戸数が増えるほど管理費が減る。高層は例外?

図1.マンションの管理費。戸数規模別グラフ

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マンションの管理費は、総戸数が多いほど「スケールメリット」がはたらき、一戸当たりの負担は安くなると言われています。しかし、全国的な統計を見ると、結果は意外なものでした。国土交通省の「マンション総合調査」の最新版、2013年のデータを見てみましょう。この調査は2013年までに完成した全国の分譲マンションを対象としています。

図1のグラフは、1戸当たり(70m2として換算)の月額管理費を戸数規模別に示したものです。
20戸以下がもっとも高く、戸数が増えるにつれて徐々に安くなっていますが、500戸を超えると、また高くなっています。75戸以下の中小規模マンションよりは安いものの、100戸以上の大規模マンションより2~3割高いのです。

図2.マンションの管理費。階数別グラフ

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次の図2は、管理費を建物の階数別に示したものです。「11~19階建て」がもっとも安く、超高層のタワーマンションが該当する「20階建て以上」が一番高額です。

図1・2を合わせて考えると、総戸数の多いタワーマンションの管理費は一番高い、といえそうです。この結果は、ガイドにとっては意外なものでした。都心部周辺の個々の物件を比べると、共用施設がほとんどない中高層のマンションより、共用施設サービスの充実したタワーマンションのほうが管理費の負担額が低いことは珍しくないからです。


共用施設やサービスは、負担に見合った価値があるか

管理費にスケールメリットがあるのは確かなようですが、500戸を超えるようなマンションに関しては、他の影響がより大きいと考えられます。それは、タワーマンションの「属性」とも言うべきものです。

タワーマンションが増え始めたのは2000年前後、特に、500戸を超えるような“メガ・マンション”が登場するのは2000年代後半からです。こうしたマンションのニーズがあるのは人口密集地、つまり都心寄りですので、分譲価格も高めとなります。それに合わせるように共用部分の仕様やサービスも充実したマンションが多いのです。その結果、管理費が全国平均より高めになっていると考えられます。

大規模マンションの代表的な共用施設として、キッズルーム、シアタールーム、フィットネスジム、ゲストルーム、多目的ルームなどがあります。タワーマンションでは、2層・3層吹き抜けの豪華なエントランスロビー、眺望を楽しむスカイラウンジなどを加えることができるでしょう。

ほかにも、超高層に義務付けられる防災センターや各階ダストステーションのようなタワーに不可欠、またはないとかなり不便な類の共用施設もあります。コンシェルジュ・サービス有人警備などソフト面で費用のかかるものもあるでしょう。

単純に額面だけを比較して高いか安いかを比較するのは、あまり意味がありません。金額に見合った価値があるかどうかで判断するべきではないでしょうか。ハード・ソフトの両面でこれだけ充実しているなら「むしろ割安」と感じる人もいるかもしれません。

また、戸数規模や階数とは直接関係ありませんが、管理サービスの範囲や内容についても考慮しておきましょう。たとえば、管理会社の野村不動産パートナーズでは、グループ会社が分譲したマンションについては、専有部分のトラブルや困りごとに関する「駆け付けサービス」を無料で提供しています。こうした付加価値的なサービスもよく見て判断していくことが大切です。


大規模タワーマンションの修繕積立金が一番高い理由

図3.マンションの修繕積立金・戸数規模別グラフ

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中長期的な計画修繕に使うために準備する「修繕積立金」はどうでしょうか。
図3は、同じマンション総合調査の修繕積立金のデータです。大きな傾向としては管理費と同じですが、500戸超がもっとも高額となっています。

 
図4.マンションの修繕積立金。階数別グラフ

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また、図4は修繕積立金を建物の階数別に示したものです。こちらも20階建て以上が一番高額で、平均の1.5倍近くになっています。大規模なタワーマンションの修繕積立金は、他の条件のマンションよりも高めの設定になっているといえるでしょう。

その理由は、中高層マンションにはない共用設備がタワーマンションには必要だからです。たとえば、エレベーターは本数が多く、高速タイプ群管理システムを採用しているケースが珍しくありません。防災面で設置が義務付けられている非常用エレベーター非常用発電機、スプリンクラーや、変わったところでは航空障害灯、ヘリコプターのホバリング・スペースなどがあるマンションもあります。これらの設備・施設の修繕に備えた積立金が必要になるわけです。

また、外壁修繕でも超高層ならではの困難さがあります。上層階まで仮設の枠組み足場を立てることができないため、屋上から吊ったゴンドラで劣化点検や修繕を行う必要があり、修繕の期間も長くなりがちです。こうした点を考慮し、当初から修繕積立金が高めに設定されています。

とはいえ、図4に出ている通り、4~5階建ての中層マンションと、その5倍以上の高さがあるタワーマンションとの差が月額3,000円程度というのは、それほど割高な感じはしません。スケールメリットによる負担軽減効果が出ているといえるでしょう。

次ページでは、今後の管理費、修繕積立金の動向について紹介します>>