亀山早苗の恋愛コラム/亀山早苗の恋愛情報

「結婚したい」と語る、結婚しない女たちに潜む本音

「結婚する気満々ですよ~」という女性たちの、心の奥に潜む本音は、「結婚なんてしなくてもいいじゃん、恋愛はめんどう」ということではないのだろうか。実際、結婚していないアラフォー女性たちは、案外、楽しそうに日常を過ごしている。世間向きに「結婚したい」と言っておくほうがラク、としたたかに計算しているのではないだろうか。

亀山 早苗

執筆者:亀山 早苗

恋愛ガイド

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デート、恋愛、結婚は「めんどうくさい」?

女性たち

女性たち

予期せずして、アラフォーの女性たち5人と食事をともにすることになった。立場はみなばらばら。ひとりで仕事をしている人、本人曰く「零細企業」で広告関係の仕事をする人、カフェ経営者、中堅メーカーで役職付きの人、派遣でがんばる人。みんな一斉に口にしたのが、

「いやあ、ここ数年、厳しいけど、今年はなおのこと厳しかったわー」
「仕事続けていけるかなあ」
「そろそろ親の介護が入ってきそう」
「最近、体調がイマイチなのよね」

……誰からも恋愛話が出ないではないか! 恋愛に話を振ってみると、誰もかれもが遠い目になる。

「去年、結婚しようと思っていた人と別れたばかりだから、しばらく恋愛はいらないわ」。ひとりで仕事をしている人がそう言う。

「私はすでに親と一緒に住み始めちゃったからねえ、恋愛より介護が先だと思う」と零細企業の人。

「恋愛なんて、まったく考えられない。どうやって仕事で生き残るかがいちばん大事だもの」。ほかの3人も口を揃えて言う。

恋愛したくないのかといえば、そんなことはない。結婚だって、できればしたいと思っていると力を込めて話す。だが、いざとなると「めんどう」という言葉が頭を駆け巡る。

「以前、友だちが紹介してくれた人と、いざデートしましょうということになったとき、この日もダメだ、その日も予定がとなって、結局、デートできる日が見つけられなかったんですよ」。役職付きの女性が言う。

「ランチくらいならなんとかなるけど、慌ただしく1時間でランチをとって、じゃあねっていうのもヘンでしょう? ちょうど忙しい時期だったせいもあるけど、予定表を見ながら、ジムに行ったり、友だちとの食事会を優先させている自分がいることに気づいた。結局、デートがめんどうなんだとわかったんです」

自然発生的に出会ってそのまま意気投合、勢いでどちらかの家に泊まってそのまま同棲生活に突入、というようなスピードでなければ、男性とつきあうこと自体がむずかしいのかもしれない、と彼女は言った。

ランチして、デートを重ねて……そんな予定調和に飽き飽きしている?

ランチして、デートを重ねて……楽しいはずの恋愛から結婚の道のりを「果てしない道」と感じてしまう。

ほかの女性たちも、「デートがめんどうってよくわかる」と一斉に声を上げる。

「デートしてお互いのことを話して、映画行って食事して酒飲んでセックスして……。それを何度か繰り返して、親しくなったことを確認して結婚、という道のりがあるんでしょうけど、なんだかもう果てしない道みたいな気がする」

派遣女性が苦笑いしながら、そう言うと、ほかの女性たちも、うんうんと頷くばかり。

「あきらめている」わけではない、「必要不可欠でない」だけ

ひとりで生きていける女性たちは、結婚をどう思うのか。

ひとりで生きていける女性たちは、結婚をどう思うのか。

だからといって、恋愛や結婚を「あきらめている」わけではない。

だが、もはや彼女たちにとって、「男が必要」とは思えないようだ。ひとり暮らしでもなんとかやっていける、生活費を誰か出してくれればラクだけど、だからといって自分の生活を乱されるのは嫌。

今や女性たちにとって、生活していくための結婚は必要ないのだ。

「さすがに今は親も『結婚しろ』とは言わなくなったけど、実家に戻るたび、近所の人は『いつでも帰ってきてくれる娘さんがいていいわね』と、厭味か皮肉かわからない感じで言ってきたりしますね。そう言われると、親も肩身が狭そうで。一人っ子だから、申し訳ないような気持ちになるんですよね」

親のために結婚したほうがいいのかなと思うことさえあると、カフェ経営者の女性は笑った。

セックスなんて、しなければしないで困らない。仕事に必死になっていれば、空いた時間はせめて自分の趣味に使いたい。

ただ、彼女たちを悩ませているのは、「結婚して子どもを産まないのは、親に申し訳ない」という気持ちと、「みんなができる結婚を、なぜ自分はできないのだろう」という自己否定感だ。後者は、人によって程度の違いが大きい。

だが結婚は、運とタイミング。自分が望んで猛烈に活動すればいざ知らず、黙っていて結婚というものが飛び込んでくるわけでもない。私たちは白雪姫ではないのだし、王子はそもそもそのへんにはいないのだから。

世間向きに「結婚したい」と言うのがちょうどいい

結婚したくないわけではないが、しなくてはいけないものではなくなって来ている。

「結婚したいです!」と語る女性たち、実は世渡りのコツとして言っているだけなのかも。

結局、「誰も結婚したいわけでもないし、恋愛に時間をとられるのも嫌なんでしょ」と軽く口を出してみる。

みんなにやにやと笑っているだけだ。

結婚したくて必死に活動している女性たちは、そこにはいない。結婚すれば、すべての問題が解決するわけではなく、むしろ結婚によって巻き込まれるトラブルやストレスのほうが多いことを知っているのだ。

だが、親戚や近所の人や、仕事関係の男性たち、いわゆる世間向きには言うのだろう。

「結婚する気満々ですよー。誰かいい人いませんか?」と。

それが世の中をうまく渡り歩くコツだと、彼女たちはしたたかに感じ取っているのではないだろうか。

▼「恋愛って、結婚ってなんだっけ?」と思ったら……
独身男の「生きづらさ」もわかってほしい
「恋愛」と「自分」の距離の取り方
不安まみれのアラサー女子たち
自分らしく生きるために恋愛とセックスを分ける女たち

■【アラフォーの“傷跡” 大人になっても生きづらい私たち】連載中
――過去の連載はこちら。

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