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新社会人、必見!4月から実践したいマネー10カ条

働いて給料をもらい、給料で生活するという長い人生が始まります。学生時代にアルバイトをしていても、生活費の援助などは親からしてもらっていた人がほとんどでしょう。これからは、支出、貯蓄、投資とすべて自分が働いて得た収入から賄っていくことになります。そんな新社会人に向けて、基本となるマネー10カ条を伝授します。

伊藤 加奈子

執筆者:伊藤 加奈子

貯蓄ガイド

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マネー達人への道も一歩から

お金達人への道

お金達人への道

親の保護を受けていた学生時代に決別するのは、なにも社会人になるからではありません。これから生きていくために「お金」との付き合いが始まるからです。これまでは「卒業」という区切りがありましたが、お金に関しては「卒業」はありません。その第一歩をあなたは踏み出したということです。

しかし、だれしも、その道のプロにすぐになれるわけではありません。最初はだれもが初心者なのです。お金に関しても、社会人になったからと言って、だれもがお金の達人になれるわけではありません。車の運転でいえば、初心者マークをつけた状態なのです。

初心者マークに甘んじていて、運転技術を磨かなければ、いつまでたってもはたからみて、あぶなっかしい運転をする人のまま。車の運転に慣れ、リスク回避の技術を身に付ける必要があります。お金の初心者マークを1日でも外すためには、どんな技術が必要なのでしょうか。10カ条にまとめましたので、この1年で身に付けるられるようにがんばってください。
 

1.1年目はもらった給料でやりくりする

―家計簿とまではいかなくても、何にいくら使ったかは記録しておく。

社会人1年目は、得られた給料の配分ができなくて当たり前。学生時代とは生活パターンが変わり、水道光熱費や通信費すら1カ月前の状態と変わることでしょう。これまで自炊で食費を節約していた人でも、これからは外食が増え、飲み代もかさむため、現金の目減り感に不安を覚えるかもしれません。

最初はうまくコントロールできなくても仕方がありません。ただし、使ったお金はノートでもメモでもスマホでも構わないので、きちんと記録に残しておくことです。1カ月たって簡単な費目ごとに集計することで、おおよその目安は把握できます。目安がわかれば、翌月はある程度の予算を決めて使うことができるのです。

最初の半年は生活の変化によって、費目ごとの変動が大きいものです。半年たって生活が落ち着いたら、ムダ遣いはしていないか、減らせる項目はないかをチェックすれば大丈夫です。

1年目で大事なのは、もらった収入のなかで、きちんと生活することです。
 

2.給与明細の中身をしっかり把握する

―はじめての給与明細。社会保険料、税金など初めての経験。ここからすべてが始まる。

4月の終わりに、はじめて給与明細を見ることになります。これまでアルバイトなどで収入を得ていた人は、見たことがあるかもしれませんが、それでも社会人になると給与明細の中身が違ってきます。ここに書かれていることを理解している人は、社会人10年目という人でも実は少ないものです。

入社前に初任給として聞いていた額より、少なくてがっかりするかもしれません。それは、給料から税金と社会保険料が差し引かれているからです。差し引いた給料を「手取り」と言います。これからの生活は、この「手取り」がベースになります。

差し引かれている所得税は、収入から概算で計算された額が引かれますが、年末に実際の収入が確定して、過不足があれば年末調整がされます。税金は先取りされるのです。ここで注意が必要なのは、1年目は住民税が引かれていないこと。住民税は1年目の所得をもとに計算されるので、2年目から給料から源泉徴収されることになります。

社会保険料は、健康保険料、厚生年金保険料、雇用保険の3つ。ただし、健康保険料は制度上、その月の保険料を翌月支払うことになっているため、4月の給料からは天引きされておらず、5月から引かれるため、5月に「手取り」が一段と少なくなったと思う人も少なくありません。ちなみに、健康保険料は4~6月の平均給与を元に、その後1年間の保険料が決まるため、4~6月の残業は少なくし、給与を抑えるといいと言われています(実際に、新入社員がそれほど残業があるとは思いませんが)。

これら社会保険料が、のちのちの生活に重要な意味を持つ公的な保障制度であることを理解しましょう。給与明細をもらっても、右から左。ゴミ箱へ。これでは、生涯、お金を貯められる人にはなりません。
 

3.生命保険、医療保険は最低限のものでいい

―自分に万一のことがあって困る家族がいない限り、医療保険だけで十分。

社会人になると、親や知人から勧められるのが生命保険。お金に関しての最初のハードルは、生命保険と言ってもいいでしょう。自分で調べようとして、なかなか理解できないのは、仕組みが複雑なものを勧められるからです。生命保険は本来、実にシンプルなもの。要は「自分が死んだら生活に困る家族がいたら加入する」「遺された家族の生活を支える保険金額で契約する」ということだけです。

社会人1年目の自分が支えなければいけない家族はいますか? 親は親で生活していますよね? そうであれば、生命保険に加入する必要はありません。

ただし、医療保険は別。医療保険は自分がケガや病気になったときの保障。イザというときの貯蓄がほとんどない新社会人は最低限(1日の保障が3000円~5000円程度)の医療保険に加入してもいいでしょう。実際には、健康保険からの補助や一定額以上の自己負担はしなくてもいい高額療養費制度もあるので、すべて医療保険でカバーする必要はありません。

生命保険は結婚を考え始めたときに、加入の検討をすればいいでしょう。
 

4.クレジットカードは1枚のみ

―社会人になったら1枚ぐらいは持っていたい。ただし年会費無料のカードで十分

学生時代は親の家族カードを使っていたという人もいるでしょう。使いすぎて怒られた経験もあるのでは。社会人になったら、クレジットカードの1枚ぐらいは持っていてもいいでしょう。しかし、冒頭で書いたとおり、給料の使い方が把握できていないうちは、クレジットカードは万一のときの保険と思って、できるだけ使わないことです。

収入以上にお金を使うことはできないのに、クレジットカードを魔法の財布のように勘違いしてしまいます。ましてやリボ払いなど借金を重ねるような使い方はNGです。使うなら翌月一括払い。年会費費無料のカードにするのは、大前提の条件です。

即時決済のデビットカードや電子マネーなどの普及で、キャッシュレス化が進んでいます。小銭でお財布が膨らまない、レジでの精算が簡単、ATMでお金を引き出す時間がないから便利、とさまざまな利点があり、利用価値は高いでしょう。

でも、社会人1年目は、最低限の利用にとどめるべきです。クレジットカード同様に、魔法の財布ではないのです。デビットカードは、銀行口座にお金がなければ、そもそも決済できませんし、電子マネーも残高がなくなれば、自動的に入金されるシステムがありますが、やはり銀行の残高以上には使えないわけです。

現金主義であり続ける必要はありませんが、キャッシュレスで何にいくら使ったかをきちんと把握できる人以外は、使うべきではないでしょう。交通ICカードだけ、コンビニの支払い上限額を決めて、その額だけしか入金しておかない(なくなったら、使いすぎということ)、というような自分ルールを決めておくことも大切でしょう。

 

5.会社の福利厚生制度を活用する

―社内預金、財形貯蓄、確定拠出年金、保養所などなど。使ったもの勝ち。

会社員の隠れた収入でもある、会社の福利厚生制度。給与天引きで貯蓄ができる制度があれば活用すべきです。

ひと昔前の状況とは異なり、社内預金制度や財形貯蓄制度から、確定拠出年金制度へ移行する会社が増えています。いずれも給与天引きで積み立てができるものですが、積み立てをするマネー商品が異なります。特に、確定拠出年金は投資商品が含まれますので、その中身を理解するのに、時間がかかるかもしれません。それでも、利用できるなら、新社会人1年目から利用したほうがいい制度ではあります。

ただ、1年目から全力で積み立てをしてしまうと、引き出しにくいだけに、生活費が赤字になるとキャッシングに走るという本末転倒な結果になってしまいます。

最初は1万円からなどムリのない金額で。生活が安定してからでも遅くはありせん。ただし企業によっては、新規申し込みや増額申請などの時期が決まっているところもありますので、制度内容を理解しておくことが大切です。

また、保養所やスポーツクラブの補助なども積極的に利用するといいでしょう。会社員ならではの恩恵は、使ってこその特典。使ったもの勝ちということです。
 

6.ランチをケチらない、必ず先輩を誘ってでも一緒に行く

―コンビニでおにぎりとサラダを買って公園でランチなんて愚の骨頂。

給料も少なく、節約に励むのもいいのですが、新社会人だからこそ、ランチをケチってはダメ。学生時代はひとりで学食、公園でお弁当でもよかったかもしれませんが、社会人になったら情報を得られるチャンスを逃してはいけません。先輩を誘ってでもランチに出かけるべきです。会社の先輩は身近な先生。仕事だけではなく、社会人として身に付けるべきマナーや知識を教えてくれるはずです。ランチ代を削る前に、スマホのゲームアプリ代やペットボトル代を削るほうが先です。

日中は、仕事に追われている先輩に聞きたいことがあっても聞きづらいですよね。ランチのときなら気持ちもラクに聞きやすいのではないでしょうか。1年目、2年目の給料の使い方や貯蓄の仕方も、同じ会社なら給与レベルがわかっているので、アドバイスを受け入れやすいでしょう。

同期入社の社員ばかりと一緒では、有意義な情報交換にはなりません。
 

7.朝のカフェ、夜のコンビニの立ち寄りは減らす

―立ち寄る時間とお金がムダ。カフェに寄る時間があるなら、早く出社して仕事の整理を。

節約すべきなのは、カフェ代やコンビニでのついで買い。毎朝カフェに立ち寄って、朝食をとっていたら、あっという間に給料はなくなってしまいます。10分、20分カフェで費やす時間ももったいないですね。自宅できちんと朝食を摂り、その10分、20分、早く出社してその日の仕事の整理をするほうが、どれだけ有効な時間の使い方になるかわかりません。会社の新聞を読んでもいいし、業務前にPCでニュースチェックするなど、お金と時間の使い方を間違えないようにしましょう。

また、会社帰りにコンビニに立ち寄ることも多いでしょう。慣れない仕事でストレスもたまり、コンビニでお弁当とビールを買って、家でくつろぐ。それはそれでいいのですが、問題はコンビニでのついで買い。デザートを買う、お菓子を買う、ジュースを買う。1回で軽く1000円は超えてしまいます。

こうしたちょっとした積み重ねがクセになり、2年目、3年目になってもその習慣から抜け出せなくなるのです。お金が貯まらないと嘆く人の典型です。息抜きは週末にたっぷり時間をかけて好きなことをする、コンビニは週に2回までなどと、自分でルールを作ることも大事です。
 

8.社会人としての身だしなみにはお金をかける

―当たり前のことだが、節約するよりも、かけるべきことにお金をかける。

筆者も社会人1年目は、スーツ代や靴代、理美容費にお金がかかりました。特に営業職など外回りが多く、クライアントと会う職種の場合は、気を付けたいところです。これも節約してはいけない項目です。最初は苦しいかもしれませんが、ひと通りそろえば着回しもできますし、何よりも社会人の給料の使い方として大事なことだと思います。

節約して安物ばかりだと、結果的にはすぐに着られなくなり、またお金を使うことになるのです。お金の使いどころと、〆るところのメリハリを考えるのも、最初のうちに身に付けたいことです。
 

9.スマホから得られる情報は少ない。情報収集代はケチらない

―学生時代はスマホで足りていても、社会人で得なければならない情報は深い。

若年層でPC離れが進んでいます。確かにスマホがあれば、大抵の情報は得られるでしょう。家計管理もスマホで簡単にできるアプリもたくさんあります。仕事で疲れているのに、なにもPCを立ち上げなくとも、寝るまでスマホを片手にネットサーフィンをする、そんな人も少なくありません。

しかし、スマホから得られる情報の深度は浅いのです。PCであれば、ひとつの情報からリンク先を見て、次々と関連情報を入手することが可能です。スマホでは表面的な情報のチェックで終わっていませんか?

たとえば日経平均株価はチェックできても、個別の企業の株価を次々とチェックしたり、その企業の情報を得るのに、時間がかかったり、たどり着けなかったりします。円ドルの為替相場をチェックできても、ユーロは?豪ドルは?その為替相場の変動要因はなんだったのか?といったことまで調べるのに、スマホは向いていません。

いますぐに投資をすべきだからというのではありません。社会人として経済の動きを知っておくことは、最低限やるべきこと。プロバイダー料金や通信費をケチっていては、深い情報を得るのは難しいでしょう。
 

10.「2年目」から必ず積立貯蓄をする

―1年目は地ならし。2年目から給与天引きで貯蓄をする。

少ない給料をやりくりし、節約しすぎず、使うべきことにはお金を使う、という生活だと、とても貯蓄に回せるお金はないのが実情でしょう。筆者はそれでもいいと思います。社会人1年目から、給料の使い方、お金の使い方が上手になれるわけではありません。この1年は、自分なりのルールを決めて、収支を安定させることが第一の目標です。

そのうえで、2年目からは積立貯蓄をする、と覚悟を決め、取り崩さないことです。車の初心者マークも基本的には1年。社会人も「新人」と言われるのは1年目だけ。2年目からは後輩が入ってきます。そのときに、この1年で学んだお金の使い方を後輩に伝えられるようになっておきたいもの。

積立貯蓄は、お金の使い方の新人時代を終えられた人こそ、始められるものです。くれぐれも残ったら貯蓄ではなく、給料から天引き、先取りの貯蓄をするようにしましょう。貯蓄に卒業はありません。長く続けられる人が、マネー達人になれるのです。

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