韓国では、近年“ヒーリング”“ハートウォーミング”というキャッチフレーズのドラマが急増。2014年から2015年にかけては、精神疾患に直接スポットをあてたものから、トラウマを抱える者たちが主人公のラブストーリーまで、10数本ものヒーリングドラマが制作されました。


韓国の若者をとりまく社会問題

これまでの韓国ドラマといえば、勧善懲悪のはっきりしたストーリー、わかりやすい定番演出など、エンターテイメント性が重視される傾向にありました。ドロドロの愛憎系ドラマが多いのも、刺激的な展開を盛り込めば、なんだかかんだと批判をあびつつも高視聴率がとれるため。が、その一方で、テンションのアップダウンが激しいドラマよりも、感情を繊細に描いた日本のドラマを好むファンも増え、日本のドラマのリメイクが盛んになる現象も。

その流れから、最近では、韓国でも感情面にスポットをあてた作品が増え、主人公も完璧なヒーローから、欠点を持っていたり、心が弱かったりと、共感できるキャラクターにシフトしていきました。この背景には韓国の現代人が抱える激しいストレスがあるようです。

特に、若者層には以下のような社会問題があると言われています。

●学歴史上主義
朝鮮時代から学者たちが高級官僚となり、学問が立身出世に必須だった伝統から、学歴史上主義が根強く残っている。名門校に合格するために年少の頃からいくつもの塾に通うのがあたりまえで、青春時代のほとんどを勉強に費やすことになる。

●就職難、学歴難民
有名大学や大学院を出ても就職難のため、半数近くが学歴難民になっている。中堅、中小企業の層が薄い韓国では、大企業に就職した人と、そうでない人の格差が大きく、大企業または公務員の職に就けない場合は、就職浪人、または就職をあきらめる人が多い。

●失業率の上昇
2015年の韓国の失業率は9.9%だが、その中で若者が占める対比が高いことが社会的に問題視されている。大学進学率が高いわりに、大企業の新卒採用者が減少しており、中小企業に就職しても、賃金や福利厚生の面で不満がたまることからミスマッチが生じてしまう。また希望の職場に就職できたとしても、非正規雇用である割合が高い。


韓国人ならではのストレスも

さらに、女性の場合は外見を重視される風潮から、容姿によるコンプレックスを抱いたり、就職や結婚のために美容整形や過度なダイエットしたりと、つねに自己管理を迫られることによるストレスも。

またうつ病の自覚症状があっても、体面を重んじることから、精神治療の記録が残るのを避けたいがゆえに、治療をあきらめる事例が多いのだそうです。経済協力開発機構(OECD)の加盟国のなかで韓国は自殺による死亡率が最も高く、10年連続で1位を記録しています。

重い話題になりましたが、このような社会背景のなかで、急増してきたヒーリングドラマ。ドラマを通じて、自分にも思い当たる症状を見つけたり、心の病を克服して成長してゆくキャラクターに共感できる点が人気を得ているようです。

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