今後どのくらい貯めれば、また保険はどう考えれば……

貯金が足りるか心配です

貯金が足りるか心配です

皆さんから寄せられた家計の悩みにお答えする、その名も「マネープランクリニック」。今回の相談者は、離婚を予定している50代契約社員の女性。ファイナンシャル・プランナーの深野康彦さんが今後についてアドバイスします。
※マネープランクリニックに相談したい方はコチラのリンクからご応募ください。(相談は無料になります)

■相談者
みさみささん(仮名)
女性/会社員/52歳
神奈川県/持ち家・マンション

■家族構成
独身、一人暮らし

■相談内容
まもなく離婚予定です。これまで夫の給与から出していた保険料(医療保険・がん保険・介護保険)を自分で出すようになりますが、どんな保険をどれくらいの料金で見積ったらいいでしょうか? ちなみに、私には慢性疾患があり、定期的な通院が必要です。また、預貯金は将来に向けて多ければ多いほどいいとは思うものの、契約社員で賞与・退職金が出ない立場のまま定年(63歳・再雇用あり)となる確率が高いので、今後どれくらいずつ貯めていくといいでしょうか? なお、記入した住まい・預貯金はすべて私名義で、離婚による分割はありません。


■家計収支データ
「みさみさ」さんの家計収支データ

「みさみさ」さんの家計収支データ



■家計収支データ補足
(1)保険料の内訳
・本人/介護保険(終身保障70歳払込終了、介護年金50万円、定期特約・介護一時金1000万円/2020年末まで、他)=保険料1万166円
・本人/医療保険(定期タイプ保険期間10年/57歳まで、入院1万円、がん特約5000円、先進医療特約他)=保険料6015円
(※)現在夫が契約者として払っている保険。被保険者は妻。

(2)年金について
現時点で年額80万円ほど。今後夫の年金分割をする予定で、それが決定すれば年額プラス10万円程度になりそうとのこと。

(3)63歳以降の再雇用について
給与は勤務時間数が減らなければ、今と変わらない水準。何歳まで働けるかについては、しっかりとした決まりはないが、女性事務職ならおそらく68歳ぐらい。また今後、契約社員から正社員に切り替わる可能性はありますが、実際にはあと最低2年程度は契約社員の身分のままとのこと。正社員になれれば月収23万円ぐらい(支給額)、ボーナスは年3~4カ月分(実績平均)が支給され、退職金制度もある。

■FP深野康彦からの3つのアドバイス
アドバイス1 現状のままでは老後資金は足りない
アドバイス2 長く働き、できれば正社員を目指したい
アドバイス3 繰り下げ受給で貯蓄の取り崩しを抑える
 

アドバイス1 現状のままでは老後資金は足りない

まず、今後キャッシュフローがどう推移していくかを大まかに試算してみましょう。毎月の貯蓄が1万5000円ですから年間18万円。契約社員のまま、定年の63歳まで働くとすると11年間で約200万円貯蓄できることになります。貯蓄700万円と合わせると、この時点で900万円が手持ち資金となります。

公的年金支給の65歳までの2年間は、貯蓄を取り崩しての生活となりますから、現在と同様の生活費(保険の支払いが1本終了するため14万8000円)であれば、2年間で350万円ほど貯蓄が減ります。公的年金の年金額ですが、データにあるように、離婚により厚生年金の年金分割分が加わることで90万円になったとします。月割りで7万5000円ですから、生活費の不足分は月に7万3000円。90歳まで生きるとすれば、2200万円の不足となります。残りの貯蓄(350万円)を充ててもまだ1650万円不足ということになります。
 

アドバイス2 長く働き、できれば正社員を目指したい

では、この不足分をどうカバーしていけるでしょうか。

ポイントは3つあります。ひとつ目は、収入のアップです。まず、持病をお持ちとのことですが、健康上可能であれば、定年=63歳以降も働くことが重要となります。仮に定年延長の68歳まで働けば、まず無収入期間の生活費2年分が収入でまかなえますので、貯蓄を取り崩さずに済みます。さらに、収入からの貯蓄と65歳からの年金も丸々貯蓄できますので、68歳の時点で360万円貯蓄が上積みできるわけです。

さらに、「2年後に正社員になれる可能性はある」とのことですから、もしそれが実現すれば、老後資金のリスクはかなり改善されます。「月収23万円ぐらい(支給額)、ボーナスは年3~4カ月分(実績平均)」だとすると、おそらく年収の手取額は300万円ほど。月割りすれば25万円ですから、今より9万6000円支出増になり、貯蓄も月11万円が可能になります。順調にいって2年後に正社員として採用されたとすると、63歳まで働けば9年間での貯蓄は約1190万円。63歳以降、再雇用で以前の給与に戻ったとしても、68歳までに約1300万円プラス退職金が今の貯蓄700万円に上積みされることになります。

次に支出の削減です。
いろいろ悩まれている保険ですが、医療保険は医療費で貯蓄を大きく取り崩すことは避けたいですから、継続でいいと思います。しかし、介護保険はどうでしょうか。もちろん、高齢になれば要介護になるリスクは当然あります。今後、一人暮らしをされるのであれば、なおさら介護に備えたいという気持ちもあるかもしれません。それでも、毎月1万円を超える保険料は、今の家計状況を考えれば高額。解約し、その分貯蓄に回すべきです。もちろん、新たな保険の加入は現時点では考慮しなくていいでしょう。

目標として、さらに生活費を5000円削減する。通信費、趣味娯楽費、雑費の合計が4万6000円ですから、これを何とか4万円程度にできれば、先の保険の見直しと合わせて1万5000円支出が削れますから、年間18万円、68歳までの15年間で270万円も貯蓄が上積みできるわけです。
 

アドバイス3 繰り下げ受給で貯蓄の取り崩しを抑える

もうひとつの見直しは公的年金です。

68歳まで元気に働くことができれば、あるいはさらにパート等で70歳まで働くことができればという条件付きですが、もしそうであれば、老齢年金の繰り下げ受給を検討されてはと思います。つまり、受け取り開始時期を先に延ばすということ。繰り下げ時期は68歳、できれば70歳でもいいと考えます。

メリットは、繰り下げることで受給額が増えるということ。68歳で増額率は約25%、70歳では約42%。月額10万円なら12万5000円、もしくは14万2000円になるということです。

もちろん、繰り下げた分だけトータルの受給期間が減るため、一概にどちらが得だとは言えませんが、85歳まで受け取れば、受け取り総額は繰り下げた方が増えます。女性の平均寿命(2014年で86.83歳)を考慮すれば、ひとつの選択肢だと言えるでしょう。

もうひとつのメリットは年金額をアップさせることで、リタイア後の家計収支が改善するということ。実際に年金が14万2000万円に増額できれば、生活費が現状のままとしても14万円(保険は払込終了)程度ですから、貯蓄を取り崩す必要がありません。年金だけの生活となると、貯蓄が減る、減らないでは安心感がかなり違います。

もちろん、ここまでの試算はあくまで試算です。そのとおりの結果になる保証はありません。また、今後、予期せぬ大きな支出がないとも限りません。

それでも、具体的にキャッシュフローを予測すれば、そのための備えは少なからずできるはずです。ともあれ、より長く、そして可能性があれば正社員を目指して働く。さらに家計支出を見直し、条件付きではありますが、年金受給の繰り下げも検討してみる。これが老後に備えるポイントとなります。
 

相談者「みさみさ」さんから寄せられた感想

漠然と今のままでは絶対に老後資金が足りないだろう、と感じていたので保険、年金、家計の見直しと具体的なアドバイスがとても参考になりました。是非とも将来は正社員になりたいと思っていますが、こればかりは会社次第だし、これから住まいに関する大きな出費などもあるかもしれないので、まずは無駄を省いて、コツコツとお金を貯めていきたいです。ありがとうございました。

教えてくれたのは……
深野 康彦さん
 
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業界歴26年目のベテランFPの1人。さまざまなメディアを通じて、家計管理の方法や投資の啓蒙などお金周り全般に関する情報を発信しています。All About貯蓄・投資信託ガイドとしても活躍中。

取材・文/清水京武 イラスト/モリナガ・ヨウ




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