疲労回復法

環境の変化の疲れ・ストレスは「ぬる湯15分」で解消

【温泉療法専門医が解説】新生活が始まるシーズンは、環境の変化による疲れやストレスが溜まりがち。忙しくストレス解消の時間も取りにくい時期なので、毎日の入浴時間で効果的に解消していきましょう。交感神経の高ぶりを抑えて副交感神経を優位にする簡単な方法は、「ぬる湯に15分の全身浴」です。詳しく解説します。

早坂 信哉

執筆者:早坂 信哉

医師 / お風呂・温泉の医学ガイド

新生活シーズンの環境変化がストレスの原因に……

入浴

溜まっていく新生活の疲れ。毎日の入浴時間を使ってしっかり解消していきましょう

入学、就職、異動にともない、新生活が始まる方も多い春。周りの友人や同僚、勉強や仕事の内容などの環境が変わるのは、大きなストレスの原因になります。

アメリカのHolmes博士とRahe博士によって考案された有名な「ライフイベントのストレス表」によると、「配偶者の死」を100点とした場合、「仕事上の変化」は39点、「転勤」は35点、「進学・卒業」は26点とされ、いずれの場合も新生活は高いストレスを感じがちであると指摘されています。

自律神経のバランスが崩れやすい新生活シーズン

自律神経は交感神経・副交感神経がシーソーのように対になって体のバランスを取っています。簡単に説明してしまうと、交感神経は興奮・戦闘態勢の神経、副交感神経はリラックス・休憩モードの神経と言えるでしょう。

新しい環境に身をおいて適応しようとするとき、「交感神経」が優位になり、結果として、血圧が上がり、脈は速くなり、汗をかき、筋肉は緊張して体がこわばります。交感神経の高ぶりが続くと緊張状態が継続し、知らず知らずのうちに気持ちだけでなく身体も疲労していきます。

そしてこの緊張を解くカギは副交感神経にあります。新生活の疲れを取るためには過敏になっている交感神経の働きを抑え、副交感神経を刺激して心身を休ませてあげることが大切なのです。

副交感神経を優位にする方法……簡単にできる入浴法

それでは、副交感神経を刺激するにはどのようにしたらよいでしょうか。その方法は呼吸を整える、食事に気をつける、ヨガやストレッチを行う、自律訓練法を行う、など多岐に及びます。ですが、もっともお手軽なのは、お風呂の入り方をちょっと工夫することでしょう。

副交感神経を刺激する入浴法はいたってシンプルです。

■副交感神経を優位にする入浴法
  • 38℃のお湯に(寒く感じる場合は40℃までOKです)
  • 時間は15分ほど
  • 肩まで全身浴
あまりに簡単で拍子抜けしてしまうかもしれませんが、ぬる湯に浸かると交感神経の活動が抑えられ、副交感神経が刺激されることは、多くの研究から明らかになっています。

42℃以上の熱いお湯に入りますと交感神経が高ぶり、40℃程度のぬる湯につかると、副交感神経が刺激されて心身がリラックスすることは、以前の記事「42℃から効果が真逆に?お風呂で自律神経を整える方法」でも詳しく解説していますので、もあわせてご覧ください。

ふだんの入浴はシャワーで済ます方も多いと思いますが、重要なのはきちんと毎日湯船に浸かることです。シャワーでは体をきれいにすることはできても、緊張や疲れを十分に取ることはできません。この時期だけでも意識して、しっかり湯船に入るようにしましょう。

また、お風呂から出て2時間後が睡眠にとってよいタイミングです。寝る時間から逆算して、2時間前までに入浴を済ますようにしておくと、ぐっすりと眠れるようになるでしょう。

一番手軽で身近な副交感神経刺激ツールである「お風呂」を活用して、新生活をいきいきと乗り切りましょう!

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