極地に魅せられた女の決断、それはいばらの道だった

更新日:2015年06月29日

 

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進みたいからこそいばらの道に見えるのです

日本に戻っても悶々としていて、大学院へ進んだ時にもう一度アラスカへ行こうと決めました。そしたら気持ちが変わるかもしれないと。夏から秋にかけての旅でしたが、そこは冬とはまったく違う、生きものが活き活きときらめいている世界でした。夏がすごく短いので、命がその期間に凝縮されているような感じで。到着したばかりのころ青々としていた緑は、1週間経つと黄色に変わり、それから2日で真っ赤に染まる。植物は急激に変化し、動物たちはひたすら餌を食み栄養を蓄えて冬に向かう。日本とは時間の流れがまったく違い、果てしなく続く空間の広がりにも感動しました。そこで「この世界にずっと関わって生きていきたい」と思ったんです。


――就職など様々な道がある中で、迷いはありませんでしたか?

すごく考えたし、迷いました。分野を変えるのはすごく大変だと分かっていたし、かといって同じ研究を続けていても将来はどうなるか分からない。社会に出ることも考えて、実際に企業の研究開発部門へ就職活動もしました。ですが、内定をいただいたときにやはり違和感があったんです。会社の一員として社会に出ている自分が想像できませんでした。研究者は深く追求するが故に、世界が狭くなってしまう気がしていましたが、博士に進み研究者になることでまったく違うものの見方が出来るようになり、もっと世界が広がるんじゃないか?と思うようになって。やはり研究者の道へ進むことに決めました。


――決断するときは、ご自身の感覚を大事にしているのですか?
 

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そうですね。あとは、楽な方へ行かないようにしているところもあるんです。極地研究所へ分野を変えることはすごくパワーが必要で、いばらの道に見えたのですが、それは自分が進みたいから厳しい道のように見えるのだろうと。どうでも良かったら、なんでもない道に見えるはず。じゃあ、「それが進みたい方向だ」と感覚で選んで進んでいきました。振り返っても、あの決断をして良かったとしか思っていません。そうでなければ今がないですから。

 




極地へ訪れるようになって感じた自身の変化。決断するうえで、田邊さんが大切にしていることとは……(後編に続く)