刑事ドラマのコンビと言えば、かつては『あぶない刑事』『噂の刑事トミーとマツ』など男性同士を描いた作品が中心でしたが、近年では男女のコンビを描く作品も多くなっているようです。そんな男女のコンビも千差万別。刑事ドラマを面白くするイマドキのコンビ事情を見てみましょう。


個性的でマイペースな2人の関係にクスッとする
黒井マヤ×代官山脩介 『ドS刑事』

コンビを組むのは、多部未華子が演じる上から目線の刑事の黒井マヤと、大倉忠義演じる頼りない代官山脩介。強い女子と弱い男子という設定はめずらしくありませんが、その強さと弱さの度合いが可笑しく、脱力感と本気度のバランスが絶妙でした。

コメディは「カラッと明るい」「誰かをバカにしつつも愛にあふれている」「くどくない」ことが大事です。その要素を軽快にクリアした心地よい笑いは、肩の力を抜いて見る土曜日の夜にふさわしい作品でした。

「ケンカするほど仲がいい」大人のちょっとかわいい関係
小宮山志保×村瀬健吾 『警視庁捜査一課9係』

羽田美智子演じる小宮山志保は、気が強いけどすごくキュート。津田寛治演じる上昇志向の強い村瀬健吾に対してもズケズケものを言います。しかし10年をかけ2人の関係は緩やかに変化します。口げんかや仲直りを繰り返しながら、お互いの欠点を理解しカバーし合う大人の関係は新鮮でちょっとうらやましくもあります。正義感や刑事魂という点で、最終的に合致を見せる2人のプロ意識も素敵です。
ホントは好きなのでは……と視聴者をヤキモキさせながら成長する2人の関係に、つい目を細めてしまいます。

お互いの言葉はちゃんと心に響いている
永光麦秋×三ヶ島翔  『ヤメゴク~ヤクザやめて頂きます~』

大島優子演じる永光麦秋は心を閉ざしたまま憎しみをバネに検挙率をあげる刑事。集団相手に一人で勝利する抜群の戦闘能力です。誰よりもヒサシの長いリーゼントが自慢の北村一輝演じる三ヶ島翔は、せっかくのイカツイ見た目が空しくなるヘッピリ腰ですが、人情味あふれる言葉は正論で、麦秋の心を溶かしていきます。

麦秋の立ち回りといいコブシの効いた三ヶ島の言葉といい、涙あり笑いありの時代劇的面白さは、ある意味新しいコンビの描き方にも映ります。


認め合うために必要なのは“思い”
宅間善人×姉小路千波 『スペシャリスト』

すでに3作が放送された「土曜ワイド劇場」の人気シリーズです。免罪で服役した警察官の宅間善人(草なぎ剛)は、10年間の刑務所時代に犯罪者と過ごすことで、あらゆる犯罪の方法や背景を記憶したスペシャリスト。出所後、特別犯罪係に赴任しますが、フットワークが悪く、現場に出向こうとしません。熱血漢あふれる刑事の姉小路千波(南果歩)は、冷めた態度の宅間に振り回されながらも、彼の深い人間愛を知り、理解を示します。

土曜ワイド劇場の持つ安心感や人間味はそのままに、事件の伏線や展開は見応え十分です。草なぎ剛の持ち味である自然体のゆるさと、ここだけはという時の強い演技の切れ味はさすが。姉小路のドタバタぶりをウヒャウヒャ笑う宅間の姿は演技に見えないくらい自然で、ついこちらも笑ってしまいます。

全編に流れる切なさと危うさに胸がしめつけられる
雪平夏見×安藤一之 『アンフェア』

映画がシリーズ化される人気作品ですが、今も『アンフェア』ファンから支持されているのが、テレビシリーズで瑛太が演じた安藤一之。篠原涼子演じる雪平夏見の人生においてもかけがえのない存在です。

誰が犯人なのか最後までわからないミステリーはコンビである2人の関係も見事にミステリアスに描いています。肝心なことは語らない、過去の痛みを抱え決心して一人で闘いに臨む雪平と安藤。改めて似た者同士であることに気づきます。もっと違うカタチで交差してほしかった2人の運命に感情移入してしまうのは2人の巧さがあるからこそ。乾いた空気のなかの淡いラブストーリーは絶品でした。


同じ刑事ドラマでも雰囲気が全く違い驚きます。面白さも胸がキュンとするカタチもこんなにいろいろなのだと改めて気づかされます。
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