「行きたくない!」は不安の表れ

春は、いろいろな環境が変わります。はじめての幼稚園や保育園ならばもちろん、進級してクラスが変わったとか、先生が変わったとか、お友達が変わったとか、いろいろあります。もしかしたら、人事異動で急に忙しくなったお父さんの変化に反応して、不安になっている場合もあるかもしれません。

子供は環境の変化に敏感です。ちょっとした環境の変化でも不安を感じることがあります。そうすると、「幼稚園に行きたくない」「学校に行きたくない」などと言い出すことがあります。

そんなときに親が慌てて、「何言ってるの! 幼稚園は行かなきゃダメでしょ」とか、「ズル休みは許しません!」なんて言ってしまうと、ますます子供は「絶対行かない!」と意固地になってしまいます。特に男の子。

こういうとき、子供たちはずる休みしたいと思っているわけではありません。「授業サボって映画でも見に行こう!」とか考えているわけではありません。純粋に、心の中に不安があるのです。でもそれがちゃんとした言葉にできないから、重い気持ちを表現するために、「行きたくない」と言っているのです。

大人だって、心が重いときは、体も重くなりますよね。気持ちが晴れないときは、外になんて行きたくない。家の中で1日中ゴロゴロしていたいなと思うことありますよね。そういう状態なのです。

心の中のモヤモヤを吐き出させる会話術

「行きたくない!」は不安の表れ。こんなとき親が正論ぶつけても逆効果

行きたくない!は不安の表れ。こんなとき親が正論ぶつけても逆効果

でも本当にそのまま家の中でゴロゴロしていても、気分が晴れるわけでもありません。どうにか心を切り替えなければいけません。かといって、「そんなこと言ってないで元気出しなさい!」なんて発破をかけると、心が重くなっている人にとっては、さらに心の重しを1枚余計に乗せられてしまったような気分になります。なおさらふさぎ込んでしまいます。大人だって同じでしょう。

こういうときに必要なのは、正論をぶつけることではなく、不安な気持ちを吐き出させることです。心の中の異物を、自由に吐き出させてあげてください。

どうやって?

不安な気持ちをしっかり受け止めてあげながら、ゆっくりと話を聞いてあげればいいのです。子供ですから、おかしなことを言うこともあります。でも、評価や批判、アドバイスは不要です。子供が思うまま、感じるままを、そのまま受けとって下さい。

状況によって細部は変わりますが、大まかな流れは次の通り。

子供 「今日は幼稚園行きたくない!」
親 「そうか。○○くんは今日、幼稚園、行きたくない気持ちなんだ……」
子供 「うん……」
親 「どうして行きたくないのかな?」
子供 「どうしても!」
親 「そうか。なんか嫌なことあったのかな?」
子供 「うん……。昨日△△くんが僕のことぶったんだ。だから行きたくない」
親 「ああ、△△くんが○○くんのことぶったのか。そのとき○○くんはどんな風に思った?」
子供 「怒らなかったけど、なんか、嫌な気持ちだった」
親 「悲しい気持ちかな? それともムカつく、みたいな?」
子供 「あ、ムカつく感じ」
親 「ああ、ムカついたのね……。その気持ち、わかるよ」
子供 「え、パパでもムカつくの?」
親 「パパでもムカつくことはあるよ。誰だってそういうことはあるよ。それで、○○くんはどうしたの?」

という感じ。子供の言ったことをオウム返ししてあげながら、子供の心の中にあるモヤモヤを言語化するお手伝いをしてあげます。複雑な気持ちに言葉を与えていくのです。

安心感があれば勇気が湧いてくる

どこまで続くかはわかりません。慣れないうちは、堂々巡りをしてしまうかもしれません。時間はかかりますが、話が続く限り、子供のペースで話をさせてあげることが大切です。心の中にあるモヤモヤを全部吐き出すことができて、親にその気持ちを理解してもらえたという安心感があると、「がんばってみよう!」という勇気が湧いてきます。そういうものです。

まあ、筋書き通りには進まないかもしれませんが、いきなり「ダメ!行きなさい!」というよりはましなはずです。無理矢理でも手を引っ張っていくことはできますが、「馬を水場に連れて行くことはできても、水を飲ませることはできない」という諺があるとおり、それでは根本的な解決にはなりません。

実際の生活の中ではどうしても時間がない場合など、最後まで話を聞いてやれないこともあるでしょう。でも、そんなときは、時間があるときに「あのとき、どうして幼稚園に行きたくなかったの?」などと話を聞いてあげるといいでしょう。

人間は、自分が理解されているという安心感があると、困難に立ち向かったり、自分を変えてみようと思ったりする勇気が湧いてきます。相手に良い方向に変わってほしいときには、無理矢理そっちに向かわせるのではなく、まず一回、しっかりと話を聞いて、理解・共感してあげることが大切です。子供に対してだけでなく、夫婦関係でも、職場でもおんなじですよね。

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