スイート、フルーティー、スパイシーなスモーキーモルト

ボウモアスモールバッチ

ボウモアスモールバッチ

モルトウイスキーのスモーキーな香味に関しての記事を、3月に「スモーキーモルトを楽しもう/スモーキー4の世界」、4月に「ピートとは何か/スモーキーモルトを味わうために」とつづけて掲載した。ある程度詳しく述べたつもりだが、ちょっと反省もある。スモーキーモルトの言葉の印象が強過ぎて、ピートの燻香によって麦芽に付着したスモーキー・レベルの強弱による違いだけで、紹介した製品を語られてしまう懸念もある。
前述した2つの記事の中で語っているが、ひと口にスモーキーモルトといってもピート採掘地の植生環境の違い、発酵や蒸溜の細かな違い、熟成樽種や熟成環境の違いなどによってブランドの香味特性は大きく異なる。
そこで今回は、ピート燻香のフレーバーだけではない、スモーキーモルトが抱く複雑で重層的な、豊かなフレーバーの世界をご紹介する。
尚、ピートに関することは「ピートとは何か/スモーキーモルトを味わうために」を再度お読みいただきたい。

スモーキーモルトは燻した感覚だけでなく、さまざまな香りや味わいを抱いている。わかりやすい、大雑把な分類としてスイート、フルーティー、スパイシー、そして磯の香が上げられる。
スイート
バニラ、はちみつ、チョコレート、キャラメルをはじめ、レーズンといったドライフルーツの甘み。また大麦麦芽由来の穀物様の甘み。さらにはクリーミーな感覚も含まれる。
スモーキーモルトを楽しもう/スモーキー4の世界」の記事で紹介したブランドでは、「ボウモア12年」「ボウモア スモールバッチ」がスイートな感覚を最も理解しやすい。
カネマラ

カネマラ

フルーティー
オレンジやライムの柑橘系、バナナ、洋梨、リンゴ、トロピカルフルーツや熟した果実など、爽やかな味わいからコクのある味わいまで幅広い。「ボウモア」や「カネマラ」には独特のフルーティーさが感じられる。

モルトウイスキーには花のような華やかな香り(エステリー)を抱いているものもあり、スモーキーモルトはそのスモーキーさゆえにエステリーさがあったとしてもその感覚は抑えられ、スイートやフルーティーに溶け込んでしまっているのではなかろうか。

スパイシー
ハーブやジンジャー、胡椒、シナモンといったスパイス。上等なレザー、トースト様、あるいはナッツ類。また枯れ草や土を掘り起こした大地の匂い、焦げたオークや葉巻といった乾いたスモーク香など、ドライな感覚もある。
「カネマラ」には涼やかなスパイシーさがあり、「カネマラ12年」には緑の大地を想わせる独特のスパイシーさ、香ばしいトースト様がある。
ラフロイグセレクト

ラフロイグセレクト

磯の香
これはアイラモルトの大きな特長。海藻や潮の香、薬品を想わせるヨード様。また甘草、靴クリームなどを連想させる強烈で直接的な香りや塩っぽさ。
なんといっても代表はアイラモルトであり、「ラフロイグ セレクト」「ラフロイグ10年」を飲めばすぐわかる。とくに「ラフロイグ10年」は、爽快な磯の香をたっぷりと堪能できる。もちろん「ボウモア」にも磯の感覚がある。

本来なら細かに分類されたフレーバー・チャートを基に説明すべきだろうが、ざっくりとした香味の分類により、スモーキーなモルトウイスキーであっても複雑な香味要素を抱いていることを理解していただきたかったのである。スモーキーモルトといえども、ブランドごとに抱いている香味は異なることをわかっておいて欲しい。
アードモアレガシー

アードモアレガシー

スモーキーモルトを楽しもう/スモーキー4の世界」で紹介した「アードモア レガシー」は香味の紹介に出てこなかったが、もちろんスイート、フルーティー、スパイシーの感覚がある。「アードモア レガシー」はそれらの香味がほどよく、バランスがよく、しかもライトリーピーテッドなので爽やかなスモーキーフレーバーと優しい甘さを特長としている。
この記事を読んでいただいたら、あらためてスモーキーモルトを味わっていただきたい。きっと香味の深遠さを実感できるはずだ。

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