ABC来日!

僕にとって2016年の初ライヴは、1月6日にビルボード東京で行われたABCの公演で始まりました。2012年8月に同じ場所で、ABCのデビュー作『The Lexicon of Love』をプロデュースしたTrevor Hornもライヴを行いました。ビルボードでのライヴのいい所は、上手く行けば、テーブル席でステージと近い距離でゆったりと鑑賞できること。この日のライヴでもステージ前列2番目の席を取ることができました。

ABC 来日記念特集 (Billboard Japan)
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ABC公演@ビルボード東京


80年代、金ラメのスーツのイケメンまたは王子キャラのイメージが強かったリーダー兼ヴォーカリストのMartin Fryですが、今でもダンディズムが漂う、いい枯れ具合の紳士然としていました。現ABCのメンバーは、Martin以外は新しくなっていますが、ABCのダンディーなイメージを保つべく、黒いスーツでステージに登場しました

ABCは80年代、複数のヒット曲を放ちましたが、やはり代表曲は、前述のデビュー作『The Lexicon of Love』(1982年)からの「The Look of Love」。この日のライヴでも、予想通り、アンコール曲としてフィナーレを飾りました。

The Lexicon of Love

デビュー・アルバムは今聴いても、そのクオリティの高さが再認識できます。このアルバムの成功は、当時プロデューサーとして黄金時代を築いたTrevorだけでなく、彼の実験的ユニットであったThe Art of Noise(AoN)が全面的に参加していることも大きいでしょう。AoNからは、 Gary Langan(エンジニア、セカンド・アルバムではプロデューサー)、Anne Dudley(オーケストレーション)、J.J. Jeczalik(プログラミング)が参加しました。今回の来日では実現していませんが、本国イギリスでは、Anne Dudleyの指揮によりSouthbank Sinfonia Orchestraがアルバム『The Lexcion of Love』をオーケストラ演奏するという公演が2015年から行われています。これのフォーマットでも来日公演をぜひやって欲しいものです。

The Lexicon of Love (amazon.co.jp)
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The Lexicon of Love



The Look of Love

「The Look of Love」は何度聴いても、完成度が高い曲だと思います。PVに登場するエドワーディアン風ジャケット姿のMartinは、ニューロマンティックス的なアイドルというよりも、Brain Ferryの継承者的な存在感があります。終盤には、TrevorとPaul Morleyもカメオ出演をしています。

The Look of Love (Discogs)
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The Look of Love


ABC - The Look Of Love (YouTube)

ABCのベスト盤『Absolutely』(1990年)の発売の際、Paul O’Duffyによるリミックス・ヴァージョン「The Look of Love (1990 remix)」が収録されましたが、イントロの部分は、 Kraftwerkの「Computer Love」のメロディーになっています。

ABC - The Look of Love (1990 remix) (YouTube)

また、Basement Jaxxは、2010年にバレンタイン・ギフトとして素敵なリミックスを無料配信プレゼントしました。これは、マジかっこいい!

Basement Jaxx - The Look of Love (Felix Jaxx Booty Remix)
(YouTube)

How to Be a ... Zillionaire!

ABCの歴代のアルバムの中で、もう一つ好きなアルバムがあります。3作目の『How to Be a ... Zillionaire!』(1985年)。Trevorが離れた渋目の2作目『Beauty Stab』の商業的失敗もあり、ここで起死回生を狙い、大胆な戦略転換を図ります。残ったメンバー、Martin FryとMark Whiteに加えて、新たにニューヨーカーである写真家、David Yarrituと雑誌「The Face」のジャーナリストだったEdenとしても知られるFiona Russell Powellをメンバーに加えます。

How to Be a ... Zillionaire! (amazon.co.jp)
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How to Be a ... Zillionaire!


タイトル曲的ダンスチューン「How To Be A Millionaire」で、メンバーはアニメキャラになっています。

ABC - How To Be A Millionaire (YouTube)

アルバム自体は成功したとは言い難いですが、「Be Near Me」はアメリカでもヒット。髪の毛ふさふさのMartinは完全に貴公子。新しい非ミュージシャン・メンバーのポップなキャラも微笑ましい。

Be Near Me (Discogs)
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Be Near Me


ABC - Be Near Me (YouTube)

Vice Versa

ABC自体は、エレクトロポップでありつつも、そのポップ性、時にはソウルに影響された音楽性が魅力になっています。シェフィールドで誕生したABCの母体は、1978年に結成されたVice Versaというバンド。「Modern Drugs」という雑誌をやっていたMartinがVice Versaにインタヴューをしたのがきっかけとなり、Martinはバンドに加入、そしてABCと名前を変えたのです。Vice Versa自体はこの時期のThe Human Leagueなどにもつながる(実際、前座もしていた)かなりアヴァンギャルドなエレクトロパンクでした。

Vice Versa- Stilyagi (YouTube)

Vice Versaの音源を集めた4枚組アナログが、2014年に発売されています。

Vice Versa 'Electrogenesis 1978-1980' (VOD Records)
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Vice Versa 'Electrogenesis 1978-1980


David Palmer

ABCのメンバーとしてもう一人忘れてはいけないのが、David Palmerです。YMOファンの方々ならご存知でしょう。彼は、1983年のABC来日公演の際に、高橋幸宏と出会い、それがきっかけとなり、ABCを脱退し、高橋幸宏およびYMOの散開ライヴに参加した。当時、人気絶頂だったABCを抜けても、Davidが入ったYMOって、やっぱりミュージシャンとしても魅力的な存在だったんですね。

『How to Be a Zillionaire』でDavidは一時的にABCでプレイしましたが、Pete EasonとPerson To Personを結成し、アルバム『Stronger Than Reason』を1985年に発表。サウンド的には、ABCに近いものを感じます。その後、Davidはセッションドラマーとして活躍しています。

Stronger Than Reason (Discogs)
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Stronger Than Reason


Person To Person - High Time (YouTube)

次は、The Art of Noiseの来日なんて、ないでしょうかね。

ABC (公式サイト)
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