子育て/毒親・過保護・過干渉

ヘリコプターペアレントとは?親の過保護度を診断する方法

ヘリコプターペアレントとはなにかご存知でしょうか。ヘリコプターペアレントは、毒親・モンスターペアレントと比べるとまだまだ認知度が低いようです。子供のそばで管理・干渉し続ける親「ヘリコプターペアレント」と呼ばれる原因や、その特徴である過保護、過管理、過干渉に陥らないための対処・コツをお伝えしていきます。

佐藤 めぐみ

執筆者:佐藤 めぐみ

子育てガイド

ヘリコプターペアレントとは? 真面目だからこそ気をつけたいこと

子供のそばを常に旋回する過保護な親、それがヘリコプターペアレント

子供のそばを常に旋回する過保護な親、それがヘリコプターペアレント

ヘリコプターペアレントとは、上空を旋回するヘリコプターのごとく、子供のそばで管理、干渉し続ける親のこと。

毒親、モンスターペアレントと比べると、まだまだ認知度は低いですが、日本人のきめ細やかさ、真面目さを考えると、ヘリコプターペアレントこそ気をつけるべき存在だと考えています。毒親やモンスターペアレントは、目立つけれど少数派、でもヘリコプターペアレントはその予備軍も含めれば、かなりの多数派になるのではと感じているからです。

では、なぜ、きめ細やかで真面目だからこそ気をつけるべきなのでしょうか?
「きめ細やか」「真面目」どちらも文句なしに長所といえる特徴です。しかし、子育てにおいては、それがエスカレートしやすく、結果として「やり過ぎ育児」になってしまうからです。
   

愛情あふれる過保護なら許されるのか?

親の過保護、過管理、過干渉は、子供の自己否定間や問題行動のリスクを高める

親の過保護、過管理、過干渉は、子供の自己否定間や問題行動のリスクを高める

これまでの子育て心理学では、多少、過保護であっても、それが温かい愛情ベースであれば、悪い結果にはならないのではという見方もありました。というのも、過保護になるのは我が子への愛情ゆえ。だからヘリコプターペアレントも、条件、状況によっては良い部分もあるのではと思われていたのです。しかし、最近のアメリカの研究で、それすらも否定されたのです!

その研究で分かったことは次の通りです。
  1. 親としての温かみがない上に、過保護だと、子供は後々、自己否定感に悩み、問題行動のリスクも高まる
  2. 親としての温かみを保った過保護の場合、1のケースと比べれば確率は減るが、自己否定感や問題行動のリスクはなおも残る

結論として出されたのは、「いくら愛情あふれる温かい接し方をしていても、それで過保護による悪影響がなくなるわけではない」ということ。過保護、過管理、過干渉の副産物は、どんな愛情をもってしても、相殺されるものではないというわけです。
 

ヘリコプターペアレント度をチェック……「うっかり過保護」とは?

もしかして過保護と思ったら、ヘリコプターペアレント度をチェックしてみよう

もしかして過保護と思ったら、ヘリコプターペアレント度をチェックしてみよう

ここまでお読みになって、「もしかして、私、ヘリコプターペアレント予備軍かも」と思った方は、どこからが過保護なのかが分からずに、気づいたら深みにはまっていたという方もいるのではないでしょうか? 過保護には、明確な入口があるわけではありません。それゆえ親は知らず知らずに入りこんでしまうのです。

例えば、今回ご紹介した研究で用いたヘリコプターペアレント度のチェック項目には、こんなものがありました。
 
  1. 子供がすべき決断を親がしてしまっていないか?
  2. 子供が解決すべき問題を解決してあげていないか?
  3. 子供が困っているときに助けてあげていないか?

とくに2と3は、線引きが難しい項目です。親なら必ずや子供の問題を解決してあげたり、困っているときに助けてあげたりしますよね。要は、程度の問題になってしまうために、「うっかり過保護」が発生してしまうのです。親だったら、我が子を守りたいと思うのは当然ですから……。

しかし、こちらの記事『過保護はどうしていけないの?』にも書いたように、過保護は、虐待やネグレクトと同様に、将来的ないじめのリスクを高めてしまうことが分かっているのです。守りたい我が子を結果的に守ってあげられないのが、「過保護」という状態です。
 

子供が不安になることを恐れてはいけない

親が過保護になってしまう背景には、
「子供にイヤな思いをさせたくない」
「辛い思いをさせたくない」
「不安な気持ちになってほしくない」
という思いがあります。それを先回りして消してしまうことで過保護が発生してしまうのです。

しかし、子育て心理学では「”イヤだな”という気持ちは子供の成長に不可欠」と捉えます。それを自ら乗り越えることで自分力がついていくからです。世界の心理学をリードするセリグマン博士も、「子供はいつもいつもご機嫌でいる必要はない」と言っています。

子供が持つ“負の感情”を恐れてはいけません。それを越えたときには、ひとまわり大きくなっているからです。

この記事『6歳までの親業って?自主性とやる気の子育て心理学』には、過保護にならないためのコツをまとめてあります。ぜひご参照ください。


*出典:Emerging Adulthood, (2015) 「Is Hovering Smothering or Loving? An Examination of Parental Warmth as a Moderator of Relations Between Helicopter Parenting and Emerging Adults' Indices of Adjustment.」より

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