ポケモン×Niantic×任天堂

ポケモンの図

親子でピカチュウ探してお散歩、なんて日も来るかもしれません

娘「お父さん、近くにポケモンいる!」 父「おっ…本当だ、あそこのお地蔵さんのところだ。でかしたな、ピカチュウだ!」 娘「私が捕まえてもいい?」 父「もちろん」 娘「よーし、えいっ!」 父・娘「やったぁ! ピカチュウゲットだぜ!」

なんて素敵な日が、やってくるかもしれません。2015年9月10日、株式会社ポケモンは、スマートフォン向けの新作タイトル「Pokémon GO」を発表しました。この作品、スマートフォンを使って、なんと現実世界に潜むポケモンを探し出して捕まえることができるという、聞いただけでワクワクが止まらないコンセプトのゲームのようです。

しかも、このタイトルは任天堂、そしてNianticがポケモンと協力して取り組む新規事業であることも発表されました。任天堂とポケモンの関係は説明するまでもありませんが、Nianticについては、もしかしたら初めて聞いたという方もいらっしゃるかもしれません。

まだ詳細が明かされていない、そのNianticが握っているのです。

Ingressを開発したNiantic

おでかけの図

Ingressは現実世界とゲームが融合していて、外にでかけるのが楽しくなるゲームアプリです

実は、Pokémon GOを開発するのは、株式会社ポケモンではないんですね。開発担当はNianticなんです。それどころか、どうやら発売元もNianticとなるようです。じゃあそのNianticってどんな会社なんでしょう。

Nianticは、元はNiantic Labsと呼ばれ、Googleのスマートフォン用ゲームアプリ「Ingress」を開発していたチームでした。Ingressと言えば、世界中で遊ばれている大ヒットゲームアプリで、スマートフォンを使って現実世界にある彫刻などのオブジェや、有名な建物などに設置されているポータルを取り合う、という陣地取りのゲームです。Ingressの特徴は、スマートフォンに表示されている情報を頼りに現実世界を歩き回ってポータルを探し、そしてまたスマートフォンを使ってポータルにアクセスするという、現実世界とスマートフォンのゲームを混在させた作りです。

世界中の人が2つあるチームのどちらかに所属し、そして世界中に設置されたポータルを探して歩き回り、陣地取りをしているのです。Googleらしい壮大なスケールのゲームですね。

そのIngressを作ったNiantic LabsがGoogleから独立、新会社Niantic, Inc.となり、そしてそのNianticが作るのが、Pokémon GOというわけです。Ingressで培われた技術、ノウハウを使って、今度は世界中の人がポケモン探しに夢中になれるゲームができるんじゃないか、そんな未来が容易に想像できますよね。

さて、Ingressが開発、そして発売まで担当するとなると、任天堂は何をするのでしょう?

任天堂は専用の新デバイスを担当

Pokemon GO Plusの図

安全に配慮しつつ、楽しいデバイスで、とてもいいですね

Ingressには1つ欠点というか、プレイヤーが注意しなければいけないことがありました。それは、交通事故です。ポータルを探す時に、スマートフォン上のマップなどを見て探すわけですが、つい夢中になって街中をスマートフォンを見ながら移動すると非常に危険です。もちろんこれは、Ingressに限らず、スマートフォンのナビゲーションアプリなどを使う時などでも同じことが言えるわけで、プレイヤー側が、スマートフォンを見ながら歩かない、移動しない、という当たり前の注意を払えばいいことではあります。

しかしPokémon GOでは、この問題を解決して、より安全に、快適に遊べるようになりそうです。その為の新デバイス「Pokémon GO Plus」を開発や製造を担当するのが、任天堂です。

Pokémon GO Plusはポケモンのゲームに登場するモンスターボールを平らにしたような外見をしていて、ベルトやクリップで腕や服につけて持ち運ぶことができる道具です。スマートフォンとBluetoothで連携、ポケモンが近くにいると、振動や光で教えてくれます。これを使うことで、スマートフォンを見続けなくてもポケモンを探すことができる、というわけです。しかも、中央にあるボタンを押すことで、ポケモンを捕まえるなどの基本操作を行うことができるようです。まるで本物のモンスターボールのようでこれもワクワクします。

また、Pokémon GO Plusはあくまでスマートフォンの画面を見続けなくても遊べるようにするコンパニオンデバイスであり、これが無くてもPokémon GOをプレイすることは可能です。

たくさんの人から少しずつ課金するモデル

iPhoneの図

やっぱりポケモンですから、子ども達にも配慮した課金の形が望まれます

Pokémon GOに関して、もう1つ気になることがありますよね? 課金についてです。Pokémon GOでは、基本プレイは無料で、アイテム課金有りのサービスを展開すると発表されてます。

基本無料のアイテム課金というと、真っ先に思い浮かぶのがガチャです。日本のモバイル端末向けアプリ市場では、ほとんどの人が無料で遊び、ごく一部の人がガチャと呼ばれるくじ引きの仕組みで多額の課金を行う、というモデルが非常に多く、そして成功しています。日本はこれにより、世界でも最大のスマートフォンゲーム市場を確立しています。

しかし一方で、これは世界的なスタンダードなのかというと、そうではないんですね。「Pokémon GO」では、日本型の課金を採用せず、多くの人が少額のお金を使う、広く薄い課金を考えている、とのことです。子ども達に人気のポケモンですから、人気の過熱による高額課金のトラブルにも、気を使った運営が望まれるところです。

そして多くの人から少額の課金を、という考え方は、亡くなった任天堂の元社長、故岩田 聡氏が任天堂のスマートフォン展開について語る時に言っていたことでもあります。

故岩田 聡氏の遺したもの

岩田氏の図

企画の端々に、岩田氏の意志が感じられます(イラスト 橋本モチチ)

Pokémon GOは、現実世界でポケモンを探す仕組み、Ingressを作ったNianticによる開発と発売、歩きスマホ対策をしつつ本物のモンスターボールのような楽しさがある「Pokémon GO Plus」、一部の人から高額の課金を狙うのではなく、広く薄く多くの人に課金をするスタイル、などなど、ゲーム業界的には非常に注目するべきところの多いタイトルです。

また、本編のポケモンを開発しているゲームフリークの増田 順一氏も参加、世界観の構築やゲームデザイン、音楽などについて関わっているということです。発表会では、増田氏から次回のポケモン完全新作との連動も考えている、との発言もあり、こちらの展開も見逃せません。

Pokémon GOは過去2年に渡り、任天堂の社長だった故岩田 聡氏が関わってきたプロジェクトであると明かされています。発表会では、岩田氏と一緒に発表したかったとの思いが告げられ、マリオの生みの親である宮本茂氏は、岩田氏の進めてきた「ゲーム人口の拡大」を現実のものにするゲームであると、語りました。

発表会で初公開されたPokémon GOのプロモーションムービーには、みんながポケモンを探して外に飛び出し、対戦や交換で交流している姿がありました。お父さんはスマートフォンで、そして娘は服にPokémon GO Plusをつけて一緒にポケモンを探す様子も。

世界中のゲーマーが、そしてこれまでゲームをしてこなかった人たちも、みんなが外に出て、友達や家族と、新しい形でゲームを通して楽しい時間を過ごせるようになったとすれば、天国の岩田氏もあのニッコリとした笑顔で微笑むかもしれませんね。

Pokémon GOは2016年リリース予定。ポケモン20周年の年、あなたのすぐそばにも、ピカチュウがやってくるかもしれません。

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