極地に魅せられた女の決断、それはいばらの道だった

更新日:2015年06月29日

undefined

 

 

南極、北極をフィールドとし、植物生理生態学者として日々研究を続ける田邊優貴子さん。強い探求心を持ち、子どものころから「星や空、自然が好きだった」と笑う彼女が、極地の圧倒的な自然、そこに生きる動植物たちに魅せられた瞬間、そして下した大きな決断とは――?
(後編はこちら)



そこには想像以上の世界が広がっていた

――南極、北極、極地というフィールドで生態学者として活動されていますが、これまでを振り返ってご自身にとって一番大きな決断は何でしたか?

大学院の途中で研究分野を変えたことですね。もともと、人工的に光合成のシステムをつくるという工学部の研究をしていました。社会的にもすぐに役立つ実利的なもので、目的も分かりやすくて良かったのですが、何か私には合っていないような感覚がありました。
実験室にこもる毎日が続く中、窓の外に夕焼けが見えたとき、ふと『今、アラスカでオーロラが出ているのかな?』と考えるようになったんです。そのうち、生きものが生きている場所で、実際にその空気を肌で感じながら研究をしていきたいと考えるようになりました。そこで、理学の方へ進もうと決めました。なぜこんなことが起こっているのか、そのメカニズムはどうなっているのか、そういうことを大好きな極地で研究したくて、国立極地研究所のドアを叩きました。


――極地という目的地は、もともとご自身の中にあったのですね。なぜその地に強く惹かれるように?

最初に訪れたのは大学4年に進級するときでした。周りの人たちが大学院への進学や就職を考えている中、そのまま進んでしまってはいけない気がして立ち止まってしまったんです。そこで、大学を1年休学して8カ月ひたすらアルバイトをした後、残りの4カ月でアラスカに行きました。
そこには、自分が想像した以上の世界が広がっていたんです。夏の白夜とは逆に、1日中太陽が昇らない冬の極夜の時期に訪れたので、最初はきっと昼間も真っ暗なのだろうと想像していましたが、実際はピンクとオレンジ色で染まった夕暮れの風景がずっと続いていて。夜になるとオーロラがばーっと現れる。「なんだろう? この世界、すごいな!」と感じました。でも、その時はその気持ちをどうしたらいいか自分では分かりませんでした。
 

undefined

 Photo by Yukiko Tanabe (C)


 

 芽生えた想いを形に。田邊さんが厳しい選択をする理由とは……
 

ガイドインタビュー-Human dept.ガイドの原点