教育費の負担が大きく貯蓄ができない。老後資金は足りる?

年収が高くてもなかなか貯蓄が増えない悩み

年収が高くてもなかなか貯蓄が増えない悩み

皆さんから寄せられた家計の悩みにお答えする、その名も「マネープランクリニック」。今回の相談者は夫が海外に単身赴任中で、2人の子育てに奮闘する主婦の方。ファイナンシャル・プランナーの深野康彦さんが担当します。
※マネープランクリニックに相談したい方はコチラのリンクからご応募ください。(相談は無料になります)

■相談者
ポチ袋さん
女性/専業主婦/45歳
持ち家一戸建て

■家族構成
夫(46歳/会社員※単身赴任中)、長女(18歳/大学1年)、長男(15歳/高校1年)

■相談内容
老後資金が心配です。夫は海外現地法人で単身赴任中のため、支出は夫の現地での生活費を全て抜いたものです。現在高血圧の治療中である以外は健康ですが、食文化の違いもあり、健康面の不安を払しょくできないため、あと10年で退職し、日本へ戻る予定です。退職金は1600万円の予定。日本へ帰国し転職後の年収は手取りで500万円くらいに下がると想定しています。現在、負担が大きいのが教育費です。長女は私大6年制(薬学部)へ通っており、長男は私大文系志望です。なお、私は家庭の事情から働くことができません。家のローンは完済しました。

■家計収支データ
「ポチ袋」さんの家計収支データ

「ポチ袋」さんの家計収支データ



■家計収支データ補足
(1)保険料の内訳
・夫/収入保障保険(保険期間66歳まで、払込期間60歳まで、基本年金月額20万円)=保険料1万1420円
・夫/医療保険(終身タイプ、入院1万5000円/60歳以降半額)=保険料6470円
・夫/変額終身保険(60歳払込、死亡保障(基本保険金)300万円)=保険料4404円
・長男/学資保険(18歳満期、満期金150万円)=保険料払い済み
・長女/団体総合生活保険(死亡300万円)=保険料払い済み
・妻/終身(死亡保障800万円)=保険料払い済み

(2)教育費の内訳
年間487万5000円/月割りで40万6000円。
以下内訳。
・長女の学費=年284万円(入学金・大学授業料など269万円、教科書・参考書・保護者会費など15万円)
・長男の学費=年140万円(授業料など75万円、教科書など5万円、塾・個別指導・夏期講習など60万円)
・その他=交通費年間36万円(長女定期代が年間19万円、長男17万円)、部活費年間20万円(長女15万円、長男5万円)、習い事6250円(長男水泳)

(3)雑費の内訳
年間106万7000円/月割りで8万9000円
以下内訳。
・長女被服費=年間17万円
・プリンターのインク代=年間1万4000円
・ペット代=年間12万円(えさ代、トリミング、病院など)
・コンタクトレンズ=年間15万6000円(長女3ヵ月分1万7000円、長男3ヵ月分2万2000円)
・美容院代=年間17万4000円(隔月で妻1万2000円、長女1万4000円、長男3000円)
・クレジットカード年会費=年間7万3000円
・冠婚葬祭=年間10万円
・その他=年間36万円(中元・お歳暮、お年賀、家電補修・買い替え、家の補修など)

(4)趣味娯楽費の内訳
年間20万円/月割りで1万7000円
・旅行費=年間15万円(家族旅行)
・写真撮影=年間5万円(写真館で毎年記念撮影)

(5)医療費について
夫も含めた年間医療費=28万円/月割で2万3500円
夫は日本に住民票がなく国内の健康保険に入れないため、国内で受診する場合は全額自費。単身赴任先の国の医療事情が信頼できないため、緊急でない治療は、一時帰国時に全て日本で行っている。長女は皮膚科へ長期継続して受診中。他妻の人間ドック料金も含む。

(6)妻が専業主婦の理由
長男が帰国子女のため、国内の同学年の学生より基礎学力が足りないため、帰宅後と週末には妻がつきっきりで勉強を教えている。

(7)年金の加入
夫は厚生年金に10年弱加入し、その後は出国後も任意加入できる国民年金(基金も)に加入しているのみ。夫婦ともに未加入時期はない。

■FP深野康彦からの3つのアドバイス
アドバイス1 教育費は貯蓄を取り崩すことなく負担できる
アドバイス2 家計に余裕が生まれたときこそ注意が必要
アドバイス3 じっくり家計管理ができるのが専業主婦のメリット
 

アドバイス1 教育費は貯蓄を取り崩すことなく負担できる

ご相談の老後資金を考える前に、まずは今後のキャッシュフローを確認しておきましょう。まず、支出が月割りにして89万8000円ときわめて大きいですが、そのうち教育費(通学の交通費や部活動費を含む)が月40万6000円。長女の方が薬学部で卒業まで6年間かかりますが、来年以降は入学金の支払いがない分、年間で30万~60万程度は下がります。一方、長男の方は、3年後に大学入学が控えています。まだ進路は不明ですが、現時点で年間140万円かかっていますので、おそらく今の額を超えることはないでしょう。したがって今後6年間くらいが教育費のピークと考えられます。

幸い、ご主人は今の職場にあと10年は勤務するとのことですから、収入さえ今の水準をキープできれば教育資金は足りることになります。そして、そのピークさえ乗り切れば、家計支出はグッと減ります。お子さん2人が卒業し、教育費がなくなればそれだけで月に40万円は支出が下がります。結果、ご主人が今の勤務先を退職する最後の3年間は、年間500万円近く貯蓄ができることになります。

その後、転職した場合、収入が500万円程度に下がるとのことですが、単身赴任先の生活費13万円がなくなりますから、夫婦(もしくは娘さん)との生活費は30万円台半ばには抑えられるでしょう。したがって、転職後も年間60万~80万円くらいは貯蓄できることになります。
 

アドバイス2 家計に余裕が生まれたときこそ注意が必要

では、老後資金を考えてみましょう。

先に定年までのキャッシュフローを確認しましたが、そのとおりになれば、ご主人60歳のときに6000万円程度(最初の勤務先の退職金1600万円含む)の貯蓄ができていることになります。

ここでポイントとなるのは、これはあくまで、現状の支出を維持する、つまり家計に余裕があるからと新たな支出が増えないという前提での試算です。これまで教育費などお子さんに大きく支出してきましたが、それがなくなり家計に余裕ができると、その分、支出が増えてしまうというパターンはよくあること。もちろん、何から何まで切り詰める必要はありませんが、老後まで時間がそうないだけに、無駄使いはしないという意識は不可欠でしょう。

もうひとつのポイントは、老後の生活費をどれだけ抑えられるか。先に6000万円の自己資金ができると試算しましたが、ご主人が85歳となる25年間を老後とすれば毎月20万円。対して生活費が30万円なら10万円の公的年金で足りますが、生活費が35万円なら15万円の年金が必要になります。

公的年金がどのくらい受給できるかがまだわかりませんが、現時点でご主人の厚生年金加入期間は10年。できれば、転職先では厚生年金に加入し、年金の上積みを上積みをしたいところです。
 

アドバイス3 じっくり家計管理ができるのが専業主婦のメリット

もうひとつ、効果的な老後対策があります。できる限り長く働くということです。ご主人も可能なら65歳まで働くことをお勧めします。

奥様については、帰国子女である長男の方の勉強を教える必要があり、現時点では働けないとのこと。であれば、その間は専業主婦であるメリットを活かして、家計管理をしっかり行ってください。

家計簿を付け、自分なりに節約を意識して、1万円でも2万円でも多く貯蓄に回していく。それだけでも、家計に十分貢献できます。教育費以外にも何かとかかるとは言え、大きなローンもなく、世帯収入は1000万円を超えているのですから、家計もまだ見直す余地はあるはず。

また、貯蓄も単に預けるのではなく、預金金利を意識してみましょう。現在、普通預金に2200万円を預けていますが、利息はおそらく0.02%。それを、金利0.4%の定期預金に預ければ、1年後に手にする利息は、普通預金の20倍となる約7万円(税引後)。低金利とは言え、10年続ければ70万円にもなります。手間は多少かかりますが、ネットでこまめにチェックすれば、高い金利の貯蓄商品がいろいろ探せるはずです。

ただし、投資はまだ控えてください。現状を考えると不確定要素(ご主人の仕事、お子さんの教育費)がまだ多く、大事な預金に対してリスクは取れません。
 

「ポチ袋」さんから寄せられた感想

深野先生、ご助言ありがとうございました。退職まであと10年、これまで通り主人が仕事を続けられるように支えようと思います。教育費が非常に膨らんでしまい、私が就労できないことも加わって、老後を思うと漠然とした不安が常に付きまとっていた状態でしたが、アドバイスを伺って、今できる事、気を付けるべき事が明確になり、すっきりしました。お金を掛けるところと節約するところのメリハリをどうつけていくか、もう一度、家計を見つめ直してみます。

教えてくれたのは……

深野 康彦さん
 
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業界歴26年目のベテランFPの1人。さまざまなメディアを通じて、家計管理の方法や投資の啓蒙などお金周り全般に関する情報を発信しています。All About貯蓄・投資信託ガイドとしても活躍中。

取材・文/清水京武 イラスト/モリナガ・ヨウ




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