「ハコから飛び出しがち」だった内山珠希の卒業

女優を目指す女の子たちによって生まれた清純派アイドルグループ“ハコイリムスメ”。デビュー当初から80~90年代のアイドルソングのカバーを中心に披露してきたが、徐々にオリジナル曲も増やしてきた。また歌に加えて、女優志望ならではの高い演技力による芝居を組み合わせた定期公演は他にない魅力。徐々にリリースイベントや対バン出演も増え、その度毎に多くのファンを集めてきた。

そんなハコムスの中でも大人びたルックスと、「お嬢様」というより「セレブ」と言いたい奔放なキャラが、ハコムスの中でも一際光る存在だった内山珠希が卒業を発表した。

「清純アイドル」のイメージに留まらず、「ハコから飛び出しがち」と常々言われていた彼女。そんな彼女がセンターを務めた去年の夏のシングル『夏に急かされて』は、これまでにない大人っぽさを匂わせたダンサブルな曲で、ハコムスの表現にも新しい風を吹かせた。そんな彼女が3月20日の定期公演をもって卒業する。

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2016年2月16日「Season in the BOX~ムスメたちが駆け抜けた季節~」メンバープロデュース公演(AKIBAカルチャーズ劇場)より。この日はメンバー全員デート風のコーディネイトでライブを行った。



それもモデルや女優といった他の道に進むのではなく、「芸能界引退」という。このルックスとキャラクターを持ちながらもったいない……あらためて卒業の理由、そしてハコムスの思い出をうかがってきた。

その言葉は最後まで「ハコから飛び出す」内山さんの期待を裏切らない内容だった!


最近もやりたい事がまた増えて。○○とか!

――卒業まで残り1ヶ月になりましたけど、卒業発表してから心境の変化はありますか?


「そうですね、やっぱり発表したあとファンの方の愛情っていうのを今までよりもさらに感じていて。さみしいとかそういう気持ちになってる方もたくさんいると思うんですけど、でもわたしはやっぱり、笑顔で卒業したいなってのが一番で、みんなに悲しい気持ちのままでいてほしくなくって。わたし自身も笑顔で送り出してほしいんです。あらためてみんなの愛情を深く感じて、やめたくないなって思う時もあるけど、でも一度決めたことは曲げないので。最後までがんばりたいと思います」

――池袋のリリースイベントで行われた卒業発表を見た人からも、すごくしっかりした発表だったと聞きましたよ。

「ほんとですか(笑)」

――公式サイトに載せられた卒業発表もきちんとしていましたし。卒業はどのくらい前から考えてたんですか? 


「どのくらい前だろう……夏? 去年の夏くらいかな。『夏に急かされて』をセンターで出させていただいて、そこでやりきった感が出てきてしまったんです。MV見ていただければわかると思いますが、自分の個性も出しきれたって。でも夏が大好きだし、TIF(TOKYO IDOL FESTIVAL)とかめっちゃ楽しかったんで、その時は来年の夏まではやりたいな、とも思いました。2周年を迎えてから卒業しようかなって。でも新メンバーが入るということで、もちろん新メンバーの子と一緒にやりたいなって気持ちもあったんですけど、わたしの中では今までやってきたみんなに送り出してほしいなってのがあって」


――それでこのタイミングだと。それもハコムスだけでなく「芸能界から引退して、美容・ファッション関係の仕事をしたい」とはっきりした進路の決め方で。

「わたし、やりたいことがいっぱいあって、何を手に職にしていくかとかはまだいろいろと迷ってます。最近もやりたい事がまた増えて。歯科助手とかやりたいなって……」

マネージャー「え~!! うそでしょー!(苦笑)」

「ほんと、ほんとです! こどもの頃、歯医者さんごっことかよくやってたし、好きだったんですよ。それも一応美容系に入るかなって……。入らないですか?」

――まあ、そういうジャンルもありますけども。

「でも今からお医者さんは難しいかな、医学部とかはキツいなって。でも歯医者さんの助手ならやりたいな、みたいな……。本当にやりたいこといっぱいあって!」

そう! わたし欲張りなんですよ

――発表の中で将来やりたい事としてメイクとか髪型ってあるので、裏方の仕事をしたいのかな? と思ったんですけど。

「わたしは自分でファッションブランドを立ち上げたりもしたいんです。そしたら自分でモデルやったりもしたいし、その時にはまたこういう道に出てこれたらなって思ってます」

――まだこの先で分岐点があるかもしれない。

「そうなんですよ! まだどうなるかわからない」

――この先もハコムスを続けて、女優やモデルも並行してって考えはなかったですか? 

「それも最初は考えてたんですけど、ハコイリムスメって清純派アイドルのイメージも大切にしたユニットなんですが、ファンのみんなもわかってる通り、私はもう箱から出ちゃってる感じで」

――まあ、アイドル的な清純派とはちょっと違いますよね(笑)。

「そう! 私は『清純派アイドル』というイメージとは見た目とか性格も違うし、でも『そこがまたいい』って言っていただけることもあったんですけど……やっぱり高校生活って人生で一度きりじゃないですか。芸能活動とかは大人になってからでもまた出来るかもなって」

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2016年2月16日「Season in the BOX~ムスメたちが駆け抜けた季節~」メンバープロデュース公演(AKIBAカルチャーズ劇場)より


――表舞台に立つのはあらためて卒業してからでも出来ると。

「高校生っていうのは今しか経験できないから!」

――卒業発表でも「何にも縛られずに普通の女の子として過ごしてみたい」とありましたね。

「周りの友達で芸能活動をやってる子もいますけど、普通の友達もいっぱいいるじゃないですか。そういう子たちが放課後に思い思いの過ごし方をしているの見て、羨ましいって思うこともあって。芸能界じゃないと味わえないこともたくさん経験させていただいたので、高校生のうちに『普通の女子高生』っていうのも味わいたかったんです」

――基本的に内山さんはいろいろ経験したいというか、欲張りなんですね(笑)。

「そう! わたし欲張りなんですよね~」

――それでアイドルっていうのは一区切りと。

「モデルも女優もアイドルも経験させていただいたので、そろそろ区切りをつけてもいいんじゃないかなって」

――次の段階は普通の女子高生。

「そうなんです。でもほんとに正直怖いです、いまでも。少しずつ慣れてきた芸能の世界から離れて、これから普通の女子高生に戻って、改めてイチからスタートってのは不安もいっぱいありますけど……人生の賭けに出ました!」

――力強く普通の女子高生に戻ると(笑)。

『珠希イズム』を引き継いでほしい

――それでもともと志望ではなかったアイドルですが、やってみて楽しかったですか?

「楽しかったです! ほんとにレッスンとか裏の部分ではつらい時もあったけど、本当ハコイリムスメはメンバーが仲良くって。アイドルって『メンバー同士、仲良くするの大変そうだな』ってあるじゃないですか」

――まあ、そういうイメージもありますよね。

「わたしもハコムス入る前はそう思ってたし、実際結成したてのころはよくケンカもしたんです。でもいつの間にか仲良くなって、今はもう姉妹みたいな。なんでも腹を割って話し合える仲になりました」

――最初のころは「清純派」「清楚」みたいなものを意識していたのが、途中から定期公演のMCなんかもぶちまけるようになって、異様に面白くなったんですよね、ハコムスって。

「最初はライブの時は箱の中に収まろうって思って、収まってるつもりでいて。かなり自分を抑えてました。でも『夏に急かされて』で自分の個性もぜんぶ出せた気しますね。そこでも『Love Peace World』って名言をわたしは残しましたが‥‥」


――自分で言いますか(笑)。

「これはなくなってほしくないですね。卒業発表の時も言ったんですけど、『珠希イズム』をどんどん下の世代に引き継いでいってくれたら……」

――なんか猪木イズムみたいですけど、何でしょう『珠希イズム』とは?

「珠希イズムとはズバリ、わたしみたいに個性を豊かに箱からちょっと出ちゃってもいいんじゃないかな、自分の自由な感じをもうちょっと出していいんじゃないか、ってことです」

――ハコムスは飛び出す人が足りない! と。

「全員が全員自由でもダメだと思うんですけど、でもひとりくらいはわたしみたいな人がいた方が個性豊かになって面白いんじゃないかなと」

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2016年2月16日「Season in the BOX~ムスメたちが駆け抜けた季節~」メンバープロデュース公演(AKIBAカルチャーズ劇場)より


――内山さんみたいな子も許容できるグループでいてほしいと。

「新メンバーも入ってくるので、その中のひとりくらいが珠希イズムを受け継いでくれるといいな、と思っています。(神岡)実希ちゃんとかは絶対箱から出ないと思うので(笑)」

――あの「からあげ戦争」で因縁の神岡さんですね。その話も最後聞いておきたかったんですよ!


からあげ戦争は日常茶飯事

――からあげ戦争の動画はかなり衝撃でしたね。アイドルがからあげを食べたの食べないので大騒ぎって(笑)。


「あれは本当に記憶に残ってますね、ハコムス活動で一番くらいに(笑)。まさか自分の不意の行動があんなことになるとは思ってもいませんでした……。自分でいうのもなんですけど、何度動画見ても笑っちゃいますもんね」

――すごい失礼ですけど、あまりにもよく出来ていて「台本あるんじゃないか?」くらい思いましたもん。

「いや、本当の出来事です、あれは。あの騒動をきっかけにファンの方々が『内山珠希会』ってのを作ってくださったようで、ライブ終わった後にからあげを大量に食べるパーティをするらしくて。すごいな~って思いますね」

――あの映像がハコムスのプライベートの空気なんだなって。

「結成当初にアレやってたら本当の大ゲンカになっていたかもしれません。でも、あれが日常茶飯事なんですよ。わたし食いしん坊なんで、メンバーのお菓子とかつまみ食いしちゃうんです。それで実希ちゃんが怒る、みたいな」

――なんか怒るキャラがついて「カミオコさん」って言われちゃったり。

「実希ちゃん、ずっと受験でお休みしてたじゃないですか。なのでずっとケンカとかなかったんですけど、帰ってきたんでまた始まりそうですね~」

――残り1ヶ月なのに! 不穏の種をばらまかずに優しくしましょうよ(笑)。

「たしかに! そうですね、あははは」

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2016年2月16日「Season in the BOX~ムスメたちが駆け抜けた季節~」メンバープロデュース公演(AKIBAカルチャーズ劇場)より


――それでツイッターで見かけたんですけど、からあげ戦争は内山さんのお父さんが謝って終結したって。

「実はわたしは知らなかったんですけど、そうらしいんです。わたしがあんまりにもふざけて謝るから、私の父が実希のお父さんに謝ってくれたらしいです。終了しました!」

――親が出るレベルの話じゃないですよね(笑)。

最初の頃より子供になったかもしれない

――まあ、そういう適度にかき回す珠希イズムの遺伝子を残していきたいと。

「ほんとにハコムスって、ひとりひとり個性が豊かだから面白いんですよ。自分が抜けた後のハコムスがどうなるか楽しみ」

――自分の卒業後、心配な点とかありますか。

「わたし抜けたらどうなるんだろう……。わたしってハコムスメンバーの中でいちばんギャグセンスあると思うんですよね」

――言い切りますね!

「ネタとか持ち込んでくるのは私なんですよ、だいたい。わたし一番くだけてるタイプなんで」

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2016年2月16日「Season in the BOX~ムスメたちが駆け抜けた季節~」メンバープロデュース公演(AKIBAカルチャーズ劇場)より


――ちゃんと考えて提案もするんですね。ただふざけてるだけじゃなくて。

「まあ、それでもふざけちゃうんですけど。だれがそういう役割を受け継いでくれるのか……」

――笑いの部分を。卒業後、途端に笑いのないハコムス公演になったら……。

「それは困りますね……。だったらわたしゲストで出ましょうか?」

――ぜんぜん辞める感じがしないですね(笑)。でも卒業後も見にいきたいですか。

「見に行きたーい!」

――今後どういうグループになってほしい?

「もっともっと売れてほしい! もっと知名度を上げて、いろんな方々にハコイリムスメって名前を知ってほしいですね。でも、メンバーのひとりが修学旅行で沖縄にいった時に『あ、ハコイリムスメの人だ』って言われたらしいんです。だから沖縄まで伝わってるみたいです、ハコムスが。すごいですよね」

――まずは47都道府県に届け、と。

「あと、もっと世界とかにも。『ハコイリムスメ』ってカタカナじゃないですか? だから親しみやすいと思うんですよ」

――カタカナだから外国人読めるわけじゃないですけどね(笑)。でも曲のザ・アイドルな感じがどう反応あるかは気になりますね。

「ザ・日本! って感じじゃないですか。アメリカとか外国に進出して売れてほしいな!」

――では今後のハコムスに望むのは世界進出、と。

「いいと思います。珠希イズムを受け継いで世界へ! いいですね」

――では最後の質問なんですが、内山さんのキャッチフレーズといえば「見た目は大人、中身は子供」ですけど、ハコムスを通して中身も大人に成長できました?

「うーーん、なんだろ? 技術面では成長したと思うんですけど、中身は逆にもっと子供になったかもしれないです。ほんとに言われるんですよね。最初の頃より子供になってるみたいな(笑)」

――それはなぜ? 

「たぶん、メンバーと打ち解けられたから甘えちゃうんでしょうね」

――学校の友達とも違う関係ですか。

「ぜんぜん違います。学校の友達よりハコムスのメンバーといる方が長いから。学校の子には話せないことも、ぜんぶメンバーには話せるんですよ」

――より親密になった分、子供になれる関係だったと。

「そうですね! だからこれから大人への階段登りますね(笑)」

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2016年2月16日「Season in the BOX~ムスメたちが駆け抜けた季節~」メンバープロデュース公演(AKIBAカルチャーズ劇場)より



最後まで「内山珠希節」が途切れぬインタビューでした。ラストステージは3月20日、AKIBAカルチャーズ劇場の定期公演。本人のリクエスト通り、ファンもぜひ笑顔で見送りましょう! 胸に刻んだ『Love Peace World』の言葉と共に。

■関連リンク
ハコイリムスメ公式
内山珠希公式ツイッター
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