思いやりを育てる!大人が子供に教える「共感力」

思いやりを育てるために大人が子供に教えられること

お友達が泣いている! 周りの子供達はどう反応するでしょうか。

子供達が集まり鬼ごっこをしています。すると、一人の子が石につまずいて転んでしまいました。すりむいた膝を抱え、泣きべその子。周りの子供達は、どんな反応をするでしょうか。

転んだ様子がおかしかったと笑い出す子や、何事もなかったかのように遊び続ける子もいるかもしれません。思わず目をそらす子や、傷口にショックを受ける子、または咄嗟に走り寄り助けようとする子もいるでしょう。

「相手の気持ちを思いやる力」=「共感力」には、生まれ持った得手・不得手があるものです。それでも多くの研究が示すのは、共感力とは高めていくことができるということ。辛い思いをするお友達を前に、笑ってしまったり無関心だった子も、周りからの働きかけによって、やがて他者へと思いやりを向けられる大人へと成長していきます。
ではどんな働きかけが効果的なのでしょうか? まずは、「共感力」とは何かを見ていきましょう。
 

共感力とは何でしょう

共感力には、異なる要素が含まれます。

1. 相手の気持ちを感じ取る力
共感力と聞いて真っ先に思い浮かぶのが、この「相手の気持ちを感じ取る力」ではないでしょうか。14 か月の幼児でも、周りに困っている人がいると、助けようとするという研究もあります。悲しい顔をしていたら、よちよち歩きの子が頭をなでてくれたといった経験はありませんか? 共感力とは、程度の差こそあれ、ヒトの内に深く根差した性質であると考えられています。

2. 相手と自分とは異なる感情を持つという認識
小さな子ほど、「私が嬉しいなら○○ちゃんも嬉しいはず」、「僕はかけっこがしたいから○○君もしたいに違いない」と、自分と相手の気持ちを混ぜこぜに捉えがちです。それでも共感力の発達には、自分と相手とは異なる気持ちを持つと認識することが大切。発達心理学では、2歳頃から徐々に「他者と自分との境界」が育まれるとされています。

3. 様々な感情に対応するスキル
共感力には、次から次へと湧き上がる様々な感情へ向き合う術も不可欠です。特に悲しみ、不安、怒りといった「ネガティブな感情」への対応は、大人でさえ難しいもの。冒頭の転んで泣くお友達を前にした子供達も、相手の気持ちが理解できないわけではなく、実はネガティブな感情へどう向き合ったらいいのかとまどい、思わず笑ってごまかしたり、知らないふりをしたのかもしれません。

もし、「この子もう少しお友達に思いやりを持てないかしら」と思われるようでしたら、まずは子供さんの様子を観察してみてください。相手の気持ちが理解できないのでしょうか、自分と相手の気持ちの区別がまだよく分かっていないのでしょうか、それともネガティブな感情に向き合うのが難しいのでしょうか?  

自分とは異なる相手の気持ちを感じ取るために

・様々な場面で他者の気持ちを想像してみましょう
他者の目から見たら世界はどう見えるでしょう? 「転んでしまった○○ちゃん、どんな気持ちだったかな」「お友達におもちゃを取られた○○君、どう思ってるだろう」「あんな風に空を飛べたらどう感じるかな」といったように、周りの人々や、テレビや本の登場人物などが、どんな気持ちかを話し合ってみましょう。またお友達を泣かしてしまった場合なども、「ごめんなさいは?!」とすぐに謝らせておしまいではなく、「あなたがお友達だったらどう思ったかな?」と相手の気持ちを想像させてみましょう。

・ごっこ遊び
赤ちゃんの世話をするお母さんや教壇に立つ学校の先生、またコスチュームをまとい消防士やコックさんや宇宙飛行士などになりきる「ごっこ遊び」は、異なる立場にある人々の気持ちを理解することを助けます。

・他者に自分や身近な人々との共通点を見出す
科学的にも、自分と似ていると感じる他人に対するほど、共感しやすいと分かっています。「○○君には2つ違いのお姉ちゃんがいるんだね」、「○○ちゃんも動物が大好きなのね」など、周りの人々との共通点を見つけてみましょう。様々な角度から眺めてみると、一見全く異なって見える他人にも、何かしら共通する面があります。

・「オキシトシン」レベルを上げる
「愛のホルモン」ともされるオキシトシンのレベルが高いと、他者の感情を読み取る力が向上するとされています。オキシトシンとは、スキンシップや心地良い社会的な交わりなどでも分泌されます。抱きしめたり手をつないだりと子供を温もりで包んでやりましょう。
 

様々な感情に対応する力をつけるために

大人自身が子供に対して共感力を示すことで、安心感を育んでやりましょう。

大人自身が子供に対して共感力を示すことで、安心感を育んでやりましょう。

・安心感を培う
赤ちゃん時代から、世話をする人々との間に健やかな絆を築くことが、共感力の発達を助けます。お腹がすいたオムツが濡れたといった不快な気持ちを読み取ってもらい、情緒的にも身体的にも頼ることができる人がいるといった安心感が培われることで、子供はより共感力を発揮することができます。

・感情を出させる
ネガティブな感情をすぐに取り去ろうとするのではなく、自身で体験する時間を与えてやりましょう。感情を抑えられた子は、多様な感情へ向き合うことが難しい場合があると言われます。泣きじゃくる子を前に、「泣かないの!」と叫ぶより、痛かったね悲しいね、そう声をかけながら抱っこし背中をさすってやることで、案外しばらくするとけろりとして遊び始めることもあるものです。

・感情を言葉で表現させる
悲しみや嬉しさだけでなく、不安や興奮、フラストレーションや残念な気持ちなど、様々な感情を言葉にするのを励ましてやりましょう。地団太を踏む子に、「思うようにブロックが組み立てられなくてイライラしてるのね」などと言葉をかけ、もやもやと渦巻く感情を一つ一つ言葉にすることは、感情を整えるための助けとなります。また単に「だめ!」という代わりに、「あなたがそこから飛び降りてケガをしたら悲しいわ」とママの気持ちを表してみるのもいいでしょう。

昨今、神経科学者や心理学者や教育者の間でも、子供に早い内から共感力を培うことが、「いじめ」を減らすことに繋がるという声が高まりつつあります。また高い共感力を持つ人々は社会性に優れ、学業や仕事面でも成果を発揮しやすいとも言われます。IQと共にEQが重視されるようになってから20年近くたちました。EQの要でもある「共感力」、親子で培っていきたいですね。

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※乳幼児の発育には個人差があります。記事内容は全ての乳幼児への有効性を保証するものではありません。気になる徴候が見られる場合は、自己判断せず、必ず医療機関に相談してください。