スポーツ観戦や観劇、バードウォッチングなど、双眼鏡を使う目的はいろいろ。シーンによって適する双眼鏡も違ってきます。それでは、星空観察に最適な双眼鏡とは?

選び方のポイントは、「倍率」と「口径」です。


高倍率の落とし穴

倍率は高ければ高いほどいいと思っていませんか? 倍率が上がると手ブレまで拡大されてしまいます。また、倍率が高くなるほど視界は狭くなり、像が暗くなるというデメリットも。双眼鏡を手で持って星空を見るのであれば、倍率は7~8倍のものが適しています。


口径が大きいほど光を集める

星の淡い光を集めるには、口径(対物レンズの有効部分の直径)が大きくなくてはいけません。口径が大きいほど集光力があり、より暗く淡いものまでとらえることができます。

しかし、口径が大きくなると重くなってしまい、手ブレを起こしやすくなるのが欠点です。また、口径が大きくなるにつれ双眼鏡のサイズも大きくなるので扱いづらくなります。星空観察には、持ち運びがしやすく、手ブレがあまり気にならない、口径40~50mmくらいのものがオススメです。

スペック

倍率7倍、口径50mm、視野6.4°を意味しています。WP(waterproof)は防水仕様のこと


双眼鏡には倍率と口径、視野の広さが表示されています。その表示の見方がわかると、すぐにスペックがわかるので便利です。たとえば表示が「8×40 6.5°」の場合は、倍率8倍、口径40mm、視野6.5°を表しています。視野の値は大きいほど広い範囲が見えます。


倍率と口径が教えてくれる「ひとみ径」

私たち人間のひとみの大きさは、周囲の明るさによって変わります。明るい環境では約2mmに絞られていますが、星空を眺めているときのように暗い環境では7mmぐらいまで開きます。

双眼鏡にも人のひとみと同じように「ひとみ径」がありますが、環境によって変わることはありません。ひとみ径の値が大きいほど、目に入ってくる光の量が多くなるので、レンズをのぞいたときの像は明るくなります。

双眼鏡のひとみ径は、倍率と口径の値がわかれば自分で求めることができます。

ひとみ径=口径÷倍率

倍率8倍、口径20mmの双眼鏡の場合、20÷8=2.5となり、ひとみ径は2.5mmです。

星空を見ているとき、自分のひとみが7mmぐらいまで開いているに、ひとみ径が2.5mmの双眼鏡をのぞいたとしたら、どうなるでしょう? 人のひとみに対して双眼鏡のひとみ径が小さすぎて、暗く感じてしまいます。一方、これと同じ双眼鏡でも、昼間に明るい場所で(つまり、人のひとみが絞られている状態で)、自然観察や景色を見ることなどを目的とするなら、問題ないということです。

双眼鏡

双眼鏡が1台あるだけで、星空を見る楽しみがぐんと広がります

双眼鏡を使うシーンに応じて、いかに倍率と口径のバランスが大切かがおわかりいただけるでしょう。ちなみに、星空観察用の双眼鏡のひとみ径は5~7mmが理想的です。


ほかにも、双眼鏡を選ぶときには、レンズの性能の高さ、夜露や突然の雨でも安心できる防水仕様なども注目すべきところ。購入するときには専門店で実際に手にとり、レンズをのぞいて、自分の使いやすいものを選びましょう。お店のスタッフにもいろいろと質問して、アドバイスを受けて買うと安心です。


次のページでは、双眼鏡の使い方をご説明します。 >>



星空観察に最適な双眼鏡を選んでも、いきなりレンズをのぞけばいいわけではありません。まずは正しくセッティングをしましょう。手順は簡単、4ステップです。


ステップ1. ストラップを調整する

双眼鏡は、ストラップをつけて首にかけられるようになっています。ストラップが長すぎると、双眼鏡がブラブラと揺れてじゃまになったり、ぶつけたりする原因に。逆に短すぎると使い勝手がよくありません。ストラップは、双眼鏡が胸元にくるように調整しましょう。

双眼鏡各部の名称

双眼鏡各部の名称を確認しておきましょう。画像の双眼鏡は中央繰り出し式で、筆者の愛用品


ステップ2. 目当てを調整する

裸眼で見る場合は目当てを長く、メガネをかけて見るときは目当てを短くします。このひと手間が、視野全体をクリアにするポイントです。上の画像はターンスライド式(繰り出し式)で、目当てを回すと長さが調整できます。


ステップ3. 目の幅をあわせる

両手で双眼鏡のボディを持ち、両眼でレンズをのぞきながら、ゆっくりと開閉して自分の目(ひとみ)の間隔にあわせます。視界の円が1つに重なったときが、自分にぴったりの幅です。
目の幅の調整

上は目の幅を広く、下は狭くした状態。ボディを静かに開閉して角度を調整します


ステップ4. ピントをあわせる

視度調整リング

視度調整リングは、通常は右側にあります

一般的な中央操り出し式の場合で説明します。
まず、左眼で左側の接眼レンズをのぞきながら「ピント合わせリング」を回して、一番はっきりと見える位置にあわせます。
次に、右眼で右側の接眼レンズをのぞきながら「視度調整リング」を回して一番はっきりと見える位置にあわせます。
遠くに見える建物やアンテナなど、目標を決めるとピント合わせがしやすいです。また、少し面倒に感じますが、必ず片眼ずつ調整しましょう。

さあ、これでセッティングは完了! 両手でしっかりとボディを持って、星空を見てみましょう。


見るときのポイント

星をとらえるコツ
肉眼で見るときと比べると、双眼鏡で見える範囲は意外と狭いもの。まずは、見たい星座や星を自分の目で見つけて視線を固定し、素早く双眼鏡を目の位置にもっていくとよいでしょう。

初めて双眼鏡を使うときには、見たい星を視野に入れるのもひと苦労。慣れないうちは、月で練習するのもオススメです。月面のクレーターや、欠け際のデコボコをじっくりと眺めてみてください。

手ブレ対策
見え方

見え方のイメージです

しばらく双眼鏡をのぞいていると、呼吸や腕の疲れのせいで手ブレが起こりやすくなります。そんなときは、両脇をしっかりと締めた状態で、手すりなどにひじをのせたり、壁や塀にもたれかかったりしてみましょう。ちょっとしたことですが、ずいぶんと手ブレを減らすことができます。

長時間観察する場合は、三脚に固定するのがオススメ。ただし、三脚に固定するには、三脚用アダプターが必要です。


私が初めて自分の双眼鏡で見たのは、天の川でした。自宅がある市街地の夜空では、もちろん天の川は見られません。でも、天の川が流れているであろう方向に双眼鏡をかまえてみると……両眼でのぞいたレンズの中には、星がいっぱい! 空の奥行まで感じられ、まるで宇宙の中を浮遊しているようでした。あのときの感動は、今でも忘れられません。

もし、初めての双眼鏡が、星空観察に適していないスペックだったり、ピントがちゃんとあっていなかったりしたら、このような感動は得られなかったはず。

「やっぱり買ってよかった!」そう思えるように、選び方と使い方が大切です。



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