強烈な人気を誇る、只者ではない存在……

毎年1回行われる「AKB48選抜総選挙」。AKBメンバーのスピーチと徳光和夫さんの進行が特徴のこのイベントは、いつも手に汗握る展開。これまでに連覇した人がいないことからも、その戦いの厳しさがわかります。

一方、別の世界では、総選挙で3連覇中の「絶対的アイドル」がいます。がしかし、誰もがその存在を知っているわけではありません。ということで、紹介させてください。その人気者とは、この方です。
gs1

アイドルと呼ぶのは、ちょっと違うかもしれませんが……(写真 JRA)

そう、競走馬のゴールドシップです。6歳のオス馬であるゴールドシップは、2011年の7月にデビュー。そこから圧倒的な人気を獲得するまでになりました。

総選挙で3連覇しているという話をする前に、まずはゴールドシップの魅力を知ってもらいたい。ということで、いったん以下のレース映像を見ていただきましょう。これを見れば、ゴールドシップが只者でないとわかるはず。なにせ、マンガのようなレースが繰り広げられるのですから。

2015天皇賞・春のレース映像(ゴールドシップは白い帽子の1番)

どうでしょう、この破天荒ぶり。90年代に人気を博した競馬マンガ『みどりのマキバオー』の世界かと思うようなレース。でも、もちろんマキバオーではありません。体の色は似ていても、馬のサイズが違いますし、そもそもゴールドシップはマキバオーのように純情ではないのです。

気分屋であり、凶暴。そして女の子が好き
それがゴールドシップ

2年前、私はAll Aboutの記事でゴールドシップを紹介するとき、ビジネスマンに例えてこう書いてみました。

「上司に怒られないとプロジェクトに取り掛からない。余裕が出るとすぐにサボろうとする。そのくせ、やる気になったときの仕事ぶりは見事。つまりはそんな、『後輩の見本にだけはしたくない』人、職場にいませんか? ゴールドシップはまさにそんな性格です」

→過去記事「オフィス視点で見る2013宝塚記念の個性派たち」より

ビジネスマンで言うならば、まさにそんな性格。先ほどの映像は、ゴールドシップが今年5月に出た天皇賞・春(芝3200m/京都競馬場)というレースなのですが、スタート後、騎手が手を動かして必死に気合をつけても、ゴールドシップは動かない。従わない。ダッシュが“できない”というより“しない”のです。

このレースでコンビを組んだ横山典弘ジョッキーも、「ゴールドシップに『頑張って下さい』とお願いして乗るだけ」と言うほどでした。実際、過去には気持ちが乗らなかったのか、まさかの凡走をしたレースもあります。

なのに、それなのに、ひとたびヤル気になると驚異のロングスパートで勝ってしまう。他の馬がまだ体力を温存しているにも関わらず、すごい剣幕で上がっていくんです。「華麗に」というより、最初はちょっと面倒くさそう。しかし途中からは「オラオラオラ」という形相で。そしてそのまま押し切ってしまうんです。

ゴールドシップの個性は、それだけではありません。レース以外では、気に入らないことがあると容赦なく暴れます。思いっきり立ち上がります。その光景を見て、ファンから「ナポレオンの有名な絵のようだ」と指摘されたこともあります。ナポレオンを乗せて立ち上がっている白い馬のことですね。

暴れるゴールドシップを捉えた写真(スポニチアネックス)

そして、ほかの馬にはガンガン吠えて威嚇(いかく)します。先日も、ある馬とすれ違うときに「ウオー」と吠えていたことが新聞で伝えられたばかり。まるで番長。年齢を重ねて落ち着くかと思いきや、そんな様子はありません。

それでいて、ゴールドシップは女の子が大好き。メス馬が近づくと興奮するんです。前にも、新聞記者に「年下のメス馬に興奮して、違った意味でヤル気を見せていた」なんて書かれてしまったほど。何を隠そう、先ほどの立ち上がっていた写真は、そのとき興奮した姿を捉えたものです。

場合によっては、そのうちフライデーに「ゴールドシップ、年下のメス馬を口説いて3時間。レースよりヤル気を見せた朝」なんてスクープされるかもしれません。もしそれが現実になったら、発売日にフライデーを買いますけど。

年下のメス馬に興奮していたことを報じた新聞記事(スポニチアネックス)

ズラッと並べましたが、これが人気者ゴールドシップの性格です。人を困らせ、そして人に愛される個性派。だからこそ、総選挙を3連覇できるのです。

次ページでは、ゴールドシップに熱狂する女性ファンの声を紹介します。



年2回、競馬ではファン投票が行われる

gs2

前走の天皇賞・春を制したゴールドシップは、6月28日の宝塚記念に向かう(写真 JRA)

ゴールドシップがどんな馬かは説明しましたが、もうひとつ大事な説明を忘れていました。冒頭で述べた「総選挙」についてです。そもそも、競走馬の総選挙とは何なのでしょうか。

日本の競馬では、年に2回オールスター戦が行われます。それが、6月の宝塚記念(芝2200m/阪神競馬場)と12月の有馬記念(芝2500m/中山競馬場)。宝塚記念については、今週日曜(6月28日)にその戦いが迫っています。

「オールスター戦」というのは、出走馬を選ぶためにファン投票を行うレースという意味です。当然ながら、人気の高い馬はファン投票で上位になるもの。総選挙というか、出て欲しい馬を選ぶ人気投票ですね。

その中でゴールドシップは、2014宝塚記念→2014有馬記念→2015宝塚記念と、ファン投票で3回連続1位になっているのです。

もちろん、ファン投票の結果とレースの着順は無関係。ちなみにゴールドシップは、2014宝塚記念で1着、2014有馬記念で3着、そして今週末の宝塚記念で勝利を狙います。宝塚記念は2013年も優勝(ファン投票は2位)しており、こちらも3連覇がかかります。

2013宝塚記念のレース映像(ゴールドシップはピンク帽の10番)

2014宝塚記念のレース映像(ゴールドシップはピンク帽の11番)


女性ファンに聞いた、ゴールドシップの魅力

3連覇を目指して宝塚記念に向かうゴールドシップ。実は、この人気者を語る上で興味深いことがあります。それは、女性の熱狂的ファンが多いということ。実際、「ゴールドシップのレースを見に行くときは、全身が汗ばんでしまう」、「ゴールドシップの握手会を開いて欲しい」という女性もいました。

確かに個性的で魅力のあるゴールドシップですが、ここまで女性ファンが多いのは意外。いったいなぜ、女性たちはゴールドシップに魅せられるのでしょうか。

その答えを知るべく、ゴールドシップファンを名乗る女性たちに調査。すると、好きな理由として以下の答えが返ってきました。

「目がキュルンと丸くて、体も白くて可愛い。その見た目が好きになってネットでいろいろ調べてみると、とんでもない暴れん坊だと分かった。でも、そのギャップがいい。今ではビジュアルより性格に惹かれている」

「他馬を威嚇したり、レース後の口取り式(※優勝馬の記念撮影)で暴れたり、スタートのゲートに入るのを拒んだり……。好き勝手やるのに、キメるときはカッコよくキメるところ」

「いつも乱暴な雰囲気なのに、世話をしてくれる今浪厩務員にはこっそり甘えているところ。インタビュー記事を読んで知ったのだけど、あんなにヤンチャなのに、きちんと相思相愛であることが伝わってくるのがいい」

「急に走らなくなったり、暴れたりと危なっかしい印象を受ける。毎回レースの前はドキドキが止まらない。そこに母性本能をくすぐられるのか、『応援しなくちゃ!』となる。だからこそ、ちゃんと走ってくれると感動してしまう」

実際はもっと熱いテンションで熱弁されたですが、そのままでは載せられないので加工しました。とりあえず、ゴールドシップを愛している女性は、皆さん本気です。こちらが後ずさりするくらいの興奮度でした。

そして、これを読んで気づいたことがあります。もしもゴールドシップが男性として出現したら、かなりおモテになるかもしれないということです。

ビジュアルを超える“中身”の魅力。マイペースでやりたい放題なのに、いざというときは二枚目。普段はツンツンなのに、2人のときにこっそり甘える。しかもツンとデレの割合は、ツンツンツンツンツンツンデレくらい。そして、あの危なっかしさが母性本能をくすぐって、会いたい気持ちを増幅させてしまう。その結果、気づいたら西野カナを聞いている。これはモテるでしょう。

……いや、ちょっと待ってください。とはいえ、もしもあの暴れん坊と付き合ったら、やはり地獄を見るのは必須。ツンが強烈すぎます。なので、やはり遠くから眺めているのがベストでしょうか。

いずれにせよ、競馬史に残る個性派、そして人気者がゴールドシップなのです。ということで、もしよろしければ今週日曜の宝塚記念をご覧ください。15時40分スタートです。

なお、今回のように大きな注目を集めたとき、ゴールドシップは強力な「ツン」を発揮して、ヤル気にならない可能性もあります。それも含めて、この人気者に注目してもらえればと思います。

(リンク)
ゴールドシップ|競走馬データ-netkeiba.com
2015宝塚記念|出走馬情報-netkeiba.com



※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。