スズキgsr750 今や珍しいナナハン


今の若い年代の人たちにとっては聞き慣れない言葉かもしれませんが、排気量750ccのバイクは「ナナハン」と呼ばれていました。以前は国内向けに販売されるバイクに関してメーカーが750cc以下に自主規制をしていて、また現在のように教習所で大型二輪免許を取得する事が出来ず、運転免許試験場でいわゆる一発試験でのみ取得可能であった為、ナナハンライダーは羨望の眼差しで見られる対象でした。

しかし、90年代にメーカーの自主規制が解禁になり、1000cc以上のモデルが多くラインナップされるようになっていったことで、ナナハンバイクの特別感は薄れていってしまいます。

特に大型車両に関しては、「どうせ買うなら排気量の大きなモデル」という意識が高いのか、400cc以上の車両に関しては排気量の大きなモデルが売れる傾向がありました。しかし近年、600cc~900cc前後の車両が徐々に注目されるようになってきています。

GSR750は欧州にて2011年から販売され、2013年3月に国内仕様が販売開始されました。最近にわかに火が付き始めているストリートファイター系バイクの先駆けとなりますが、その性能はいかがなものか? 今回も一週間しっかりと通勤で使用してGSR750のインプレッションをお届けします。
   

gsr750に跨ると感じる、コンパクトな車体

GSR750フロントビュー

GSR750フロントビュー


スズキのGSRシリーズはGSR750の他にGSR400、GSR250が存在します。今回のGSR750の試乗でGSRシリーズ全ての車両に試乗した事になりますが、GSR400やGSR250は排気量の割りに「大きい」車両でした。

GSR250は400ccと言われても違和感がないぐらい車格が大きかったですし、同様にGSR400も400ccクラスではかなり大きい部類に入ります。しかし逆にGSR750はコンパクトに作られています。

スズキのカタログスペックではあまり細かい車両の大きさの情報は掲載されていないのですが、GSR400が長さ2090mm、幅795mm、高さ1075mmなのに対して、GSR750は長さ2115mm、幅785mm、高さ1060mmなので、ほとんど大きさが変わりません。加えて車体の装備重量がGSR400が215kgなのに対してGSR750は213kgなので、むしろ軽いのには驚きました。

実際に跨ってみても、車両のコンパクトさを感じます。感覚としては400ccクラスのバイクに跨っている感覚です。

 

GSX-R750譲りのエンジンは極上のフィール

GSR750サイドビュー

GSR750サイドビュー


GSR750のエンジンはスーパースポーツバイクGSX-R750のエンジンをベースに設計されています。それでいて町乗りで多用する中低速域を扱いやすく設定されている為、街中でも違和感なく運転する事が可能です。

スーパースポーツバイクは最も力が出るのが高回転域に設定されているので、低中回転域でのパワーはイマイチなことが多く、街中で乗ると走り出しは思ったよりもアクセルを開けないとエンストしてしまうケースもあるのですが、GSR750に関してはそんな心配はありません。

GSR750のエンジンはGSX-R750と比べれば高回転は伸びませんが、それでも106ps/10000rpmを出力し、ガソリンやオイルなどが入った状態の車体の重量も213kgと軽いのでパワー不足は全くなし。しかも、これだけのパワーを出力していながら都内の通勤では燃費が20km/l程度でした。17リッタータンクを装着されていますので、無給油で300km程度は巡航可能ということになります。

なお、輸出モデルの国内仕様車というと、様々な規制の問題などで馬力が抑えられギア比も変更される事が多いのですが、GSR750に関しては全く一緒です。

直列4気筒のGSR750のエンジンはその気になればとても速いのですが、走り出しからトップスピードまでひたすら滑らかに出力されることで、とても扱いやすいエンジンです。個人的にはスーパースポーツバイク特有の「加速時エンジン音」が非常に良く、所有感を満たしてくれました。

街中での走行フィーリングはどうかと言えば、一度トップギアの6速までシフトアップしてしまえば40km/h以下まで減速してもシフトダウンせずにアクセルだけで再加速が可能なので、少し込んでいる状態でアクセルを開けたり、閉めたりして加速・減速を繰り返している状態でもストレスはゼロ。

加えてスーパースポーツバイクのような小さめのシートは股が広がる事がなく、足が降ろしやすい。シート高は815mmですが身長165cmの私が跨っても余裕があって、ストップ&ゴーが多い渋滞しているゾーンも全く問題ありません。

 

乗って楽しい! スズキgsr750は扱いやすい一台

GSR750リアビュー

GSR750リアビュー


明確な定義はありませんが、ストリートファイター系と呼ばれる車両はスーパースポーツバイクとネイキッドの中間性能と言われています。GSR750はまさにこの定義がピッタリの車両と言えます。エンジンはスーパースポーツバイクのエンジンをストリート用に再セッティングしたエンジンですし、コンパクトで軽量な車体はコーナーでもくるくると思いのままに旋回する事が出来ます。

運転するのがとても楽しい一台ですが、シートは薄く固めの為、長時間のライディングではお尻が痛くなってしまいそうです。私の通勤時間は1時間程度ですが、この程度であれば全く問題はありませんでした。

あまり不満点はなく、魅力的なポイントは多いGSR750ですが、あえて不満を述べるのであれば、ハンドルポジションです。最近のストリートファイター系の車両の殆どは似たようなハンドルが装着されているのですが、幅が広く低いのです。

私のように身長が高くないライダーが乗ると、足つきなどは全く気になりませんが、ハンドルがやや遠く感じるのです。ハンドルをフルに切ると手が突っ張る感じになるので、ライディング時もかなり前傾姿勢になります。私が購入するならハンドルだけはすぐに交換したいところです。

一つだけケチをつけさせて頂きましたが、正直他には非の打ち所がなく、性能・扱いやすさともに高次元でバランスが取れています。リッタークラスのエンジン性能を持ちながら、車体は軽く扱いやすい為、大型バイク免許を取得したばかりのライダーにもオススメです。

GSR750のエンジン音 マフラー音 車両の細部はこちらの動画でご確認下さい

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