宅建試験

2018年度の宅建試験の合格ラインと合格率等、および、試験に合格した後の手続きについて紹介します。特に、実務経験のない方が資格登録するには、登録実務講習を受講する必要があります。その詳細についても説明します。

【目次】  

2018年度宅建試験の合格ライン

2018年度の宅建試験の合格ラインは、37点以上でした。なお、登録講習修了者は32点以上です。2018年度の宅建試験については、これまでの難問化傾向に歯止めがかかりやさしい問題だったという受験者からの声多く、結果もその通りの結果となったといえます。
 
宅建試験に合格しただけでは宅地建物取引士にはなれない?

2018年度宅地建物取引士試験の合格ライン



申込者及び受験者数は昨年よりも2%ほど増加し、合格者数も昨年よりも716人増加しました(合格者数は33,360人)。一般の受験者の合格率は15.6%、登録講習修了者(いわゆる5点免除の対象者)は20.6%でした。

合格者の内訳ですが、不動産業に携わる方が36.8%と最も多く、建設関係が9.8%、金融関係が9.5%となっています。今年の最高齢合格者の方は80歳(昨年度は89歳)、最年少は16歳(昨年度は13歳)でした。合格者の平均年齢は34.9歳でした。

【参考資料】  

宅建試験合格後、宅建士になるための手続きには2ステップが必要

宅建試験に合格した場合でも、すぐに重要事項説明などの宅建士にしかできない職務ができるわけではありません。まずは、宅建試験を受験した都道府県知事に対する資格登録の手続きが必要です。その際に必要となる書類等は以下のとおりです。

ステップ1:資格登録
  1. 登録申請書
  2. 前科等の欠格事由に該当しない旨の誓約書
  3. 身分証明書(本籍地の市区町村で3カ月以内に発行されたもので、成年被後見人・被保佐人・破産者でないことを証明する書類です)
  4. 登記されていないことの証明書(法務局の戸籍課で3カ月以内に発行されたもので、成年被後見人・被保佐人でない旨の登記事項証明です)
  5. 住民票(3カ月以内に発行されたもので、申請者本人分が記載されているもの)
  6. 合格証書(原本とコピー)
  7. 顔写真(縦3cm×横2.4cmで6カ月以内に撮影したカラー写真です)
  8. 実務経験があることを証する書面
  9. 従業者証明書(現在出向中の方は出向証明書を併せて提出します)
  10. 営業に関する法定代理人の許可証(未婚の未成年者に限ります)
  11. 戸籍謄本(未婚の未成年者に限ります)
  12. 印鑑(シャチハタ不可)
  13. 登録手数料(現金で37,000円。収入証紙ではありません)

上記の内容は、自宅に送られてきた合格証書に同封された書類にも記載されています。二度手間にならないよう、時間に余裕をもって役所に赴いて下さい(上記4の証明書が法務局、それ以外は市区町村です)。実務経験を示す書類と営業に関する法定代理人の許可証以外は、計画的に行動すれば午前中にすべての書類を入手して、午後から都道府県庁で登録の手続きを行うことができます。

宅建士の登録が完了してもまだ宅建士の仕事はできません。念願の宅地建物取引士証の交付を受けなければならないのです。交付申請は、登録先の都道府県知事に対して行います。その際に必要となる書類等は以下のとおりです。

ステップ2:宅地建物取引士証の交付申請
  1. 宅地建物取引士証交付申請書
  2. 顔写真(縦3cm×横2.4cmで6カ月以内に撮影したカラー写真2枚)
  3. 印鑑(シャチハタ不可)
  4. 登録通知(登録申請後30日程度で自宅に発送されます)
  5. 交付手数料(現金で4,500円。収入証紙ではありません)

ということで、宅建士の登録をしてから約1か月後に取引士証の交付が受けられるイメージです。なお、交付申請の際の写真は、取引士証に貼付されるものです。重要事項説明の際には毎回提示しなければならないですし、5年間は本人都合での再作成はできない決まりとなっているので、写真館できちんとした写真を撮ることをお勧めします。

ちなみに、宅建試験に合格してから1年以上経過してしまった方は、都道府県庁では取引士証を交付してくれません。法定講習を受講した上で、その講習実施機関から取引士証を受け取ります。
 

実務経験がなければ宅建士になれない?

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登録実務講習における実務経験


宅建試験に合格して、都道府県知事に資格登録する際には、上に示したとおり、実務経験があることを証する書面を提出しなければなりません。この実務経験というのは、登録申請前10年以内の宅地建物取引業者としての経験、または宅地建物取引業者の下で勤務していた経験をいいます。

具体的には、顧客への説明、物件の調査等具体の取引に関するものとされています。受付、秘書、いわゆる総務、人事、経理、財務等の一般管理部門等の顧客と直接の接触がない部門に所属した期間及び単に補助的な事務に従事した経験は、ここにいう実務経験には含まれません。なお、この実務経験については、宅建試験の合格の前後を問わず、合計で2年以上となります。

この実務経験がない場合でも、一定の条件を充たせば登録できる例外があります。すなわち、「国土交通大臣がその実務の経験を有するものと同等以上の能力を有すると認めたもの」(宅地建物取引業法18条1項)です。具体的には次の3パターンです。
  1. 登録実務講習を修了した者
  2. 国、地方公共団体又は国もしくは地方公共団体の出資により設立された法人において宅地又は建物の取得又は処分の業務に従事した期間が通算して2年以上である者(具体的には、地方住宅供給公社等)
  3. 国土交通大臣が上記1と2と同等以上の能力を有すると認めた者

一般的なパターンは1の登録実務講習を修了することだと思います。
 

登録実務講習の内容とスクールの選び方

登録実務講習の概要については、宅建試験に関連する3つの講習の記事で簡単に触れていますので、そちらもご参照下さい。

■登録実務講習で学ぶカリキュラムと学習時間
登録実務講習のカリキュラムはすべて法律で厳密に定められています。講習時間は合計で50時間程度、そのうち12時間は通学して講師から直接指導を受ける必要があります。
講習の内容の概要は以下のとおりです。括弧内は学習時間の目安です。

1.宅地建物取引士制度に関する科目(1時間)
・宅地建物取引士制度の概要
・宅地建物取引士の役割及び義務

2.宅地又は建物の取引実務に関する科目(37時間)
  • 受付、物件調査及び価格査定の実務に関する事項
  • 媒介契約に関する事項
  • 宅地又は建物の取引に係る広告に関する事項
  • 宅地又は建物の取引条件の交渉に関する事項
  • 重要事項説明書面の作成に関する事項
  • 宅地又は建物の取引に係る契約の締結に関する事項
  • 宅地又は建物の取引に係る契約の履行に関する事項
  • 宅地又は建物の取引に係る資金計画及び税務に関する事項
  • 紛争の防止に関する事項

3.取引実務の演習に関する科目(12時間)
  • 取引の目的となる宅地又は建物の調査手法に関する事項
  • 重要事項説明の実施に関する事項
  • 宅地又は建物の取引に係る標準的な契約書の作成に関する事項
 
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登録実務講習の選び方


上記のとおり、登録実務講習の内容は大きく3つに分けられます。1の宅建士に関する内容は、宅建試験に合格した方であれば熟知しているはずですので、実際の講習ではそれほど時間を割くことはしないのが普通です。

2の宅地又は建物の取引実務に関する科目が講習の中心になります。これは宅建試験の受験勉強ではやらなかった内容になります。受験勉強で学んだ詳細な法令の知識が実際の不動産取引の過程でどのように使われているのかを実感することができます。

宅地建物取引業法が扱う不動産取引は非常に範囲が広いので、すべての取引事例について研修はできません。多くの研修機関は、戸建住宅の個人売買を宅地建物取引業者が媒介するという事例で資料集とテキストがまとめられています。

具体的には、宅地建物取引業者による売り物件の調査、売り物件の価格査定、売主と媒介契約の締結、指定流通機構(レインズ)への登録、物件の広告、購入希望者の受付・案内業務、税金・住宅ローン・価格交渉、重要事項説明書面の作成、契約書面の作成、重要事項説明書と契約締結、紛争事例を学びます。

3の取引実務の演習に関する科目は、通学で講師から直接の指導を受けるものです。物件調査と重要事項説明と契約書作成の3つです。重要事項説明書面に記載しなければならない事項は、宅建試験の受験勉強で必死に暗記したはずなので、演習では実際に重要事項説明書面を作成する際に参照する登記情報、都市計画図、住民票、印鑑証明書、建築確認通知書などの公的書面・図面からどの記載内容を重要事項説明書面のどこに転記するのか、買主側に説明する際に注意するポイントを学びます。

講習を担当する講師は、不動産取引に詳しい弁護士、不動産鑑定士、不動産取引実務について7年以上の経験がある宅建士、税理士のいずれかです。専門家から学ぶ利点は、テキスト等にはない実際の失敗談が聴けることです。特に物件調査におけるミスは後々大きな問題に発展します。ミスは人間である以上やむを得ません。そのミスを大きな問題に発展させないことが重要です。その知恵や工夫を、研修を担当する講師から学びましょう。
 

修了試験に合格しないと登録できない?

初受験で合格した方で1年弱、2回以上の受験で合格した方であれば2年以上もの間、不動産取引に関する法令と判例を勉強し、やっとの思いで宅建試験に合格したことと思います。後は、宅建士としての輝ける未来が待っているだけ。確かにそうなのですが、登録実務講習を受講する必要がある方は、最後にもう一度試験を受けなければなりません。この試験に8割以上正解しないと修了証は発行されません。

修了試験は各実施機関で作られており、どこで受講するかで内容が異なります。ただ、出題範囲と合格ラインは法令で定められています。

修了試験の出題範囲は、登録実務講習のカリキュラムにある科目のすべてです。つまり、事前に配布されるテキストの内容と講師が講義する内容が出題範囲となります。択一式と正誤式でテキストにある実務的な注意点から、記述式による筆記試験によって重要事項説明書面と契約書面の作成から、それぞれ半々程度の割合で出題されるのが普通です。

授業をしっかりと聞いていれば目を瞑っていても合格できるような内容なうえに、試験の際はテキストと資料集を参照できます。私は、修了試験の作成を担当し、たまに採点もお手伝いしておりますが、満点の方がほとんどです。宅建試験に合格された方だけが受講できる講習なので、みなさん真面目でしっかりと事前学習されてきます。私見ですが、この修了試験にそれほど不安になる必要はないかと思います。
 

登録実務講習はどこで受講できるの?

国土交通大臣が認めている登録実務講習の実施機関は、平成28年8月5日現在で16機関あります。国土交通省のホームページに登録実務講習実施機関一覧が掲載されています。

【関連サイト】
国土交通省ホームページ 登録実務講習実施機関一覧

字数の関係上、ここでは、全国規模で実施する機関のみをご紹介いたします。
上記のうち、東京リーガルマインド、日建学院、総合資格はほぼ全国で開講しています。それ以外でも、TAC、不動産流通推進センター、日本ビジネス法研究所、宅建実務教育センター、Kenビジネススクール、住宅新報社は全国主要都市で開講しています。それ以外は、地域密着型となっています。詳細は、各実施機関のホームページを参照してご確認下さい。
 

登録実務講習の費用は全国共通ではないってホント?

登録実務講習は、受講料の定価は国土交通大臣に届け出ているのですが、実施する機関により特色があるので実際の受講料は定価よりも安くしているところが多いです。 

登録講習(5点免除講習)の場合は採算がとれなくてもその他の試験対策講座や企業研修の集客・営業に(やり方次第で)反映しやすいので、各社かなり値段を下げています。しかし、登録実務講習はそういった性格のものではなく、公的な色彩が強く、講師一人に対する受講者の数が20人までと厳しく制限されているので、なかなか値段が下げられないのが実情です。研修のクオリティーとサービスを維持するためには必要なものとお考え下さい。

ですから、最近は、大手は定価のままで実施するところが多くなっています。(登録講習と登録実務講習という公的な業務をメインとして行っている民間機関は他のサービス等の付加価値が付けられないので、値段を安くして集客を図る傾向にあるようです。私も学校経営しえいるので詳細がわかりますが、価格競争している機関が付ける値段は採算ベースを無視していますね)。
 

自分の目的に合ったスクールを選びましょう!

登録実務講習は実施する機関によって多少の違いがあります。その性質上、予備校や学校だけが講習を実施しているかのように思われますが、実は違います。不動産業界の適正な取引を推進するような公益法人や、公的な色彩の強い一般社団法人、新聞社、人材派遣会社など不動産に関連する特色ある団体が実施しています。

予備校・学校系は、宅建試験対策の受講者がそのまま登録実務講習に流れて行きます。公益法人は、実績や信頼性、最近ではサービスの良さをアピールして一般の合格者を募集しています。これも、登録実務講習を実施する側としての私見ですが、最近は、(一部の業者を除き)価格競争も落ち着きを見せはじめ、講座の中身と付随的なサービスの内容により公正な競争を行っています。

登録実務講習を受講される方の多くは、これから不動産業者に勤務しようとする方だと思われます。そういった方にとっての関心事は就職でしょう。ですから、講師やスタッフから就職に役立つ情報が得られるのかどうかも重要です。直接、実施機関に電話して相談するとよいでしょう。

次に多いのは、不動産業者に勤務する新入社員や、人事・総務・事務といった営業職でない社員の方です。そういった方にとっての関心事は早く修了証が発行されることと、できれば今の仕事に役立つ実践的な研修であることかと思われます。これは、100%講師の質によります。どんなにカリキュラムやテキストが優れていても、実務に役立つ実践的で専門的な内容の研修は実務経験豊富であり、かつ、法令に精通している講師でないと不可能だからです。この点についても、直接、実施機関に電話して相談するとよいでしょう。

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