地球温暖化とスキューバダイビング

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海底一面をびっしりと覆うサンゴ。この美しい海の環境をいつまでも残すために、地球温暖化対策に取り組む必要があります


現在、大きな問題となっている地球の「温暖化」。NASA(米航空宇宙局)などが発表したデータによると、2016年の世界平均気温は、前年を0.07度上回って過去最高となり、北極と南極の海氷面積も過去最低を記録したとのこと。世界各地で起こっている激しい干ばつや洪水などの異常気象もその影響といわれており、私たちダイバーの活動の舞台となる「海」にもさまざまな影響が出ています。地球温暖化が海にどのような影響をもたらすのか、詳しく紹介します。
 

海水温の上昇によるサンゴの白化現象

サンゴの「白化現象」とは、造礁サンゴが共生する褐虫藻を失うことにより、透明なサンゴ組織を通して白い骨格が透けて見え、サンゴ全体が白くなる現象のこと。サンゴに大きなストレスがかかり、褐虫藻を失うことによって起こると考えられています。サンゴにかかるストレスとしては、「高水温」、「低水温」、「強い光」、「紫外線」、「低い塩分」など。

サンゴの棲息に適する水温は25~28度で、水温が30度を超える状態が長く続くと白化が起こるといわれており、地球温暖化による海水温の上昇もその原因のひとつとして考えられています。最近では2016年にサンゴの世界的な白化現象が確認されており、日本最大のサンゴ礁海域の石西礁湖でも90%以上のサンゴが白化したとのデータも。サンゴ礁への大きなダメージが心配されています。
 

海洋生物の生息域が変化

地球温暖化による海水温の上昇は、海洋生物の生息域も変化させます。たとえば日本のサンゴ群集の分布は年間最大14kmで北上しているという研究結果があるほか、私たちの身近なダイビングエリアでも、これまでは水温の高い時期にしか見ることができなかった、南方から黒潮に乗って流されてきた季節来遊魚(死滅回遊魚)が、越冬して通年見られるようになったという声をよく聞きます。水温の上昇と共に、従来はそこに棲んでいなかった生物が分布するようになり、海の生態系に深刻な影響を与えることが懸念されています。
 

海水の酸性化で貝や甲殻類にダメージ

地球温暖化の原因となる大気中の二酸化炭素が増えることにより、それが海に溶け込み、海水の酸性化が起こります。気象庁などによる調査でも、すでに海水の酸性度が上昇していることが報告されています。

海水の酸性化が進むと、生物が殻や骨格を作るのに必要な「炭酸カルシウム」の生成が妨害されるため、ミジンウキマイマイなどの有殻翼足目やサンゴ、貝類、エビ・カニなどの甲殻類といった、さまざまな海の生き物の成長や繁殖に大きな影響を与える可能性があります。さらに酸性化が進めば、生物の殻や骨格が溶け出すという説も。想像しただけでも怖いですね。
 

海水面が上昇し、人気のダイビングエリアが消える?

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小さな島々が連なり、「インド洋の真珠のネックレス」とも呼ばれるモルディブ。海水面の上昇による海岸の浸食など、すでに深刻な被害が出始めています


地球温暖化で気温が上昇し、「陸上の氷河・氷床が溶けて海に流れ込み、海水の量が増える」ことと、「水温の上昇により海水の体積が膨張する」ことで、海水面の上昇が起こります。IPCC(気候変動に関する政府間パネル)が2013~2014年に発表した第5次評価報告書によると、今世紀末までに気温は最大で4.8度、海面は最大82cmも上昇すると警告されており、NASAの研究者によると、「今後数百年のうちに海水面は数m上昇する」という意見もあります。

これにより海抜の低い国では、国土が海に沈んでしまうことが懸念されており、例えばダイバーに人気のモルディブでは、海面が1m上昇することで国土の80%が海に沈んでしまうと予測されています。
 

私たちにできることは……

2015年12月にフランス・パリで開催されたCOP21(国連気候変動枠組条約第21回締約国会議)では、温暖化対策の国際的な枠組みとして「パリ協定」が採択され、人間活動による温室効果ガス排出量を実質ゼロにすべく取り組んでいく姿勢が示されました。日本でも政府を挙げての国民運動「COOL CHOICE」や、気候変動のいまを伝える「IPCCリポートコミュニケーター」をはじめ、官民でさまざまな取り組みが行なわれています。

私たちひとりひとりも、まずは地球温暖化についての正しい知識を身につけ、「電化製品の主電源をこまめに切る」、「自家用車の使用を控えて公共交通機関を利用する」など、二酸化炭素の排出量を減らすために身近なことから改めていきたいところです。美しい海の世界を守るためにも、地球温暖化対策に皆さんも一緒に取り組んでみませんか?

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