母親の貯蓄を減らさず、自分の収入で生活するには?

300万円はもらえるものの……

300万円はもらえるものの……

皆さんから寄せられた家計の悩みにお答えする、その名も「マネープランクリニック」。今回の相談者は、現在収入と貯金がなく今後の生活について悩む56歳の女性。ファイナンシャル・プランナーの深野康彦さんがアドバイスします。
※マネープランクリニックに相談したい方はコチラのリンクからご応募ください。(相談は無料になります)

■相談者
にんたさん(仮名)
女性/主婦/56歳
神奈川県/借家

■家族構成
長女(無職/24歳)、実母(無職/81歳・※同居予定)

■相談内容
実母(81歳)経営の商売を手伝っていましたが、廃業し店舗兼住居を売却しました。私自身は、15年ほど前に離婚し母子家庭で市営住宅に入居しています。実家の売却に伴い、実母を引き取り、同居することになりました。売却益は4000万円ほどで、妹と私が300万円ずつもらえることになっています。近隣のマンションは高額なため、新たに購入は考えていません。私と娘は今後、職を探さなくてはなりませんが、年齢的に生活していけるだけの収入が得られるかの不安や、働けなくなった時の生活費を今から準備しなくてはならないとも考えています。今後の生活設計がまるで立てられず、母の手持ちのお金をなるべく減らさずにするには、どのようにするのが良いのか教えていただきたいです。

■家計収支データ
「にんた」さんの家計収支データ

「にんた」さんの家計収支データ




■家計収支データ補足
(1)今後の生活費について
相談者の仕事が決まるまでの間は、すべて母親が資金援助してくれる。仕事開始後は、相談者の収入にもよるが、手取り15万円なら、母親からは6万円、もしくはプラス2~3万円入れてもらえる予定。ちなみに母親の収入は月6万円程度の国民年金のみだが、自宅売却益以外に貯蓄あり(金額不明)。

(2)加入している保険の内訳
・本人/終身保険(死亡保障1000万円、医療特約、がん特約)=保険料1万2622円
・本人/個人年金保険(60歳から10年確定、年金額30万円)=保険料9800円
・長女/定期保険(23歳から保険期間10年、死亡保障500万円、入院5000円、ガン、女性疾病特約)=保険料1万355円

(3)相談者の求職について
事務職を希望。これから4カ月間の職業訓練を受ける予定。ただし、訓練後も正社員は難しいとのこと。収入は手取り20万円を希望しているが、現実には15万円程度と考えている。

(4)長女の今後について
本人が語学の専門学校の進学を希望。経済的な理由で大学をあきらめさせたので、今度は希望を叶えてあげたいとのこと。母親も資金援助はしたいと言っている。平行して、アルバイトをするだろうが、そこからの資金援助は求めていない。

(5)母親の健康状態
現時点で介護の必要はないが、長時間の歩行は困難。現在、リハビリに通っている。

■FP深野康彦からの3つのアドバイス
アドバイス1 少しでも早く収入を得ること
アドバイス2 月3万3000円の保険料は明らかな負担
アドバイス3 家族の協力で家計を支える
 

アドバイス1 少しでも早く収入を得ること

今回のご相談である「できるだけ母親の貯蓄を取り崩さず生活を立て直す方法」ですが、そのためにご相談者の「にんたさん」が、もっとも優先的にすべきことは、少しでも早く職について、収入を得ることです。

そのために、職業訓練校に通い始めたとのこと。データには失業給付を受けている記載がありませんので、そのメリット(失業給付の給付期間が延びる、など)は受けていないはず。であれば、受けられている内容が、しっかり就職に結びつくものかどうか、十分調べておいてください。4カ月間無収入が続けば、それだけで確実に80万円以上(現在の生活費に母親の生活費を上乗せした額)がお母さんの貯蓄から差し引かれます。職業訓練校がにんたさんの就職に効果的だと考えれば問題ないですが、もしもそうでないなら、訓練校から就職活動に主眼を切り替えるのも選択肢のひとつです。

もちろん、焦ってもいい結果は得られないでしょう。しかし、時間的余裕がないのも事実です。生活費とは別にお母さんから300万円、にんたさんに資金援助があるとのことですが、それも生活費に換算したら、1年半分もありません。それだけ、無収入は怖いということを認識してください。
 

アドバイス2 月3万3000円の保険料は明らかな負担

収入を得るのと同時に、家計を見直して支出を抑えることも「母親の貯蓄をできる限り取り崩さない」ためには、急務です。

まず手を付けるべきは、保険となります。貯蓄性のある保険もありますが、現時点での優先順位は明らかに、目先である家計支出の削減だからです。3本加入されているうち、本人名義の終身保険と個人年金保険はともに払済保険にしてください。本人の保障としては、掛け金2000円程度の共済(=総合タイプ)に新たに加入して、必要最小限の死亡保障と医療保障を確保すればいいでしょう。

あと、娘さん名義で加入している保険も不要です。解約されて、どうしても保障が欲しいのであれば、やはり共済の医療タイプかがん保険(ともに掛け捨て型)に加入すればいいと思います。

この保険の見直しだけで、月3万円前後が浮きます。とくに保険料は固定費なので、一度見直せば、あとは努力なしにずっとその効果が続く点も大きいのです。

あと、工夫次第で削れるのであれば、通信費2万2000円と雑費3万円。いきなりは難しいかもしれませんが、それぞれ1万円ずつ削ることができれば、先の保険の見直しと合わせて計5万円程度、生活費を抑えることができます。そして、目標としてこのくらいの金額を設定しておかなければ、お母さんの生活費負担はどんどん膨らんでしまうでしょう。
 

アドバイス3 家族の協力で家計を支える

娘さんの学費については、先の300万円も充てる予定でしょうが、お母さんも援助したいということなので、そう心配はないでしょう。大学進学を家庭の事情であきらめたため専門学校には行かせたい、と思うにんたさんの気持ちも十分理解できます。ただし、家計に余裕がないのは確かですから、学費はすべて負担するとしても、小遣いなど、本人のアルバイトでカバーしてもらうといった家族の協力も不可欠だと考えます。

また、家計支出の見直しは必須ですが、食費は無理に削るべきではありません。今、怖いのはにんたさんが病気等で働けなくなることです。今後を考える上で、もっとも大事なのは継続的に収入を得ること。そのためには体力も気力も必要です。家計管理とともに健康管理にも日頃から目を向けるようにしてください。
 

相談者「にんた」さんから寄せられた感想

アドバイス頂いた通り、保険、通信費の見直しをしたいと思います。母を頼りにして、のんびりしていてはいけないと感じました。早く仕事を見つけることが先決ですが、長年のブランクがありますので、やはり職業訓練は最後まで受けたいと思います。その間にアルバイトも必要かと考えています。まずは、支出を抑えることを努力していきます。数々のアドバイスをありがとうございました。

教えてくれたのは……
深野 康彦さん
 
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業界歴26年目のベテランFPの1人。さまざまなメディアを通じて、家計管理の方法や投資の啓蒙などお金周り全般に関する情報を発信しています。All About貯蓄・投資信託ガイドとしても活躍中。

取材・文/清水京武 イラスト/モリナガ・ヨウ




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