「うちはがん家系だから……」などとがんを気にする声は、老弱男女問わず聞かれます。女優のアンジェリーナ・ジョリーさんが、遺伝性の強いがん予防のために、乳房切除と卵巣・卵管の摘出手術を行ったニュースは記憶に新しく、日本でも遺伝子検査が注目されています。

「自分はどのくらい、がんなど病気のリスクがあるのか?」「遺伝子検査ではどこまでわかるのか?」「わかった後、どう活かせるのか?」など、私(ガイド)の周囲でも遺伝子検査について話題になることが多く、今回、実際に株式会社DeNAライフサイエンスの遺伝子検査サービス「MYCODE」を受けてみました。

そして、同社の代表取締役社長の大井潤氏に直接お話をお伺いすることができましたので、以下にご紹介します。遺伝子検査や未然の対策について皆様のご理解の一助になればと思います。

なぜ遺伝子検査サービスの提供を?その目指す姿とは?

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DeNAライフサイエンス大井社長「SickケアからHealthケアへ」

ガイド:私自身、健康に対しては気になることが多く、検査機関の郵送検査キットを利用したことがありましたが、ゲームやインターネットに強い御社がなぜ、遺伝子検査サービスを開始されたのか、その目的や目指していらっしゃる姿について教えていただけますか?

大井社長
:1999年のDeNA設立以来、EC(電子商取引)からソーシャルゲームなどの分野で展開してきましたが、ITと混ざり合って効果をより発揮できるテーマとしてヘルスケアを重視しました。ビジョンとして描いているのは、病気になってからのケアではなく健康に対するケアへという「SickケアからHealthケアへ」のナビゲートです。我々のサービスを通じて自分自身を知って健康をマネジメントできる「セルフメディケーション」を高めて、日本の健康長寿に貢献したいと考えています。

ガイド:DeNA創業者の南場氏が、以前、メディアでご自身の体験をもとに「健康な人が病気を未然に防ぐ『先行投資型』ヘルスケアへ」とおっしゃっていましたが、全社的に同じ想いで取り組まれていらっしゃるんですか?

大井社長:その通りです。社員も親族など身近なところで健康を害した人を見てきた者が多く、「病気になってからでは遅く、事前に対策をとれるように」という気持ちはみな強く持っています。

ガイド:それは説得力ありますね。この遺伝子検査サービスは、実際に私自身、検査結果をみて情報量も半端ないと思いましたが、どのくらい前から取り組まれてきたのでしょうか?

大井社長:具体的に開発を進めてきたのは1年半くらい前(2013年11月)ですね。なぜ「遺伝子」なのかというと、それは大きな出会いがあったからです。2013年7月19日に東大医科学研究所ヒトゲノム解析センターの宮野先生と南場の出会いがありました。研究成果を社会に還元したいという思い、社会に新しいヘルスケアサービスを提供したいという思いが合致し、かつそれを支える文部科学省のもと、共同研究成果を社会実装することを重視するCOI-STREAMという国家プロジェクトの採択を受け、共同研究成果を消費者に直接サービスとして提供する「規範的な遺伝子検査」に取り組むことになったのです。

ガイド
:COIについてはホームページにも説明がありますが、文部科学省の支援のもと、東大と御社とで共同研究を行い、その成果についての一般消費者との接点は御社が担当されるのですね。

大井社長:一般消費者との接点は、今までの実績を十分に活かせると思いますが、今回はサービスの提供のみでなく、サービスと研究を循環させる点が大きな特徴的です。検査の申込者に対して研究に同意いただけるかどうかを確認し、その上で、日本人のDNAデータ収集から日本人のための疾病リスク予測に役立てることや、消費者の健康に関する行動変容の研究なども行っていきます。今のところ、およそ86%の方が実際に研究に同意してくださっています。

ガイド:私も同意欄にチェックしましたが、そういう貴重な研究に参画していることになるのですね。

MYCODEのサービス開発にあたってこだわった点、苦労された点は?

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取材も思わず盛り上がります

ガイド:御社の遺伝子検査サービスの開発にあたり、特にこだわった点はどこでしょうか?

大井社長:大きく4つあります。1つ目は科学的根拠に基づいていること、2つ目に倫理面など、これはELSI(Ethical,Legal and Social Issues;倫理的・法的・社会的問題)に十分配慮していること、そして3つ目に情報セキュリティへの配慮、4つ目にサービスを受けた人へのフォローです。

ガイド:なるほど。私も検査結果を見て気づきましたが、単なる疾患発症リスクの表示にとどまらず、遺伝子解析など本当に一つ一つ客観的な論拠が提示してあるのに驚きました。また、二重に同意をとるなど非常にセンシティブな情報を扱っているという配慮も随所にみられました。こうしたサービス提供で、最も苦労した点はありますか?

大井社長:やはり、ELSIの部分ですね。そもそも遺伝情報は究極の個人情報で、遺伝子検査は診断ではなく生まれ持った統計であるという限界を認識しつつ、誤解のないように進めていかなければなりませんから。

ガイド:そうですね。結果をみてただリスク度に一喜一憂するのではなく、日本人平均に対しての自分の遺伝的・体質的傾向を知ってどう行動するかなど、本当に奥深い情報だと思いました。私自身、命の奇跡というか祖先からのつながりを感じて、とても感慨深いものでした。

3つのコースに分けて提供している理由とは?

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唾液を採取して郵送で送る検査キット

ガイド:実際に遺伝子検査サービスに申し込もうとした際、「ヘルスケア」「ヘルスケアLite」「ディスカバリー」の3つのうちどれにするかとても悩みましたが、なぜ現在の3つのコースにされたのですか? どんな人にどのコースが向いているなどはありますでしょうか?
(ご参考:コース詳細https://mycode.jp/?int=circulation_link_whatisdna_left

大井社長:遺伝情報はゲノムとも呼ばれますが、遺伝子検査というと「怖い」という印象がまだあり、より身近に感じていただけるよう祖先のルーツや生まれ持った特徴を知る「ディスカバリー」を用意しました。そして、しっかりとチェックしたいなら150種類の疾患発症リスクと130種類の体質を調べる「ヘルスケア」がおススメですが、そこまでは……という方向けには調べる項目が少なく中間的な「ヘルスケアLite」を用意しました。3つの検査コースはどんな年代の方でも利用していただきたいと思っていますが、結果として30代40代が多く、女性より男性が多いようです。

ガイド:なるほど。がんなどの疾患発症リスクはできるだけ多く知りたいのが人情でしょう。ニュースで大きく取り上げられた女優さんのように「自分も確認したい」という声もあるかもしれませんが……。

大井社長:そこは、MYCODEで扱う疾患の内容は明確に分けています。アンジェリーナ・ジョリーさんが受けられた遺伝子検査は、遺伝性が非常に強い疾患で遺伝子検査結果がほぼ診断になりますので医師の医療行為と考えており、このような疾患は対象としていません。MYCODEでは遺伝のみでなく環境要因もあわさって発症する疾患を対象としており、その統計的な発症のリスクや予防策を提示するものです。

ガイド:その違いを押さえておくことは重要ですね。結果の受け取り方が非常に冷静になれると思います。今回、フルコースの「ヘルスケア」を申し込みましたが、実は自分の祖先を知りたくて「ディスカバリー」から入るかとても悩んだんです(笑)。日本人でも10タイプもルーツがあるというのが驚きでして。

大井社長:「ディスカバリー」は、ほかのメニューを利用された方も追加でお申し込みいただけるようにしましたので、ぜひどうぞ。人の遺伝情報は本当に多様であることを身近に感じていただきたいですし、「ゲノミー」というオリジナルキャラクターも楽しんでいただけるようにしています。

ガイド:まさにゲームに長けている御社ならではのセンスですね。次に申し込む際は、もう一度、唾液を採取して送るのでしょうか?

大井社長:いえ、もうすでにデータはありますから、次のサービスをご利用の際に唾液の採取は必要ありませんよ。

ガイド:それは、二度手間がなくとってもありがたいです。

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