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不快な汗はどう対処する? 汗の役割と対策方法

太陽が照りつけ、ムシムシした空気に汗が止まらない季節。そもそも、人はなぜ汗をかくのでしょうか?つい、臭いや見た目などで嫌われがちな汗ですが、体にとって重要な役割を果たしています。今回は汗の良い面、悪い面を具体的にご紹介しましょう。

清益 功浩

執筆者:清益 功浩

医師 / 家庭の医学ガイド

汗の役割とは

汗

あたりまえのことですが、運動すると汗をかきます。それにはきちんとした理由があるのです。

人は周囲の気温が高かったり、運動をした後など、体温が上がっているときに汗をかきます。汗は主に水分が中心で約99%を占めており、その他に体内の塩分などを含みます。水分は蒸発する時に「気化熱」といって、その環境にある熱を奪う作用があります。そのため汗をかいたあと、乾くときに体温を下げる効果があります。

大脳には体温を感知する部分があって、そこから汗をかいて体温を下げるという命令が自律神経のうち交感神経によって全身に伝わります。交感神経から出るアセチルコリンという物質が、汗をだす器官である汗腺(かんせん)を刺激して、血液から汗を作り出し、皮膚から汗が出てきます。

汗を出す汗腺は3歳までは数が増えていきます。この時期に寒い地域で過ごすと汗腺は少なく、暑い地域で過ごすと多くなります。

また、汗をかくのは体温が上がっているときだけではなく、様々な場面でもみられます。緊張や不安で「手に汗握る」といったように精神的に汗をかくこともあれば、辛い物など刺激の強いものを食べることで汗をかくこともあります。

汗腺の機能は、大人になってからも運動や高温の環境で高まってきますし、季節によって変わってきます。女性ホルモンは汗を出すのを抑えるので、男性の方が汗かきになります。高齢になると下がってきます。

汗をかかないとどうなる?

汗をかかないと体温調節ができなくなり、体温がどんどん上昇することになります。そのため、夏場では熱中症を起こします。

このように汗をかかない状態を「無汗症」と言います。無汗症には、生まれつき汗腺がない先天性と、もともと汗腺はあったものの、その数が減ったり、なくなったり、機能が低下したりする後天性があります。

後天性の原因は、シェーグレン症候群などの膠原病や、薬による作用、ホルモンなどの異常、原因不明なこともあります。原因に対する治療が中心ですが、原因不明の場合、ステロイドによって効果改善がみられたという報告もあります。

このように汗には、体にとって大切な働きがあるわけです。

次のページでは、汗がもたらすデメリットについて解説いたします。

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