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価格も魅力的なBMWの最新PHV「330e」「225xe」を試す

プラグインハイブリッド(PHV)を積極的に投入しているBMWが2シリーズ アクティブ ツアラーと3シリーズ セダンにもPHVを設定した。一般的に割高感のあるPHVだが、同等の排気量や出力を有する純ガソリン車と同等レベルの価格設定から「売る気」であることを感じさせる。

塚田 勝弘

執筆者:塚田 勝弘

車ガイド

続々と登場するBMWのプラグインハイブリッド

BMW225xeアクティブツアラー

BMW「225xe アクティブ ツアラー」は、488万~509万円。戦略的な値付けに加えて、自動車取得税・重量税が免税(100%減税)となり、翌年度の自動車税も 75%減税となる


BMWに限らず、メルセデス・ベンツやフォルクスワーゲン、ボルボなど欧州の自動車メーカーが続々とプラグインハイブリッド(PHV/PHEV)を市販化している。
日本でもプリウスPHVが年内にも新型にスイッチするなど、ハイブリッドから充電可能なプラグインハイブリッドへの移行は、最新エコカーのひとつの潮流といっていいだろう。

しかしなぜ、バッテリー増などによる重量増、高コスト化が目に見えていてもPHVをリリースするのか。今回のテーマであるBMWなどの欧州勢でいえば、お膝元のCO2規制(2021年までに95g/kmというCO2排出量規制)に対応するため。

ほかにも、アメリカでもカリフォルニア州を中心としたZEV規制をクリアするには、従来のハイブリッド車が対象外になり、少なくてもPHV以上のエコカーでないとNGになるなど、世界各地で進む燃費(CO2排出量規制)規制への対応という事情によるものが大きい。

ユーザーにとって悩ましいのが費用対効果の面。車種により純ガソリン車や純ハイブリッド車と、PHVとの差額が異なるため一概にはいえないが、「燃費や電費の差で元が取れるか?」という視点だけでいえば難しいかもしれない。

充電した電気だけで走ることで高い静粛性や力強い発進加速性能を享受できるなど、PHEVとも呼ばれる電動化車両の恩恵も考慮することで、PHVの価値を認めるかなど複合的に考える必要がありそうだ。

2シリーズ「225xe アクティブ ツアラー」の戦略的な価格設定

BMW225xeアクティブツアラー

「225xe アクティブ ツアラー」は走行モードを3つ用意し、状況に応じてチョイスできる


さてBMWが同時に発表し、今春から納車が開始されている2シリーズの「225xe アクティブ ツアラー」、3シリーズの「330e」は、「燃費や電費の差で元が取れるか?」という点を考慮に入れなくてもいいほど、売る気を感じさせる価格戦略がまず注目。

1.5Lの直列3気筒ターボに、後輪を駆動するモーターを組み合わせた「225xe アクティブ ツアラー」は、488万円~という価格設定。システムトータルの最高出力は224ps/385Nm。2.0Lガソリンターボの「225i xDrive アクティブ ツアラー M Sport」は、231ps/350Nmというアウトプットで、価格は504万円という設定だから価格だけ見ると非常に悩ましい選択になってくる。

PHV化の利点は?

「225xe アクティブ ツアラー」は、電気モーターのみで最長42.4km、125km/hまでEV走行が可能だが、航続可能距離はEV走行換算距離(JC08モード)だから実際はもちろん短くなる。

BMW225xeアクティブツアラー

「225xe」はカタログ値で、EV走行可能距離は42.4km、時速125km/hまで可能。200V/15Aの約3時間で満充電となるが、欧州の多くのPHVがそうであるように急速充電には対応していない


一方の最高速に関しては125km/hまで試せたわけではないが、充電の残量があり、普通に走る分にはエンジンはすぐには始動しない。街中はもちろん、登坂路でも思い切りアクセルを踏み込まなければEV走行が可能で、条件付きだがEV走行の領域(距離ではなく)はまずまずという印象。

重量物のバッテリーが積まれているという感じは確かにあるものの、重くて仕方がないというフィーリングでもない。また、モーターが後輪を駆動する4WDなので、前輪がスリップすると後輪を駆動するモーターの出力を増すなど、シーンによっては武器となりそうだ。

PHV化のデメリットといえば、大型バッテリー搭載による居住性、積載性への影響だが、荷室容量は通常時の400Lから最大の1350Lまで拡大可能で、純ガソリン車よりも48から160L少なくなっている。

3シリーズのPHV「330e」も絶妙な値付け

BMW330e

「330e」は554万~599万円という価格帯で、こちらも十分に売る気を感じさせる価格戦略。ただし、BMWの各モデルは日本でもディーゼル比率が高く、どれだけ売れるのか注目だ


同時に発表されたBMW 3シリーズのPHV「330e」系も価格設定が絶妙。純ガソリン車とディーゼル車ではガチンコとなっているメルセデス・ベンツCクラスのPHV「C 350e アバンギャルド」が上級グレードのみで、セダンは721万円という価格設定をしていることもあって、554万~599万円という価格帯のBMW「330 e」は確かに戦略的価格といえる。

また、現在はカタログから落ちている純ガソリン車の「330i」系は、599万円~という設定だったから「330e」の本気度が伝わってくる。「330e」は、カタログ上ではモーター走行のみで最長36.8km、最高速は120km/hに達し、日本の日常ならEV走行でまかなえる速度域といえるだろう。

「330e」のエンジンは184ps/290Nmを発生し、8ATに組み込まれた電気モーターは88ps/250Nmという出力、最大トルク。システム合計では、252ps/420Nmと必要十分以上といえるスペックが並んでいる。

パワステで3シリーズらしい軽快感を演出か!?

BMW330e

BMW330xeも普通充電のみに対応し、急送充電はできない。200Vで約3時間で満充電となる。走行中に「SAVE Battery」モードにすればエンジンによる発電で、最大50%まで電池残量を増やせる


走り出しからスムーズで、PHV化しても前後重量配分を約50:50にしたBMWらしいこだわりを感じさせるフットワークも見せてくれるが、「225xe」同様に電動化車両ならではの重さがあるのと、3シリーズの純ガソリン車などと比べると妙にパワステのフィーリングが軽く、人工的な味わいも強く感じた。

乗り心地も決して悪くはないが、700万円超のメルセデス・ベンツ「C 350e」と比べるとさすがに150~200万円級の差額があるだけあっていい意味でカジュアルな雰囲気が漂う。

乗り方で吟味したいパワートレーン

BMW330e

PHVの利点は短時間の走行ならモーター走行が可能で、バッテリーが切れてもエンジンによる走行、発電が可能


2シリーズの「225xe」も3シリーズの「330e」も純ガソリン車に加えて、今回触れていないクリーンディーゼルも設定するからグレード選びは悩ましい。

「まずは2シリーズ アクティブ ツアラーが欲しい、3シリーズが欲しい、長距離はあまり走らない」のであれば純ガソリン仕様のエントリーモデルでも車種ならではの満足感は得られるはずだ。

しかし、純ガソリン仕様でも排気量が大きい高出力グレードを選ぶのであれば、先述したようにPHVモデルの戦略的価格もあって「225xe アクティブ ツアラー」も「330e」俄然魅力が増してくる。

「225xe アクティブ ツアラー」は4WDでもあるから降雪地域などの人は選択肢に入れたいところだ。長距離を頻繁に走るならトルク感があり、軽油で済み燃費も比較的良好なディーゼルをチョイスしたい。

※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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