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モラハラ、DV、レイプ…男女間の性的理解どう深める?

「恋人なら性的欲求に応えるべき」と、中高大学生の男子半数が思っているらしい。大学生では6割を越える。これが即、モラハラにつながるわけではないが、そういう考えをもっている男子に、若い女性たちはきちんと「ノー」と言えるのだろうか。大人の女が「ノー」と言うことで、若い男女の意識を変えていけるのではないだろうか。

亀山 早苗

執筆者:亀山 早苗

恋愛ガイド

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恋人の性的な欲求には「応えるべき」なのか?

強要されるのは愛情ではなく、暴力だ。

強要されるのは愛情ではなく、暴力だ。

恋人間の暴力「デートDV」の予防教育に取り組むNPO法人「SEAN(シーン)」がまとめたアンケート結果が話題になっている。
これは中高大学生を対象としたものなのだが、その中で「恋人なら自分を優先させるよう相手に強制するのも愛情だと思うか?」という問いに対して、男女とも9割弱が「あまり思わない」「まったく思わない」と答えている。

それに対して、「恋人なら相手からのキスなど性的な欲求に応えるべきか」の問いには、男子の49パーセントが「大変思う」「やや思う」と回答。大学生では61パーセントにのぼった。女子で「思う」と答えたのは、全体で34パーセント。

男の性欲は我慢できないものであるとか、性に対しては男がリードして女が従うものとか、「好きなら性的な関係があって当然」とか、そういう「刷り込み」が彼らにはあるのかもしれない。若さゆえに、「こうすべき」と思いがちでもある。

性を強要される女たち

彼らがこういう感覚をもつに至ったのは、その上の世代がそうだからだ。実際、現在の40~50代は、若い頃、「いつまでもセックスに応じないと彼に嫌われる」「男は性欲を我慢できないもの」「男は浮気をするもの」「セックスで積極的になると、男に引かれる」などのイメージを植えつけられた。それが一般的な考え方だと思っていたのだろう。

「夫婦だから仕方ない…」と胸に仕舞い込む女性たち。

「夫婦だから仕方ない…」と胸に仕舞い込む女性たち。

そのために苦しい思いをしてきた女性たちも少なくない。たとえば、心が通い合わない夫とのセックスを強要されたミキコさん(50歳=仮名)。
「27歳で大学の同級生を結婚したんです。同級生だったし、つきあっているときは友だちムードだったのに、結婚したとたん、『夫と妻』になり、夫の言うことを聞かなければいけない立場になった。彼もそう思っていただろうし、私自身もそれが『普通の夫婦のありよう』だと感じていたんですよね。特に性に関しては女性が出しゃばってはいけないように思っていた」

ところが、夫婦はいつでも仲良く理解し合おうと努力しているわけではない。
子どもが生まれ、ミキコさんが赤ちゃんにかかりっきりになると、夫はときどき機嫌を損ねた。

「同じ親なのに、一緒に育てようとする気持ちがほとんどない。子どもに関しては、夫はいつでも『補助的役割』に徹する。私はそれが不満だったし、夫は私が妻ではなくて母親になっているのがイヤだったみたい。それでだんだんうまくいかなくなっていって……。さらにあるとき、酔って帰った夫が、子どもを寝かしつけている私に、セックスを無理強いしたんです。抵抗したけど、子どもが泣き始めて。泣く子を抱きしめながら、夫を後ろから受け入れた。私は性の道具なんだろうかって、本当にせつなかったです」

これは夫婦間とはいえ、完全にレイプである。だが、こういうことはあるし、それを「レイプだ」「モラハラだ」と認識できなかったのだ。

>>夫婦・カップル間での性暴力。抜け出すには?
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