もしかして虐待?と思ったら

虐待は周りの大人が「気づく」ことが大切です

虐待は周りの大人が「気づく」ことが大切です

顔や体に不自然な傷やアザがある。いつも服や身体が汚れている。態度がおどおどしている。がっつくように急いで食べる。頭をなでようとするとビクッと身構える。年齢にふさわしくない性的な話をする。表情が乏しい。家に帰りたがらない。

……これらは虐待のサインです。でも「もしかして、虐待?」と思っても、どうしてあげたらいいのかわからないという人は多いのではないでしょうか。

子どもを虐待から守るためには「虐待について知ること」「専門家につなぐこと」が大切です。
 

児童虐待の種類と影響

虐待は、次の4つの種類に大別されます。

・ 身体的虐待
殴る、蹴る、煙草の火を押しつける、熱湯や冷水をかける、長時間家の外に閉め出す、等

・ ネグレクト(養育放棄)
子どもに必要な衣食住の面倒を見ない、必要な医療を受けさせない、家や車の中に放置する、等

・ 心理的虐待
「生まれてこなければよかったのに」「お前は何をやってもダメだ」など子どもの人格を否定する暴言、言葉による脅し、激しい叱責、きょうだい間での差別的扱い、DVを目撃させる、

・ 性虐待
性的な行為を強要する、性器を触る/じろじろ見る、性器や性交を見せる、ポルノを見せる、裸の写真を撮る、等

身体的虐待は命に関わる大きな事故に繋がりやすく、ネグレクトは子どもが幼ければ幼いほど、生命維持の危機に直結します。心理的虐待は、子どもが自己肯定感を育むことを阻害して、生きづらさの原因となりますし、性虐待は「されたことの意味」がわかる思春期以降にも、大きな傷つきと混乱を与えます。
 

なるべく早く、専門家につなぐ

児童相談所電話番号

虐待通報が子どもの命を守ります

虐待が疑われたら、児童相談所に通報するというのが、周囲の大人ができる最も効果のある行動です。子どもを特定するための情報は必要ですが、通報者は匿名でも構いません。

児童相談所は、虐待されている子どもを親から引き離すことのできる大きな権限を持っています。通報があると、児童相談所は48時間以内に子どもの安全確認をすることになっています。

どのような行為が「虐待の疑い」になるのかわからず、通報をためらう人も多いようです。通報した方がいいかどうかを専門家に相談することもできますし、[虐待 サイン]で検索すると、この記事の冒頭に挙げた兆候の他にも色々な情報が手に入りますので確認してみましょう。

大事にしてほしいのは、あなたがその子に感じる「違和感」です。「虐待の確信を持ってから」と通報を先延ばしにしていると、手遅れになるかもしれません。

あなたが抱いた「違和感」を周りの人と共有しておくことも、子どもを見守る目を増やす、とても大切なことです。その子が通う小学校や幼稚園の先生たちの耳にも入れておきましょう。

子ども自身には「元気ないね?なにかあった?」と声をかけるなど、気にかけているということを、子どもにわかる形で伝えましょう。「つらい時はここに電話するといいよ」とチャイルドラインの情報をメモで渡すのもいいですね。
 
チャイルドライン

               チャイルドラインは子どもの声を受け止める電話です


ただ、虐待されているということを、子どもはなかなか打ち明けてくれません。
 

口をつぐむ子どもたち

子どもはなかなか自分から虐待被害を訴えられません

子どもはなかなか自分から虐待被害を訴えられません

虐待は家庭という密室の中で巧妙に行われています。大人と子ども、親と子という圧倒的な力関係の中で「お前が悪い子だから」と暴力を正当化されていると、口止めされていなくても、子どもは自分の被害を隠そうとします。自分が受けている暴力が理不尽なものであると薄々気づいていたならなおさら、親をかばおうとして口をつぐみます。口外したことが親にバレたらもっと酷い暴力が待っているという恐怖もあるでしょう。

しかし、子どもたちは「信頼できるかもしれないと感じた大人」に、かすかなサインを送っています。

虐待を受けている子どもたちは、基本的に大人を信用していません。ですから、S.O.S.を受け取ったら、慎重に誠実に関わっていく必要があります。いきなり「さあ、何でも話してごらん」と言われても、子どもはそういう大人には何も言えません。

虐待は、無力な子どもが、自分を守り愛してくれるはずの親から、安全をおびやかされるということです。虐待を受けている子どもは「世界は安全ではない」「大人は自分を傷つける」と思っている、という前提で関わりましょう。
 

虐待を告白されたら

被害を打ち明けられるというのは「もしかしたら、この人は自分の味方になってくれるかもしれない」と思われたということです。その子にとっては、細い細い命綱。信頼を裏切らないようにしたいものです。

被害が深刻であればあるほど「できるだけ早く、専門的な支援につなぐ」ことが緊急の課題となり、周囲の大人ができることは限られてきます。そのことを頭におきながら、その子に、どうしたいか、どうしてほしいかを聞きましょう。

ただし、「大人が納得できる答え」が返ってこないことは珍しくありません。暴力をふるう親であっても、親を愛している子どもがほとんどです。親と離れれば自分は生きていけないとも思っています。その子の気持ちを「そうか、そんなふうに思っているんだね」と、そのまま受け止め「あなたの力になりたい。そのために他の人の力も借りたい」と伝えてください。

虐待を打ち明けられたことを「秘密にする」という約束はしないようにしましょう。子どもを助けるためであっても、子どもに「嘘をつかない」ことはとても大切です。

加害者への怒りや戸惑いを覚えるでしょうが、大きすぎるリアクションは控えましょう。「この人に言ってよかったのだろうか」と、子どもを不安にさせるからです。

虐待の内容を詳しく聞きすぎないことも大切です。聞いていいのは「だれに」「何をされたか」だけです。子どもを保護するには、その2つの情報だけで十分ですし、専門のトレーニングを受けていない人が詳細を聞き出そうとすると、意図せず子どもを傷つけてしまう「二次加害」につながりかねません。日時や場所など、具体的な状況を聞き出すのは、周囲の大人の役目ではありません。専門家に任せましょう。
 

子どものS.O.S.を見逃さないために

虐待を受けている子どもに見られる特徴的な行動があります。それは「虐待されていると言った後で、嘘だったと否定する」「言うことをコロコロ変える」といったものです。虐待されている子どもは、目の前の大人が信用できるのかどうかを何度も試しながら少しずつ自己開示していくものですし、話すことへの罪悪感や、加害者への恐怖などの感情を揺れ動くからです。

しかし、虐待の有無について、子どもは嘘をつきません。嘘をつくのは、加害者である大人の方です。子どもが虐待についてつく嘘は「そんなに頻繁でもないし、酷いものでもなかった」といった、加害者をかばい、被害を小さく言う嘘がほとんどだということを知っておきましょう。

専門家につなぐ際には「暴力があると言った後で、嘘だったと否定した」と、ありのままを伝えましょう。児童虐待の専門家であれば、ピンとくるはずです。

※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。
※乳幼児の発育には個人差があります。記事内容は全ての乳幼児への有効性を保証するものではありません。気になる徴候が見られる場合は、自己判断せず、必ず医療機関に相談してください。