「グリーンシフト」を加速する必要性

2012年は「スマートハウス元年」ともいわれ、太陽光発電・HEMS・蓄電池の3点セットが、先進的な住宅に搭載されるようになった年でした。この当時は「創エネ」と「省エネ」で光熱費を削減できるという経済性に重点が置かれていた面があるかもしれません。東日本大震災が起きて間もない時期だけに、「蓄エネ」は、非常時のバックアップ電源としてクローズアップされました。

同じ頃、2012年10月に開催された「朝日地球環境フォーラム」で、経済同友会の長島徹副代表幹事/環境・エネルギー委員会委員長は、産業界の課題として「『創エネ・蓄エネ・省エネ・熱エネ』の技術革新でグリーンシフトの加速が必要」とのスピーチを行いました。

ここに登場した「グリーンシフト」という言葉は、「クリーンエネルギーの使用を最大化する」あるいは「再生可能エネルギーの比率を高める」ことによって、電力システムを「(電力会社による)集中・独占型」から「(消費地における)自由・分散型」へ移行するという視点から使われています。

電源構成(エネルギーミックス)もグリーンシフト?

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地球温暖化や世界的なエネルギー需要の増大が懸念されるなかで、日本が国際貢献を果たしながらエネルギー自給率の向上と経済成長を両立させるには「グリーンシフト」が欠かせないという指摘です。

この7月に「第4次エネルギー基本計画」に基づく長期エネルギー需給見通しが決まりました。その中に示された「2030年度の電源構成(エネルギーミックス)」でも、再生可能エネルギーの比重が高まっています(図1参照)。

クリーンな自然エネルギーで自給自足できる家

こうした流れの中で、住宅にも「グリーンシフト」の必要性が指摘されるようになっています。「住宅のグリーンシフト」を噛み砕いて言うと「クリーンな自然エネルギーによる自給自足のライフスタイルを志向すること」といった意味合いになるでしょう。

具体的には、太陽光発電でつくった電気を家庭内で使い、余った電気を売らずに蓄電池に貯めて夜間に使うことによって、昼も夜も自然エネルギー中心に暮らせる、環境共生型の住まい方のことです。太陽光による発電容量と蓄電量が十分に多ければ、火力や原子力などの電気を電力会社から買う必要はありません。電気の供給と消費を自宅の中だけで完結できます。

「エネルギー自給自足」といえば、エネルギー収支が実質的にゼロになる「ZEH(ゼロエネルギーハウス)」が思い浮かぶでしょう。ただ、エネルギー収支がゼロという点では同じですが、グリーンシフトには蓄電システムが不可欠なのに対して、ZEHは蓄電池がなくても実現できます。

というのも、ZEHは、創エネで余った電気を売り、電力会社から電気を買うことでも成立するのです。化石燃料由来の電気を買って消費した分と、再生可能エネルギーの太陽光発電で創出した売電分を相殺して差し引きゼロになれば、全体としては環境負荷が増えないという考え方に基づいているからです。

グリーンシフトは、エネルギー収支がゼロになるのはもちろん、買電に頼らずに自立できるライフスタイルを目指すことができます。

なぜ、こうした考え方がクローズアップされているのでしょうか。

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