草分け的ガールズバンド、GIRLS

ガイド:
イリアさん、はじめまして。実を申しますと、僕はジューシィ・フルーツのフロントとしてお茶の間を席巻した頃からのイリアさんのファンです。ジューシィはシングルも含めて、ほぼコンプリートしています。だから、古い話も含めて、いっぱい訊きたいことがある念願のインタヴューなんです。イリアさんの本名は奥野敦子さんですが、これはジューシィに加入する前に在籍したGIRLSの時からですよね 。メンバーの名前の頭文字を並べると、「G.I.R.L.S.」になる。イリアという名前はどこから来たのですか?
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現在のジューシィ・フルーツ(左から:アキシロ、 トシ[高木利夫]、イリア、ジェフ)


イリア:
GIRLSになる前の前身バンド、サティンオデッセイの時からリタ、レナ、サディーと自ら名前を付けている3人がいて、残るはGとIのみになっていました。それで私はIを選択、小さいころに見ていた海外ドラマ「0011ナポレオンソロ」に出ていて好きだったデビッド・マッカラム演ずるイリアから取りました(役名は正式にはイリヤだったかもしれませんが、あえて私はIRIAのイリアにしました)。

ガイド:
1977年から1979年まで活動し、『野良猫』『 パンキー・キッス』の2枚のアルバムを残したGIRLSは、日本における草分け的ガールズバンドですね。アメリカンパンクの影響もあるThe RunawaysやBlondieなどのカヴァー、そしてコスチュームも今のガールズバンドよりも思い切りがありますよね。この時期にガールズはどんな感じで世間に受け入れらたのでしょう?

野良猫 (amazon.co.jp)
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野良猫


イリア:
衣装が派手だったのは、ヴォーカルのリタの思い切りの良さからだと思います。彼女は、まだThe Runawaysを知らないアマチュアの頃からコルセットスタイルを取り入れていました。当時私はヴォーカルではなくバックでギターを弾いていたので、そんなに目立ってはいなかったのでは?(と言いながらも全身銀ラメのタイトパンツスーツだったかも、同級生のママから貸してもらって!)
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イリア(GIRLS時代)


その後、海外でも同じような女の子がいるんだな~と意識するようになりました。でも日本のロックバンド事情はまだまだで、女性バンドは残念ながらキワモノ、イロモノ扱いに近かったですね。雑誌のインタビューとかも男の子のことや体の自信のある部分は?とか…ちょっと悲しかったです。

ガイド:
その後、イリアさんはジューシィに、リタさんはピンナップスに参加しますが、GIRLSが解散してしまった理由は訊いてもいいでしょうか?

イリア:
2年間活動し私は大学4年になるところでした。卒業の準備もありましたし漠然とではありますが就職するものと思っていたので、私の中では自然な流れでした。そのあと新メンバー2人が入って新生GIRLSになって、リタはしばらくGIRLSでやっていました。

近田春夫&BEEFからジューシィ・フルーツへ

ガイド:
ちなみにピンナップスというバンド名は、ジューシィ・フルーツのバンド名候補の一つだったという話もありますが、その辺りはご存知ですか?

イリア:
近田春夫さんが名付けたことは知っています。彼の引き出しの中にはいつも素敵なアイテムがたくさん入っています。

ガイド:
ジューシィの母体は、近田春夫さんのバックバンド的なBEEFでしたが、ここからジューシィとしてデビューするというのはもともと計画されていたことなんでしょうか?

イリア:

それは無かったと思います。あくまでも近田春夫のバックとしてやっていました。近田さんのレコード会社移籍もあり、暫く近田さん自身はレコード発売が出来なかったのです。その頃「山本翔と一風堂」のようにソロとバックそれぞれでレコーディングをするスタイルがあって、先にバックで出しましょう!となりました。近田さんはまた戻って一緒にやるつもりだった筈ですが意外な展開になり、ヴォーカルではなくプロデューサ-となりました。

ジューシィ・フルーツ、デビューで大ヒット

ガイド:
ジューシィは、1980年6月に発売されたデビュー・シングル『ジェニーはご機嫌ななめ』で、いきなりベスト5まで駆け上がりました。僕の中では、イリアさんはミュージシャンでありつつも、アイドルでした。この快進撃には予感みたいなものはあったのでしょうか?

ジェニーはご機嫌ななめ
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ジェニーはご機嫌ななめ


Drink! (amazon.co.jp)
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Drink!


イリア:
何せ初めてのリードヴォーカルだったので、それで一杯いっぱい、ヒットがどうのとか全くありませんでした。アイドル全盛の時代でテレビでは松田聖子さんや小泉今日子さん等沢山のアイドルの方ととご一緒しましたが、私自身はそのような歌番組より野音などのコンサート会場の方が落ち着くなぁ、やっぱりアイドルとは違うし…と感じた事を覚えています。

ガイド:
ギタリストのイリアさんは、ジューシィでヴォーカルも務め、ファル セットで歌っていますが、こういう歌い方はもともとしていたのですか?

イリア:
GIRLSの頃にスロッグというバンドと一緒にグリースのカヴァーアルバムを作った時に、初めて1曲歌いましたが、それは普通の歌い方です。

ジューシィ・フルーツでリードヴォーカルとなり何曲か歌う際に、「ジェニーはご機嫌ななめ」だけがキーが高くどうしようと悩みながら、レコーディングの前日お風呂に入りながら裏声で歌ってみたらいい感じだったので、録るときにやってみたところ近田さんやディレクターにも気に入ってもらえてあのファルセットヴォイスが誕生しました。

ガイド:
「ジェニーはご機嫌ななめ」は、その後Perfumeも含め多くの人にカヴァーされましたが、この曲が今も多くの人に愛される理由は何だと思われますか?

イリア:
もともとの楽曲の良さ、歌詞やキャッチーなメロディの繰り返しがとても印象的なのだと思います。いろいろな方が歌ってくださって私も嬉しく思っています。

ガイド:
ちなみにジューシィは、Perfumeの先輩格となるアミューズ所属だったんですよね。アミューズにはどういった経緯で入ることになったのですか?

イリア
最初は近田春夫事務所に所属していて、そのデスクがアミューズ内にあったのです。思わぬ展開に近田春夫事務所だけでは対応できなくなり、アミューズの方が手伝うようにもなって、その後バンドごと正式にアミューズにお世話になりました。

ジューシィを振り返って

ガイド:
続くシングル『なみだ涙のカフェテラス』にカップリングされていた「恋はベンチシート」も、とても好きな歌でした。後に、「恋のぼんちシート」の元ネタにもなりましたね。イリアさんが諭すような語り、対照的な沖山優司さんの最後のおどおどした語りもツボでした。ジューシィでは、やはり「イリアお姉様」って感じのポジションだったのですか?

なみだ涙のカフェテラス/恋はベンチシート
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なみだ涙のカフェテラス/恋はベンチシート (ピクチャーディスク)


イリア:
年齢からしてもトコちゃんこと柴矢さんが音楽的なリーダー、ドラムのトシが優しいお兄ちゃん、ベースの優司君が面白い弟みたいな感じでした。いつも一緒にいたので、本当の家族より、もはやジューシィ・家族!でした。でも、男子たちが何かにつけ悪さやおイタをしないように?私がみんなのお母さん役にもなっていたかもしれません(笑)。

そんなヒロシに騙されて

ガイド:
ジューシィは、テクノポップ~ニューウェイヴ的な文脈も持っていますが、同時にGS(グループサウンズ)の継承者と考えています。サザン・オールスターズ、高田みづえと競作となった「そんなヒロシに騙されて」では、ジューシィ・ヴァージョンは素晴らしくGSしています。GS的な要素というのは、誰の影響が強かったのですか?

そんなヒロシに騙されて

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そんなヒロシに騙されて


イリア:

それまでもどこかオールディーズの匂いを感じさせる曲はありましたが、特にギターの柴矢さんは元々GSというかベンチャーズの大ファンだったので、ヒロシで弾く彼の間奏のリードギターも素晴らしく、それらしい良い仕上がりになったのだと思います。

ガイド:
1985年にジューシィは解散してしまうわけですが、振り返ってみて、ジューシィとはイリアさんの人生でどんな意味を持っていたのでしょう?

シングル・コレクション+5 (amazon.co.jp)
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シングル・コレクション+5


イリア:
忙しかったですが、とても充実した、そして多くの方と出会い関わりお世話になった年月でした。この4人のメンバーで沢山の音楽、ステージを作っていかれたことをとても幸せに思っています。何よりの財産であり宝物です。

ソロ、イリア

ガイド:
イリアさんは1988年にソロ作『Tingle』を発表されました。1982年のアルバム『27分の恋』でアレンジャーだった戸田誠司さんと の共同プロデュース作ですね。両作とも僕は好きなのですが、ソロ作を戸田さんとやることになった訳は?

Tingle (amazon.co.jp)
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Tingle


イリア:
やはり彼の新しいセンスと才能を、私もディレクターも買っていたからです。ただ今から思えば、私ももっとギターに力を入れたほうが良かったかもしれません。リードギターがあってのIRIAなのでは…と今は感じています。

ガイド:
1995年の2作目のソロ作『Japanese Lovers』では、デニス・ボーヴェルさんを迎えてラヴァーズ・ロック。その後、かなりのラヴァーズ・ロック系の楽曲は日本の歌手によっても歌われますが、かなり早かった気がします。ラヴァーズ・ロックで行こうと思われたきっかけとかあれば教えて下さい。

Japanese Lovers (amazon.co.jp)
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Japanese Lovers


イリア:
実はプロデューサーの工藤晴康氏は、私が初めてやったアマチュアバンドのメンバーで旧知の仲でした。レゲエのスペシャリストの彼は自分でもバンドをやっていて、そこに私が参加して「振り向かないで」をラヴァーズロック風に歌ったのがきっかけで、イギリスレコーディングにまで発展しました。レゲエ、ラヴァーズ・ロックを色々と聴いていくうちに、その心地よさに魅力を感じたし、デニスを始め他のイギリスのミュージシャンたちも素晴らしかったです。

ジェニーはご機嫌斜め New Version

ガイド:
2001年に松江潤さんのプロデュースでNew Versionとなる『ジェニーはご機嫌ななめ』が、突然発売されました。これはトラックは新しく録音されていますが、イリアさんのヴォーカル部分は録り直してはいないのですか?

ジェニーはご機嫌ななめ(2001年版)
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ジェニーはご機嫌ななめ (2001)


イリア:
えーっ!録り直していますよ~。 20年経っていますが変わりないですか(笑)? だとしたら嬉しいです。

ガイド:
とても若々しいです!

ジューシィ・ハーフとして再開

ガイド:
その後、2009年に元ジューシィ・フルーツだった高木利夫さんに新たなメンバー、アキシロさん、ジェフさんを加えて、ジューシィ・ハーフとして活動を始められます。このタイミングでバンド活動を再開しようと決めた理由を教えて下さい。
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ジューシィ・フルーツLIVE


イリア:
実はもうバンドは一生しないだろうと思っていました。最初の初代ジューシィ・フルーツはとても居心地良く、やり切った感もあったからです。なのでギターにも何年も触れず、ケース入れてしまったままでした。
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イリア(ジューシィ・フルーツLIVE)

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高木利夫(ジューシィ・フルーツLIVE)


たまたま、テレビの番組でどうしても「ジェニーはご機嫌ななめ」を歌うことになり、番組の方からはカラオケでもいいので、と言われたのですが、バンドをやっていた者にとってそれはちょっと納得できず、友人でもある元ハルヲフォンのドラマー恒田義見さんのライヴ前にそのバンドで収録をさせてもらいました。その時のメンバーが今のジューシィの元になったのです。そのライヴの途中で飛び入り的に「ジェニー」を演奏したところ喜んでもらえて、その後徐々に曲数を増やしやっていくようになりました。アキシロさんもジェフさんも当時からジューシィをよく聴いていて、バンド再開はスムーズに進みました。その後トシも参加し固定メンバーになったとき、4分の2がオリジナル、残り2人が新メンバーということで、最初はジューシィ・ハーフとして活動していました。

ジューシィ・フルーツ再襲名

ガイド:
2013年、NHK「みんなのうた」でも使われたシングル『ちょっとだけ☆ナラバイ』が発売された直後にジューシィ・ハーフからジューシィ・フルーツに名前が変わりました。ジューシィ・フルーツという名前を再襲名するにあたっては、すんなりとできたのでしょうか?

ちょっとだけ☆ナラバイ (amazon.co.jp)
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ちょっとだけ☆ナラバイ


イリア:
勿論、オリジナルメンバーの二人にも伝え、OKをいただきました。今でも仲良しですよ~

ガイド:

ここまで新生ジューシィとしてライヴ活動を精力的にこなしておられ、僕も10月12日の「オカエリ ジューシィ・フルーツ」をとても楽しみにしています。今後の予定も含めて、見どころなどをぜひ教えて下さい。

イリア:
久し振りの名古屋、当時の懐かしい曲は勿論、2代目ジューシィ・フルーツの新曲もありますので是非楽しんでください。当時を知らない若い方にも聴いていただけると嬉しいです!
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イリア(ジューシィ・フルーツLIVE)


オカエリ ジューシィ・フルーツ
10月12日(月祝)
OPEN16:00 START17:00 前売り3000円 当日3500円 共に+1DRINK
愛知県 名古屋 今池 Tokuzo
出演:ぶどう÷グレープ/ジューシィ・フルーツ/サエキけんぞう
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オカエリ ジューシィ・フルーツ


11月29日(日) 
MELODIA Tokyo 
ジューシィ・フルーツ他3マンライヴ

12月3日(木) 
汐留BlueMood原めぐみコンサートにゲスト出演(イリアのみ)

12月23日(水祝) 
仙波清彦イベントに出演(イリアのみ)
六本木予定

2016年1月11日(月祝) 
ジューシィ・フルーツ ワンマンライヴ 
新中野弁天

詳細はジューシィ・フルーツ オフィシャルHPで!


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