11の基準から監督を数値化すると…

undefined

 

前回の原稿で紹介した保有戦力の評価ポイント
と同様に、監督についても様々な項目を立てることができる。たとえば、現役時代の実績は、監督の言葉に重みを持たせる。ストライカーとして活躍した監督のアドバイスは、同じポジションの選手の胸に説得力を持って響くだろう。すわわち、監督としての求心力につながる。代表選手としてW杯に出場したことがあれば、それもまたチームを掌握する際のプラス材料となるだろう。

監督の評価に様々なアプローチがあるなかで、今回は以下の11項目を立てた。

(1)同一クラブを連続で3年以上指揮している=10ポイント
(2)同一クラブを連続で5年以上指揮している=20ポイント
(3)内部昇格である=5ポイント

(4) Jリーグで通算3年以上の監督経験がある=5ポイント
(5) Jリーグで通算5年以上の監督経験がある=10ポイント
(6) Jリーグで通算8年以上の監督経験がある=15ポイント
(7) Jリーグで通算10年以上の監督経験がある=20ポイント
(8) Jリーグで通算15年以上の監督経験がある=25ポイント

(9) 外国人監督である=15ポイント
(10)年代別代表や日本代表の監督経験がある=10ポイント
(11)年代別代表や日本代表のコーチ経験がる=5ポイント

それぞれの項目について追記すると、(1)から(3)は「継続性」をはかるものだ。同じクラブを連続して3年以上率いていれば、すでに選手の能力は把握できていると判断する。つまり、クラブが設定する目標を達成する下地はできている、と見なすことができる。

2015年が就任3年目であれば、(1)の10ポイントに該当する。就任5年以上ならさらにチーム作りはスムーズに運ぶが、今回は(2)に該当する監督はいなかった。

監督としての関わりは3年未満だが、それ以前から強化責任者などで関わっていたり、コーチから昇格したりした監督であれば、監督就任以前からチーム全体や個々の選手の特徴を把握できていることになる。チーム作りは進めやすい。このため、内部昇格という項目を設けた。ただし、コーチなどの経験があったとしても、一度チームを離れたあとの監督就任は内部昇格には含まない。

Jリーグでの通算監督年数については、J1だけに限定をしないこととした。監督としての経験をはかるには、J2も含めたほうが適切だからである。また、年数の数えかたについては、1試合でも采配をふるっていれば「1年」とする。監督代行といった肩書でも、チームの勝敗に責任を負う立場であることに変わりはないからだ。

年数を4段階に分けたのは、たとえば通算5年目と通算9年目が同じポイントでいいのかとの疑問に答えるためだ。将来的には1年刻みでポイント化したい。

外国人監督については、人件費の視点を重視した。外国人監督の招聘には住居や自家用車の提供、通訳の用意、家族のケアなど決して安くない費用がかかる。費用対効果を考えると、15ポイントが妥当だろう。また、ここでいう外国人監督は、Jリーグの監督就任にあたって海外からやってきた人材を指す。

(10)と(11)については、重複する場合は(10)を優先する。たとえば、日本代表コーチとU-23日本代表監督の経験がある反町康治監督(松本山雅FC)の場合は、(10)の10ポイントのみを加算する。

>>つぎのページで、監督のランキングを発表



各ポイントを合計したランキングは、以下のようになった。

[1位]ペトロビッチ(浦和レッズ)=45
[2位]トニーニョ セレーゾ(鹿島アントラーズ)=40
[2位]反町康治(松本山雅FC)=40
[4位]西野朗(名古屋グランパス)=35
[4位]ネルシーニョ(ヴィッセル神戸)=35
[6位]柳下正明(アルビレックス新潟)=30
[7位]石崎信弘(モンテディオ山形)=25
[8位]長谷川健太(ガンバ大阪)=25
[9位]エリク モンバエルツ(横浜F・マリノス)=20
[9位]チョウキジェ(湘南ベルマーレ)=20
[9位]森保一(サンフレッチェ広島)=20
[12位]マッシモ フィッカデンティ(FC東京)=15
[12位]風間八宏(川崎フロンターレ)=15
[12位]佐久間悟(ヴァンフォーレ甲府)=15
[15位]森下仁志(サガン鳥栖)=5
[16位]渡邉晋(ベガルタ仙台)=5
[17位]吉田達磨(柏レイソル)=5
[18位]大榎克己(清水エスパルス)=5

全体的に極端な開きはない、という印象だろうか。それでは、前回紹介した保有戦力のポイントと監督のポイントを合計してみる。

【関連記事】J1各チームの「保有戦力」を数値化、1位に輝いたのは

監督のポイントに保有戦力のポイントを足すと?

[1位]ガンバ大阪=380(355+25)
[2位]浦和レッズ=330(285+45)
[3位]FC東京=315(290+15)
[4位]鹿島アントラーズ=280(240+40)
[5位]名古屋グランパス=270(235+35)
[6位]サンフレッチェ広島=240(220+20)
[7位]横浜F・マリノス=230(210+20)
[8位]川崎フロンターレ=210(195+15)
[9位]ヴィッセル神戸=175(140+35)
[10位]柏レイソル=145(140+5)
[11位]サガン鳥栖=135(130+5)
[12位]ベガルタ仙台=130(125+5)
[13位]アルビレックス新潟=125(95+30)
[13位]湘南ベルマーレ=125(105+20)
[15位]ヴァンフォーレ甲府=120(105+15)
[16位]モンテディオ山形=110(85+25)
[17位]松本山雅FC=95(55+40)
[18位]清水エスパルス=90(85+5)


さて、大切なのは上記の順位と実際の成績の比較である。第1ステージの順位と照らし合わせてみよう。チーム名のあとのカッコ内が、保有戦力プラス監督の合計ポイントのランキングだ。

[1位]浦和レッズ(2位)
[2位]FC東京(3位)
[3位]サンフレッチェ広島(6位)
[4位]ガンバ大阪(1位)
[5位]川崎フロンターレ(8位)
[6位]横浜F・マリノス(7位)
[7位]ベガルタ仙台(12位)
[8位]鹿島アントラーズ(4位)
[9位]名古屋グランパス(5位)
[10位]湘南ベルマーレ(13位)
[11位]サガン鳥栖(11位)
[12位]ヴァンフォーレ甲府(15位)
[13位]ヴィッセル神戸(9位)
[14位]柏レイソル(10位)
[15位]松本山雅FC(17位)
[16位]モンテディオ山形(16位)
[17位]アルビレックス新潟(13位)
[18位]清水エスパルス(18位)

保有戦力と監督の合計ポイントは、おおむね順位に反映されていることが分かる。そのなかで不満が残るのは、鹿島と名古屋だろう。どちらも、ポイントより順位が4つ後退している。ケガ人の続出に悩まされたことで、不本意な成績となったことも共通する。

経験豊富な監督が率いていからこそ、何とかこの順位で踏み止まったと、言うこともできるかもしれない。ヴィッセル神戸と柏レイソルも、不本意な第1ステージだったと言えるだろう。

ポイントを上回る成績を残したチームからは、ベガルタ仙台と湘南ベルマーレをあげたい。

仙台の渡邊監督は、昨季途中に就任した。コーチからの昇格だが他チームでの監督経験はなく、何人かの主力選手が入れ替わったなかで今季を迎えている。第1ステージ7位の成績は上々だ。

J2から昇格してきた湘南は、就任4年目のチョウキジェ監督が率いる。チーム全員が攻撃にも守備にも関わるサッカーは「湘南スタイル」として確立され、選手が入れ替わってもチームの方向性に揺らぎがない。J1の強豪相手にも真っ向から勝負を挑む彼らのサッカーは、結果をこえた爽快感をもたらす。第2ステージでのさらなる躍進が期待されるチームだ。
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。