *特別出演
2013年『ルパン -ARSÈNE LUPIN-』アルセーヌ・ルパン
2013年『JIN-仁-』南方仁
2014年『風と共に去りぬ』スカーレット・オハラ
2014年『明日への指針 -センチュリー号の航海日誌-』ジェイク
2014年『PUCK』パック
2015年『風と共に去りぬ』スカーレット・オハラ
2015年『1789 バスティーユの恋人たち』ロナン・マズリエ
2015年『DRAGON NIGHT!!』
2015年『舞音-MANON-』シャルル・ド・デュラン
2016年『Voice』
2016年『NOBUNAGA〈信長〉-下天の夢-』織田信長


龍真咲の新人時代

『DRAGON NIGHT!!』

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龍さんがまだ下級生の頃、バウホール公演を観て驚きました。なんて存在感の強い生徒さんなのだろう……と。「この人は、やがて間違いなくトップスターになる!」……そう確信したものでした。

その時受けた感覚……堂々とした押しの強さにキラキラとしたスターのオーラは、どんどん大きくなりました。2006年、ショー形式のバウワークショップ『Young Bloods!!』で主演。2007年、『パリの空よりも高く』新人公演で初主演。2009年、バウホール公演『二人の貴公子』を、明日海りおさんとW主演します。

龍真咲の魅力と実力を広く伝えたのが、ロックミュージカル『HAMLET!!』。赤い衣装に身を包んだ登場シーンから目が離せませんでした。迫力と危なげな色気、抜群の歌唱力と滑舌の良さ、ひと言ごとに心動かす台詞。とてつもない、新しいシェークスピア劇を作り上げました。

月組の三番手、やがて二番手のポジションとなり、本公演でも大役を与えられていきます。
『エリザベート―愛と死の輪舞―』のルキーニ、『THE SCARLET PIMPERNEL』のショーヴランとアルマンなどで、歌唱力の高さや、的確で開放的な演技を改めて感じました。

龍真咲 月組トップスターへ

愛希れいかさんを相手役に迎え、月組トップスターに就任したのは2012年でした。

トップスターお披露目公演は『ロミオとジュリエット』。長年、同志として、またライバルとしてお互いを高め合ってきた現・花組トップスター明日海りおさんが、二番手ではなく、準トップスターというポジションで、主役ロミオも、龍さんと明日海さんの役替わりとなりました。ファンの方々には、複雑な想いもあったでしょう。しかしそれにより、本来なら出会えなかったであろう、とても魅力的なティボルトも観ることができたのです。

『ベルサイユのばら-オスカルとアンドレ編-』

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ロミオ役では、持ち前のキラキラ感に、少し大人びた雰囲気で、繊細で美しいロミオを誕生させました。伝説に残る「僕は怖い」は、ただただ素晴らしいのひと言。凄みに色気のあるティボルトでは「本当の俺じゃない」「今日こそその日」を聴かせ、冷たいナイフのような狂気と苦悩を熱演。ロミオ、ティボルトと、立場は違えども、それぞれの揺れ動く青年の内面を巧みに表現しました。

次の本公演『ベルサイユのばら-オスカルとアンドレ編-』でも、オスカルとアンドレの二役を演じました。どちらも、一つ一つの動きがまさに劇画から抜け出したよう。中でも、オスカルの見せ場である、アンドレと結ばれる場面からアンドレの死、バスティーユ攻撃、自身の死へと続く各名場面は絶品! 男性を率いる近衛隊の隊長であるオスカルと、恋もする可愛い女性としてのオスカル。ともすれば、二人の人間を演じているように見えてしまう難しい役ですが、一貫して一人のオスカルを、なめらかに演じぬきました。



『ルパン -ARS?NE LUPIN-』

(C)宝塚歌劇団 (C)宝塚クリエイティブアーツ

『ルパン -ARSÈNE LUPIN-』ではクールなアルセーヌ・ルパンを。龍さんにしては珍しい、感情を表に出さない役ですが、どこから見てもカッコいい大人の男の魅力が満載。

女役も素敵なのを再確認したのが『風と共に去りぬ』のスカーレット・オハラ。我儘で決していい女とは言えないスカーレットを、専科・轟悠さんを相手に堂々と、チャーミングに演じました。

2014年春、宝塚歌劇団は100周年を迎えました。その記念すべき公演を担当したのが、龍真咲率いる月組。『宝塚をどり』『明日への指針―センチュリー号の航海日誌―』『TAKARAZUKA 花詩集100!!』の豪華な3本立てで、100年にわたる宝塚歌劇団の魅力を広めるという大役を見事に果たしました。

そして、再演を希望するファンがとても多かったミュージカル『PUCK』が、龍真咲主演で実現します。美しい歌声に柔軟な演技が、妖精パックに息吹を吹き込み、初演時のファンも喜ばせました。

『1789undefined-バスティーユの恋人たち-』

(C)宝塚歌劇団 (C)宝塚クリエイティブアーツ

フランスの大ヒットミュージカル『1789 バスティーユの恋人たち』の日本初演を大成功に導いたのも龍さんでした。自由を勝ち取るため、革命に燃えて生きた平民ロナン。誰よりも質素な衣装ですが、さすが龍真咲。若々しい上に円熟した演技で、難しいナンバーを歌い切りました。

ため息が出るほど白い軍服姿が美しかったのが『舞音-MANON-』。許されない愛だからこそ燃え上がるシャルルを、情熱的に丁寧に熱演しました。

そして、宝塚歌劇団の男役として最後の役は『NOBUNAGA〈信長〉-下天の夢-』の織田信長。頂点を極めても型にはまらず、伸び伸びと生き生きと、思いのままに生きた信長は、まさに龍真咲そのもの。太く短く咲いて、ぱっと散るからなお美しいトップスターの美学を、役を通じて痛感させてくれました。



『Voice』

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舞台中を明るくする華やかさに、どんな衣装(カメさえも!)も似合う美しい容姿。甘さと色気がたっぷりで、切れ味も抜群。そして全身から「舞台に立っているのが楽しくてしょうがない」……というエネルギーを発している……

そんな龍真咲さんの一番の強みは、心情の変化が豊かである表現力の高さだと感じます。それは、得意の歌においても同じでした。台詞から歌、歌から台詞に変わっても、同じトーン。歌うように語り、語るように歌う。歌の比重が多いミュージカルにおいて、数々の大役を見事に演じました。

また、龍真咲さんがトップスターを務めた4年間、月組全体の層の厚さを痛感しました。それは、トップスターに柔軟性があり、常に新鮮だったゆえでしょう。緊張とたわみの使い方が上手く、シリアスもコメディーも妖精も織田信長もできる龍さんだからこそ、作品の幅が広がり、皆が個性的で生き生きとした舞台が作り上げられたのだと思います。

故・中村勘三郎さんが「型破りとは……型があるから型破り」とおっしゃいました。型破りとは、決して“けれん”ではなく、基本がしっかりできた上で、それを柔軟に広げること……。龍真咲とは、まさに型破りのスターでした。

色を変え形を変え、まばゆいばかりに輝いた月のトップスター、龍真咲。宝塚の男役・龍真咲にはもう出会えませんが、宝塚で培った型を、どんな風に破いてくれるのか……。それを心待ちにせずにはいられません。


『PUCK』

(C)宝塚歌劇団 (C)宝塚クリエイティブアーツ

最後に……Twitterで「アナタの好きな龍真咲の作品や役」を伺いました。一部ではありますが、ご紹介いたします。

・『アルジェの男』のジャックと『THE SCARLET PIMPERNEL』のショーブラン、『ME AND MY GIRL』のビル、それと、、、亀が好きでした!
・一番は『NOBUNAGA〈信長〉-下天の夢-』の信長様!『1789』ロナン&『HAMLET!!』ハムレットの情熱・無鉄砲さと、『ルパン -ARSÈNE LUPIN-』ルパンのクールさ、『ロミオとジュリエット』ティボルトのブラックが理想の割合で配合されていて…最高だと思います(*^^*)
・『ロミオとジュリエット』のハムレットです!
・『ジプシー男爵』のパリ。ちゃぴちゃんと組んでのお芝居、印象的でした。色気があって素敵でした。
・『1789』のロナン、『ロミオとジュリエット』のディボルト、『ME AND MY GIRL』のビルが好きです。
・『ME AND MY GIRL』のジャッキー、『我が愛は山の彼方に』のチャムガ、『ベルサイユのばら』のアンドレ、『1789』のロナン、『Voice』のmasa-o、そして信長!もちろん全部大好きですが・
・難しいけど…信長はドンピシャだし『PUCK』は真咲さんだからできたと思う。
・ベルばらのオスカルです。何人ものオスカルを観てきましたが、1番かっこよくて素敵なオスカルでした。
・『愛するには短すぎる』のフレッドが大好きです。ロミジュリや1789のような大作もいいですが、楽しく観られるこうした役もまさきさんに合います。
・真咲さんの演じた役は全て好きですが、特にスカピンのショーブラン、ミーマイのビル、ロミジュリのロミオ、PUCKのパック、1789のロナン、NOBUNAGAの信長が好きです
・トップ前なら『HAMLET!!』ハムレット。赤い衣装が似合っててかっこよかったです。トップになってからなら、『1789』ロナン。あれだけの難解な曲を千秋楽まで歌いきったのは彼女だからこそだと思います。
・全ツ『あかねさす紫の花』の天比古。宝塚観劇2回目の初心者でしたが、台詞の言い方で「この人、いずれトップになる人だ」って思って公演プログラムを見て『龍真咲』が美形のジェンヌさんと知ったので。やっぱりこの役が印象的です。好きなのは『1789』です。
・『アルジェの男』のジャック役です。 意外な役柄で、しかもはまっていてまさおさんに対する見方が変わった役だったのです。
・龍真咲の好きな役は、ロミジュリの「ティボルト」です。
・私が好きな龍真咲さんの演じた役は『明日への指針』のジェイクです。 100周年記念公演ということでとても華やかで素敵でした。
・『舞音』。「私の人生に、君という人がいてくれた」これで十分だという舞音への想いが観えた。真実の愛とはこうだと思わせてくれる感情の深い演技が好きです。
・『ロミオとジュリエット』の二役です。全く違うキャラの二役を観れ、幸せなお披露目公演でした。
・スカピン、ロミジュリ、1789などのミュージカルが好きでした。もう叶わないけれど『エリザベート』のトートが観たかったなぁ…

皆さん、ありがとうございました。

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