アロマテラピー

防災グッズに備えたいアロマオイル3本……薬理効果と活用法

今回は防災グッズとして備えておくと様々な場面で役立つであろうアロマオイル(精油)を3本ご紹介します。1本で様々な薬理効果が期待できるアロマオイル(精油)は、3本でOK! 非常時だからこそ役立つ、香りの癒し効果もおすすめの理由です。

橋本 裕子

執筆者:橋本 裕子

アロマテラピーガイド

<目次>

防災用としてアロマオイル(精油)の薬理効果に注目!

防災グッズに備えたいアロマオイル

防災袋の中身チェックしていますか?

東日本大震災以来、防災意識も高まり、関東地方においては首都直下型地震に備えて防災袋を準備している家庭も多いと思います。防災袋は、各ご家庭で必要な物も微妙に違うもの。1年に1回は中身を見直して災害時に役立つものを考え準備したいものです。

東日本大震災がきっかけとなり、防災や病気の予防について、より考えるようになったことは、ガイドにとってアロマオイル(精油)の薬理効果を再認識するきっかけにもなりました。非常時に薬や物資が不足するところで、たった1滴0.05cc で様々な活用が期待できるアロマオイルの活躍は大きいと感じています。

ただし残念なことに、アロマオイル(精油)にそこまでの薬理効果と活用法があることはあまり知られていないので「防災袋にアロマオイル(精油)」という考えが浮かぶ人は少ないのではないでしょうか? そこで今回は、防災時に活躍が期待できるアロマオイル(精油)を3本だけピックアップしました。今回は、これらが防災袋の備えとして役立つ理由とその活用法を紹介したいと思います。

心のケアだけでない、アロマオイル(精油)が持つ本来の薬理効果を知って頂けたら幸いです。
 

防災袋で準備したい5つの理由

日頃からアロマテラピーでのホームケアに触れていると覚悟家庭の防災に役立つアロマオイル(精油)やケア方法が増えると思います。

日頃からアロマテラピーでのホームケアに触れていると覚悟家庭の防災に役立つアロマオイル(精油)やケア方法が増えると思います。

アロマオイル(精油)が防災袋の備えに適していると考える大きな理由は下記です。

(1)アロマオイル(精油)は、薬理効果があり1本で色々な用途を持っている
(2)少ない使用量でOKである
(3)1瓶5ml~10mlサイズは100滴~200滴分。小さい瓶1本で多様に使用が期待できる
(4)軽くて持ち運びしやすい
(5)アロマオイル(精油)には、デオドラント効果が期待できる
(6)3本全て使用期限が開封後1年間もある

 ※開封前の使用期限を必ず確認してください。その期間内であれば、開封してから1年間の使用期限です。

そもそもアロマオイル(精油)は、植物の体の分泌細胞内に0.1~3%程度含まれているエッセンスを抽出したもの。植物全体の体内での含有量を目安にして使用するという観点から、人間の体で働かせる場合、多くても3%濃度くらいまでに希釈をして使用するという考え方があります。

よってアロマトリートメントをする場合、小さじ1杯のホホバオイルなどの植物油に1~3滴のアロマオイル(1%~3%濃度)でOKだという計算です。目安として小さじ1杯5ccの植物油で、フェイシャルトリートメントができます。アロマオイル(精油)が少量の使用量で体に働く物質であるということがイメージしていただけると思います。

アロマオイル(精油)はその種類によっては、希釈をせずに直接肌に塗布できるものもあります。災害時はホホバオイルなどの植物油は備えられない場合もあるでしょう。この3本は、そういう非常時でも原液で使用可能できます。

※使用には個人差がありますので、アレルギーや敏感肌の方はパッチテストで事前に使用可能かどうかをチェックしていただく事をおすすめします。
※希釈の濃度はサロン、セラピストの判断によって3%濃度までの範囲でアレンジされていることがほとんどなので、気になる方はご担当のセラピストさんへ相談下さい。

「香りがある」ことは「迷惑になる」という考えもありますが、アロマオイル(精油)の場合は人工香料とは少し温度が違うと考えています。アロマオイル(精油)の香りは、植物が生命活動により生み出した天然の化学物質による香りなので、人工香料と分子構造が異なります。

人間の嗅覚は天然の分子構造と人工香料の分子構造を無意識に嗅ぎ分ける力を持っているので、非常時こそアロマオイル(精油)の香りが心の癒しとなる場合があるのは自然の恵みだと考えています。

避難所などでは多数の人が集まることによる「臭い」のトラブルも多いそうです。特にデオドラント効果を謳っていなくても、アロマオイル(精油)は、植物の自然の力で悪臭の元となる芳香分子を包み込み悪臭をOFFしてくれる効果が期待できるものが多いからです。

香りによって、気分が癒され前向きに明るくなれるということも防災袋に備えるにはとても役に立つのではないかと考えます。
 

この3本を揃えよう! 「ラベンダー・ティートリー・ペパーミント」

左の小さい瓶が5mlサイズ、背の高い瓶が10mlサイズ。3本でも身軽に備えられます。

左の小さい瓶が5mlサイズ、背の高い瓶が10mlサイズ。3本でも身軽に備えられます。

ガイドおすすめのアロマオイル(精油)は、「ラベンダー・ティートリー・ペパーミント」この3本です。これらのアロマオイル(精油)は、3種の神器と言っても過言ではないと思っています。それぞれの薬理効果については、リンクを貼っていますので、そちらを参考にしてください。

薬理効果を期待する場合に選ぶアロマオイル(精油)は、必ずアロマテラピー用の規定に沿ったアロマオイル(精油)を使用してください。必ず、学名、原産国、抽出部位などが記載されています。最近は成分分析表やロットナンバーで管理されているものも多く、全てオーガニックの植物から抽出されたものがアロマテラピー用です。しっかりとしたアロマオイル(精油)は、メーカーごとに抽出方法や原材料の植物の摘み取り時期など、こだわりがあります。香りを嗅いでみると、自分に合ったものが見つかると思いますので、お好きなメーカーを勉強しておくのも良いでしょう。

■ラベンダー
防災に役立つキーワードは下記です。
皮膚やリラックス、デオドラントと1本で万能に働いてくれる奥深い植物です。

皮膚やリラックス、デオドラントと1本で万能に働いてくれる奥深い植物です。

・「皮膚」
・「デオドラント」
・「リラックス」
・「痛み」


「皮膚」
ラベンダーは、「やけどのケア」がきっかけで薬理効果が知られたアロマオイル(精油)です。それだけに、皮膚にまつわるケアは多く記録されています。赤ちゃんや老人にもアレルギーなどの懸念が無ければ、直接塗布しても大丈夫だと言われているアロマオイル(精油)なので、災害時にも役立つと思います。

やけどには直接患部へ塗布して使う方法が書籍でも紹介されています。患部を冷やしてラベンダーを直接塗布してケアします。ラベンダーは、赤みのある皮膚トラブルや虫刺されにも直接塗布することが可能だと言われています。

ガイドは虫刺されにおいては、刺されて直ぐにサッと塗布するように心がけています。自ら使用している感想として、解毒が早く、酷い痒みに至らないように感じます。細胞成長促進作用といって、皮膚の生まれ変わりのサイクルに働きかける効果にも優れているので、「まめ」などで皮がずる剥けてしまったところに塗布をすると、新しい皮の張りが早く傷の鎮静にも役立つのでこちらも良い助けになると感じます。

「デオドラント」
多くのアロマオイル(精油)の中でも優れたデオドラント効果を持っています。悪臭の元となる芳香分子を包んでOFFする効果が高いので、香りの上塗りにならずトイレに持ち歩いたり、お風呂に入れない場合にも体臭予防としても役に立ちます。人がたくさん集まる場所には「臭い」がつきものです。「悪臭の分子を包む物」という使い方ができることは避難所や災害時に身を寄せた場所の空気をキレイに感じさせてくれるアイテムになるのではないかと考えます。

香りは好き嫌いがあるので、迷惑にならないことも大切ですが、ほんのり香るラベンダーのアロマオイル(精油)の香りは、大人数の中で使用しても「良い香り」と言わなくても「邪魔になる香り」になることは不思議と少ないと思います。

「リラックス」
ラベンダーと言えば「リラックス」が代名詞と言っても過言ではありません。香りの好き嫌いにかかわらず、ラベンダーの成分には、自律神経の交感神経に親和する成分が含まれています。それによって、物質的に薬理効果として交感神経を鎮静させてリラックスをもたらす効果がうたわれています。

自律神経の交感神経は「興奮」や「ストレス」を感じたときに優位に働く自律神経です。非常時はこれが常に優位に働いてしまい、不眠などの体調不良を引き起こす原因にもなっていると言われています。実際に東日本大震災では、ボランティアでのアロママッサージが避難所での不眠や緊張で体調を崩された方のケアにとても役に立ったと言われています。植物油が無くても、1滴を手に取って胸やこめかみ、背中など、落ち着く場所に擦りこむだけでも交感神経を落ち着かせるのに役立つと思います。

「痛み」
ラベンダーには鎮痛作用があります。頭痛、腹痛、ねん挫、肩こりなど体の様々な痛みにやわらかく働いてくれる効果が期待できます。ゆっくりと働きかけるので、即効性の痛み止めのイメージではありません。洗面器と水とタオルがあればアロマオイル(精油)で湿布を作ることが出来るので、湿布薬が無くても簡易の湿布のケアが可能です。

■ティートリー
防災に役立つキーワードは下記です。
日本ではあまり見かける機会がないティートリー。原産国オーストラリアの原住民はこの植物の素晴らしい効果を活用し様々な養生に役立てていました。スーッとした香りは呼吸器の不快も助けます。

日本ではあまり見かける機会がないティートリー。原産国オーストラリアの原住民はこの植物の素晴らしい効果を活用し様々な養生に役立てていました。スーッとした香りは呼吸器の不快も助けます。

・「ばい菌予防」
・「免疫力向上」


「ばい菌予防」
無人島に1本だけアロマオイル(精油)を持って行くとしたらガイドはこれを選ぶと言っても過言ではない1本です。いわゆる「ばい菌」と呼ばれ、病気などの原因になる3代要素と言われる「細菌、ウィルス、真菌(カビ)」をやっつける力に優れたアロマオイル(精油)です。1本で全部に効果が高いと言われているところがポイントです。

このアロマオイル(精油)も、場合によっては皮膚に直接塗布することもできると言われていて、幼児から老人まで使用可能だと謳われています。少し皮膚刺激がありますが、赤ちゃんへの使用もOKだと言われています。災害時には感染症が避難所で流行すると聞きます。ケースバイケースですが、非常時の際はマスクやハンカチ、タオルなどに3滴くらいを垂らして定期的に香りを嗅ぐか、または、体に擦りこむことで気持ちが前向きになり元気が湧く効果も期待できます。

「免疫力向上」
ティートリーは免疫機能向上が期待できるアロマオイル(精油)と言われています。免疫力は免疫細胞が関係しています。各種免疫細胞が、バランスよく適した数存在できるような体作りが大切です。ティートリーはその免疫細胞をバランスよく増やしてくれるという効果が期待できると言われていることから、災害時、様々なストレスで体力が落ち、免疫機能が低下して病気になりがちな体のサポートとして期待できます。病原になる原因となる3大要素をやっつける働きと共に、免疫力を向上させてくれる効果が期待できる点が一石二鳥、三鳥の役目を持っているところが魅力です。

そんな観点から、非常時に一本だけ持ち出すならばガイドはコレを選びます。災害時は、桶や洗面器などに1滴~3滴垂らして布類を洗い、近辺の拭き掃除や身の回りを清潔に保つことにも役立つと考えます。

■ペパーミント
防災に役立つキーワードは下記です。
ペパーミントは胃腸に役立つ抗菌力に優れたハーブです。

ペパーミントは胃腸に役立つ抗菌力に優れたハーブです。

・「胃腸のトラブル」
・「痛み止め」
・「冷やす」


「胃腸のトラブル」
先ほどのティートリーは「病気の3大要素をやっつける」と述べましたが、植物の特徴上、「胃腸のトラブルにまつわるばい菌」に関してはペパーミントをおすすめしています。アロマテラピーは植物療法。同じ抗菌効果でも、その植物自体が親和する体の部位を知ることが大切です。ペパーミントやレモンは台所の殺菌ハーブとも言われますが、食べられる植物のアロマオイル(精油)ですから、胃腸のトラブルにはティートリーよりもペパーミントです。

避難所などでは衛生面で問題が出てくることから、この「胃腸のトラブル」も問題の1つなのだそうです。胃腸のトラブルを引き起こす細菌やウィルスを少しでも減らして清潔を保つことは災害時にとても大切になります。ティートリーと同じく、桶や洗面器に1~3滴垂らして布類を洗い、近辺の拭き掃除や身の回りを清潔に保つことに役立つと考えます。

「痛み止め」
市販の湿布薬を思いだしてください。湿布薬の独特なスーッとした感じは「メントール」という成分。ペパーミントにはこのメントールが含まれているので、スーッとした感覚で痛みのある場所に役立ちます。

この場合注意して頂きたいのが「皮膚刺激」。ペパーミントは原液でそのまま塗布すると、スーッとした感覚を通り越して「痛い」くらいスーッとします。痛みが強い場合は、そういう使い方も特例としてありますが、大体の痛みには強すぎるので、植物油を一緒に用意できるのであればホホバオイルなど使用期限が1年のホホバ油など植物油も防災袋に用意して「小さじ1(5ml)に1滴1%濃度」目安に痛みのある場所へ擦りこんで使います。※ホホバ油は使用期限が1年なので防災袋におすすめの植物油です。

植物油が無い場合は、桶や洗面器に1~3滴垂らして、水面に浮いて膜を張っているペパーミントのアロマオイル(精油)を布の表面に含ませ、その面を患部へ当てます。災害時に氷やお湯などはなかなか準備できないこともあると思いますが、布類(タオル、ハンカチなど)を濡らして布の表面に精油を垂らし揉み込んで、アロマオイル(精油)を含んだ面を患部に当てれば簡易湿布が出来上がるという点をご理解頂ければケースバイケースで対応して頂ければお役にたてると思います。

「冷やす」
「痛み止め」に続き、この湿布をすることで「冷やすこと」に役立ちます。ペパーミントは「冷やす効果」を持つアロマオイル(精油)なので、発熱時は同様のアロマ湿布で「冷やす効果」が期待できます。冷たくできる環境があればOKですが、追加でペパーミントが使えるのであれば、解熱剤など薬が無い時の応急処置には役立つと思われます。怪我をして冷やす場合は、ペパーミントを1滴、ラベンダーを2滴合計3滴で湿布をすれば「冷やして炎症を鎮静させる効果」を期待したアロマ湿布になるというアレンジになります。
 

おわりに

各ご家庭の救急箱の備えにもこの3本はおすすめです。

各ご家庭の救急箱の備えにもこの3本はおすすめです。

今回はアロマオイル(精油)の薬理効果に着目し、災害時にどうしようすれば役立つのか? という観点で書かせて頂きました。日常生活でアロマテラピーについて知らない方が災害時にどのように使えばいいのか? というのはとても難しい問題だと思います。

体調に合わせてお茶を飲んだり薬草を食べたりするのと同じで、アロマオイル(精油)も植物の恵みなので、ポイントを抑えて使って頂ければ日常生活にとても役立つものだと確信しています。

食べ物でも、食べ合わせや体調によって控えるべきものがあるのと同じで、アロマオイル(精油)も植物によって注意点があるものと無い物があるということを踏まえて頂ければ、人それぞれに合ったアロマオイル(精油)が見つかるはずです。

東日本大震災の時、様々な情報を踏まえ薬品物資が足りなくなること、衛生面での感染症や心の問題を知りました。薬が届くまで、何もできないけれどアロマオイル(精油)を防災袋に備えていたことで出来ることを知っておいて頂けるだけでも、私自身が、応急処置や自己管理で活用しているアロマケアを活用していただくことがお役にたつこともあれば幸いだと考え、思い切って記事にいたしました。

アロマテラピーは自然療法ではありますが、日本の法律の下では自己判断で行うものです。アロマオイル(精油)の薬理効果については、学術上触れられている知識に基づき、ガイド自身が日々触れている中で感じていることを書いています。アロマオイル(精油)は、漢方薬のように使用してみないと個々の体に合っているかどうか感じられない部分もありますので、ご不明な点は明確にして使用してください。個々の体調で懸念される点がある場合は、主治医や身近な専門家(アロマセラピストなど)にご相談頂いて、安全に使用して頂くことをおすすめ致します。

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※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。
※個人の体質、また、誤った方法による実践に起因して肌荒れや不調を引き起こす場合があります。実践の際には、必ず自身の体質及び健康状態を十分に考慮し、正しい方法で行ってください。また、全ての方への有効性を保証するものではありません。

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