これまで数多のスター・ダンサーを輩出してきたNBA全国バレエコンクール。本戦は毎年1月に開催され、大きな注目を集めています。

ph

 

久保>
コンクールをはじめて今年で18回目になりますが、今では日本全国ほとんどの県から応募があります。さらに近年は国際的になってきていて、シンガポール、オーストラリア、ニュージーランドをはじめとした海外からの参加者や、日本在住の外国人の方も多数参加しています。

出場者のレベルも上がっていて、近頃は地区予選を勝ち抜いたひとたちの本戦という位置付けになっている。NBAでは毎年全国主要都市でジュニアバレエコンクールを開催していますが、そこで シード権を得たひとが出場したり、もしくは全国で開催されている大小
ph

 

100におよぶコンクールで賞を取った方たちが集まっています。

他のコンクールで一位になったような子は、やはりNBA全国バレエコンクールでもいいところまで行きますね。ただNBA全国バレエコンクールの場合、そういう子ばかりが集まるのでなかなか一位は取れません。ですから、おそらく現在日本で開催されているバレエコンクールの中で一番レベルが高いのではないでしょうか。





独自のバレエコンクールをはじめたきっかけは何だったのでしょう。

ph

 

久保>
コンクールにもいろいろな性質のものがありますが、より公正で、よりレベルの高いものにするにはどうすればいいかという想いがまずありました。なかには特定の人間の意見が通ってしまうようなケースもあるでしょう。けれど、NBA全国バレエコンクールの場合はそういうことは一切ない。

審査員にしても、国内・国外合わせて約40名の方が参加しています。日本のバレエ界だけでもかなりの数で、谷系、松山系、牧阿佐美系、東京バレエ団、スターダンサーズ・バレエ団と、なるべく偏りがないように声を
ph

 

かけていきました。今ではほとんどのバレエ団の長が、カンパニーの枠を超えて集まってくださっています。

ダンサーに対するケアも、常により良いものをと考えていて、毎年少しずつ変えています。いいと思うことは何でも取り入れていこうという方針です。当日の出場者の流れやリノリウムの状態、バーの位置、足馴らしをする場所にしてもそう。例えばバーはリハーサルルームのほか、ホールの袖や奈落、ロビーの隅に置いたりと、出番までしっかりバーレッスンができるよう配慮しています。
ph

 


ダンサーの今後の身の振り方についても、毎年スカラシップ制度を設け、より飛躍できるよう務めています。今年は約20校がスカラーの受け入れに参加しました。過去の年度も含めると、NBA全国バレエコンクールから世界のほとんどのバレエ学校にダンサーを派遣していると思います。





NBA全国バレエコンクールの審査で特に重視している点は?

ph

 

久保>
特にありません。というのも、どれだけ基本に忠実であるかを見るのがクラシックバレエだから。テクニックの透明性が問題であり、それが評価の最大の基準になります。舞踊性、身体性、テクニック、正確性。判断するのはこの4つ。そこから全体の芸術性を審査します。

審査自体も、今考えうる限りの最高のシステムで厳密に行っています。審査員は出場者ごとに点数をパソコン入力し、結果をLANで集計していま
ph

 

す。1月3日から予選が始まり、1月6日の夜に決勝進出者が決まって、翌7日が決戦。6日の審査が終わってからネットで発表し、プログラムの印刷、賞状の印刷まで行います。各先生方がつけた点数と平均点、偏差値が書かれた審査シートは、出場者ひとりひとりに渡しています。

審査する側からすれば、一歩舞台に出ただけで、センターにつく前に全てわかってしまいます。足の筋肉の使い方、角度、そのひとが持っているもの、レベルが全部見えてしまう。もっと言えば、すごい子は後ろから見た
ph

 

だけでわかります。センターが入って背中が決まっているから、全ての状態が見えてくる。それはもう全然違いますね。

これまでいろいろな子を見てきましたが、袖に戻ってくる様子でだいたい結果がわかります。踊り終わった後、“ハーッ”と溜め息をついているような子は賞は取れない。“いやー、楽しかった! もっと踊りたかった!”なんて言ってる子は一位が取れる。楽しんでるところまでいっているから、身体に音楽が充満していて、内側から溢れ出てる。そうなると、この子は上位に行くな、とすぐにわかります。



スカラシップ生はどのようにして選ばれるのでしょう。

ph

 

久保>
海外から招いたゲスト審査員の先生方が、自分の学校に招きたい子を指名します。ただ衣装を着ているとターンアウトの状態など見えない部分もあるので、指名した子たちをピックアップして、コンクールとは別に同時進行でスカラー用の審査を行っています。もし同じひとに何校か指名が重なったら、当人に選択してもらうというシステムです。

スカラーの審査では、音楽性や適応性など、本人の素質を見ます。関節の状態、筋肉の状態といった肉体面から、感受性、挨拶の仕方、雰囲気まで
ph

 

全てです。なかには海外に行って潰れてしまうような子もいる。あらゆる 面で適正が必要なので、なんとか才能を伸ばしてあげたいと考えています。今年は男の子が比較的多く選ばれました。シュツットガルト・バレエ、カナダナショナルバレエ、ウィーン国立バレエ、モンテカルロ・バレエ……。

多くの日本人が海外留学をしていますが、スカラーでない場合は基本的に
ph

 

自費で行きますよね。お金を払ったはいいけれど、レベルがどうかということもある。名門校ではあっても、なかには日本人だけが入るコース、要するに外国人枠のクラスという場合がある。そうではなくて、現地の学生と同じように学ぶ環境を用意してあげることが重要なんです。


……次回は後編をお届けします!



プロフィール

ph

 

久保栄治

8才からバレエを始め、国立ユーゴスラビアバレエ学校で2年間学ぶ。東京バレエ団を経て、牧阿佐美バレエ団でソリストとして活躍。現在は地元・秩父市の教育功労者として活動する傍ら、コンクール実行委員長を務めている。





NBA全国バレエコンクール

毎年1月に開催。文部科学大臣賞、東京都知事賞のほか、スカラシップ賞が用意されている。また毎年ジュニアバレエコンクールを全国主要都市で開催し、上位入賞者にはNBA全国バレエコンクールのシード権を付与。今年は仙台、 鹿児島、札幌、福岡、広島、大阪で開催予定。

問い合わせ
NBAコンクールコンクール事務局04-2937-4931
http://www.nbaballet.org/competition/index.html





※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。